2009年7月 2日 (木)

映画「アルマズ・プロジェクト」

アルマズ・プロジェクト

2007年アメリカ
監督:クリスティアン・ジョンストン
キャスト:
リック…ジェームズ・ボブソン
ウィスリー…ギデオン・エメリー
ララ…インナ・ゴメス
ボリス…イーゴリ・ショイフォト

 1998年、ロシアの宇宙ステーション、アルマズ4号が軌道を外れ大気圏に突入、バラバラになってウクライナに落下した。アルマズの名を持つ宇宙ステーションは軍事目的のものと言われる事もあり、そのためかロシア政府はこの事故について口を閉ざした。
 しかし、アルマズのブラックボックスを入手した民間の団体が、数年を掛けて解析、編集したものが本作品である。あなたには、真実が見えますか?

……といった趣向の映画。

 原題「アルマズ・ブラックボックス」なのに邦題が「アルマズ・プロジェクト」なのは、アルマズ買い取りのための調査に来たESAのウィスリーの持ち込んだテレビカメラの映像が「ブレアウィッチ・プロジェクト」風だからか。でも、乗組員たちを蝕む何かの得体の知れなさ、不気味さはリングの「呪いのビデオ」により似ているかもしれない。フラッシュバックのようにたびたび現れる画像の乱れや解析映像も中毒性のようなものがあり、その画をもっと見せろ、もっと見たい!と思えてくる。
 そして「リング」なら、「呪いのビデオ」中の画像の意味は主人公たちによって説き明かされていくが、それがない。解釈は見た人次第。ロシア政府の陰謀か、エイリアンの仕業か、錯乱した乗組員の狂気が見せた幻影か、未知の病原体なのか、あるいは……。

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2009年6月27日 (土)

ドキュメンタリー「KGBシークレット・ファイルズ 日露の戦い ~諜報合戦~」

KGB シークレット・ファイルズ 日露の戦い~諜報合戦~ [DVD]
Duel

2004年ロシア
制作:TV CHANNEL RUSSIA

 シベリア単騎横断でおなじみの福島安正から始まったので、何やらトンデモなものかも?!と思ってヒヤヒヤドキドキしながら見始めたが、実に真摯な日本とロシアの交流史であった。明治政府辺りのことはよく知らなかったので、通史的に知る事ができてとても良かった。
 日露戦争など日本にとって重要な歴史的な出来事でロシアと深く関わっているにもかかわらず、学校の歴史の授業ではごく浅くしかやらなかったような気がする。伊藤博文暗殺事件についても、それがロシア領(鉄道の敷地内のため)で起こったために両国間の懸案になったなんて知らなかった。

 というわけで「諜報合戦」と銘打ってはいても、既に歴史になっている時代を扱っているうえに軍事情報中心なので、それほどえぐい話はでてこない。

 むしろ「日本、敵ながらあっぱれ」という感じのドキュメンタリーになってる。福島は新生日本に情報機関をうまく組織した有能な軍人に描かれており、彼の組織に完敗したロシアが反省して努力を続けた結果、第二次世界大戦で雪辱を果たす、という流れになっている。
 しかし、その間ロシア革命やら大粛正やらあって、ロシア~ソ連の情報機関の人員はめまぐるしく変わっているはずで、そういった国家百年の計みたいな長期目標を継承して来れたのか非常に疑問に思うところではある。例えば、ゾルゲの上司なんて何度も替わっているうえに引き継ぎがちゃんとできていないではないか。
(『KGBシークレット・ファイルズ スパイ・ゾルゲ~裏切りの特派員~』参照。)

 とはいえ第二次世界大戦の結果は実際あの通りであって、見終わったあと、やはり「ロシアさん、執念深いなぁ」という印象が残る。

 解説によると、このドキュメンタリーはあまりにも親日的だという理由で編集し直されているそうだ。事実の羅列に親日も反日もあるか、と思うのだが、確かに福島ばかりでなく広瀬武夫や乃木希典、内田良平等々、誠実で信念のある人に描かれている。特に広瀬は悲劇のヒーローみたいになってる。
 しかし、ソ連のためにダブル・エージェントになった人物を日本のスパイとして処刑してしまったソ連側に対し、日本側の情報将校は最後まで彼を守ろうとして口を割らなかったケースなどは、日本びいきというよりは粛正に次ぐ粛正で有能な人たちの虐殺を繰り返してきたソ連の治安機関に対する皮肉にも見えるのだが…。
 そう考えると、このドキュメンタリーはロシア=ソ連軍びいきなのであって日本びいきではなく、NKVDなどの治安機関に対するあてこすりが結果的に親日的に見えたというだけかも知れないので、ロシア人は親日的だと油断してはいけないのである(笑)。


 このてのものを見る人は、OGPUとかNKVDとか当然知っていることになっているらしく、解説がない。ソ連の情報機関はたびたび名前が変わっているので、タイムラインにまとめてみた

もっとも、軍事情報だとGRUなんだが…。

参考文献:
ロシヤにおける広瀬武夫 上 (朝日選書 57)
ロシヤにおける広瀬武夫 下 (朝日選書 58)
ツシマ〈上〉バルチック艦隊遠征
ツシマ〈下〉バルチック艦隊壊滅

※日露戦争については、アジア歴史資料センターで「日露戦争特別展 公文書に見る日露戦争」を開催しているのでそちらも参照。

悪魔の飽食 新版―日本細菌戦部隊の恐怖の実像! (角川文庫 も 3-11)

※なお、ゾルゲ事件については
『KGBシークレット・ファイルズ スパイ・ゾルゲ~裏切りの特派員~』
ノモンハン事件については
『KGBシークレット・ファイルズ ノモンハン事件~第2次世界大戦への爪跡~』
にまとめる予定。

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2009年6月19日 (金)

ドキュメンタリー「KGBシークレット・ファイルズ スペース・ドッグス~実験・宇宙犬~/青い血の秘密~フェイク・ブラッド~/恐怖の核実験~世界終焉への予行演習~」

KGB シークレット・ファイルズ スペース・ドッグス~実験・宇宙犬~/青い血の秘密~フェイク・ブラッド~/恐怖の核実験~世界終焉への予行演習~ [DVD]
Spacedogs_2

2004年ロシア
制作:TV CHANNEL RUSSIA


スペース・ドッグス~実験・宇宙犬~

 例のライカの話である。
 ライカの乗ったスプートニク2号は無事楕円軌道にのったものの、予定していたより太陽に近づき過ぎ、カプセル内の温度が急上昇して…。
 ライカが地上に戻る事はないと最初からわかってはいたけれども、苦しんで死んだに違いない事は実験に参加した人たちの心にしこりとして残っている。

 それにしてもおとなしい犬だな。その辺から野良犬をいわば「徴兵」してきてアストラハンの施設(今は廃墟)で訓練したそうだから、由緒正しい血統書付きの犬でもなければ子犬の頃から英才教育を受けた天才犬でもない。中には飛行直前に脱走した犬もいたそうだが、宇宙船内の映像ではどの犬も鳴いたり暴れたりしていない。原題の「宇宙野良犬部隊」ってなんだか人間を主人公にしてもありそうな題名だな。

 犬は群れで行動する動物だから、群れに所属してその中に自分の居場所を得、賢いリーダー(飼い犬なら人間)の命令に従って行動することに苦痛はなかろう。むしろ犬の自然な姿ではないだろうか。死というものを理解しないにしても、自分がリーダーに信頼され、群れの中で大切な役割をしているということはわかるのではないか。
 実験時に命を落とすのも、大きな獣に群れで襲い掛かかった時、蹄や角に引っかけられて死ぬのと犬にとっては大差ない気がする。

 特殊な才能を持って生まれながら、その能力を一度も使うことなく毎日かわいいかわいいとなでられ、食べるものにも不自由せずに一生を終えるペットとどちらが犬にとって幸せなのか。
 それは犬にしかわからない。


青い血の秘密~フェイク・ブラッド~

 人工血液の開発に文字通り命をかけたアストラハン出身の医師、ベロヤルツェフの死をめぐる疑惑。

 人工的な血液の代替物というと思い浮かぶフルオロカーボンは乳白色だが、ベロヤルツェフの開発したペルフトランは日に透かすと青っぽく見える程度の透明な液体のようだ。
 ようやく「KGBシークレット・ファイルズ」の題名に相応しい謎めいたおどろおどろしい話が出てきたぞ、とミステリーを見るようなお気楽・他人事気分で見ていたら、事件の淵源に話しが及んだとたんに飛び上がりそうになった。
 うっわー、それってミドリ十字だろ? いやいや、マジヤバイから。というか、「歴史」として語るにはまだ生々しすぎる話だ。
 …でも、内藤良一は1982年7月7日没だから。機密でも何でもない。ウィキペディアにも出てる。
 そんな感じで、じっくり見ても知識がないので手も足も出ず、もやもやしたスッキリしない気分だけ残る話なので、医療分野に詳しい方のツッコミ希望。

 それにしても、厚労省まわりの案件って何もかも黒いのな。


恐怖の核実験~世界終焉への予行演習~

 1954年9月14日。
 南ウラルのトツコエで軍事演習が行われた。当時は核戦争がリアルに差し迫った脅威であったため、より演習を実戦に近付けるために核兵器が使用された。
Totskiypoligon

 機密解除された演習の記録映像はたぶん宣伝用なんだろう。一般的には公開されていなかったとしても、例えば友好国の軍や政府の高官に見せてソ連の軍事力を誇示するために使われたもののようで、なるほどこれなら公開しても差し障りないと思える内容だ。しかし、それがかえって恐ろしい。このドキュメンタリー、どういう内容か知らずに漫然と見始めたので、
 え? 演習だよ?
 まさか実際に核爆弾使わないよな?
 4万5千人以上の兵士が参加してるんだよ?
 実戦さながらって言ってもまさか本当に地上で爆発させないよな?
 シミュレーションだよな?
信じられない思いで何度も問い返しつつ見た。ところが、爆発のタイミングさえよく制御できない段階の核爆弾を本当に爆撃機で投下したんである。
「背中にアイロンを当てたような熱を感じた」
「白い攻撃機が雲に突入して、出てくると真っ黒になっていた」
「防御服を脱いで作業した」
といった話が続出で絶句する。

 ところで、いわば火消し役でインタビューに答えている軍事史家のマフムード・ガレーエフって元の名前はガレイ(ギレイ)でハンの血筋の人? とか思った。
 まぁ、それは本題に関係ないが、ガレーエフ氏も演習に参加しており、この演習の指揮を執っていたゲオルギー・ジューコフ元帥も核爆発の瞬間にシェルターに入らずに爆発を見ていたという。そして、核爆弾で死んだ者は一人もいないとガレーエフ氏は強調する。
 「ヒロシマ」という単語は皆知っていても、放射能の危険はそこじゃないと誰もわかっちゃいなかったのだ。もしくはわかりたくなかった。兵士は核の直撃に耐え、一定時間(5時間とか)戦闘を行って敵に反撃することができれば充分で、以後のことは軍の知った事じゃないのだ。だから追跡調査も行わない。

 日本以外の国は他国からの核攻撃を受けたことはない。しかし、全ての核保有国でこの手の話はあるわけだ。ソ連の例は極端かもしれないが、核がどちらの側に牙を剥いているのか、核の傘に守られていると主張する人は一度点検してみると良い。

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2009年6月12日 (金)

映画「ストリート・レーサー」

ストリート・レーサー [DVD]

2007年ロシア
監督:オレーク・フェセンコ
キャスト:
ステパン…アレクセイ・チャドフ
カーチャ…マリーナ・アレクサンドロヴァ
ドッカー…スタニスラフ・ボンダレンコ
カーチャの父…ニコライ・チンジャイキン
モコフ父…アレクセイ・グシコフ

 ステパンが兵役を終えて帰ってきた。元戦車乗り、初めて乗るセリカでサンクトペテルブルグの市街地をぶっ飛ばす彼に、皆は「T-34」というあだ名を付けた。

 セリカの持ち主、カーチャはストリートレーサー・グループのリーダー、ドッカーと最近別れたばかり。でもドッカーが他の女の子といちゃいちゃしていると心穏やかではいられない。こう言っちゃ女性に怒られるかもしれないが、いやまったく
「怒った顔もカワイイね」
って感じ。カーチャやドッカーの浮気相手の女の子が綺麗な顔を屈辱や嫉妬で歪め、細い指をブルブル震わせてタバコに火を付ける様がなんとも。
 しかし、道行く女の子たち、あんなひらひらのスカートでパンツをはいてない。そんなもんなんだろうか。それじゃあ暴走車が通るたびにぴら~っておしりが出ちゃうだろ。え? Tバックとかですか? 私見事に欺されてますか?(笑)

 派手に車が転がる転がる。横転、前方転回、空中分解に爆発。冒頭では戦車もびょんびょん跳んでた。いつも不思議に思うんだけど、戦車がジャンプして大きく跳ねる映像ってよく見る。あれって中の人はどうなってるんだろう?
 そうそう、サンクトペテルブルクの跳ね橋はかちどき橋と違ってちゃんと稼働してるから、期待通りジャンプもしてくれる。
 で、最後にはドッカーとステパンがニッサン350Zとフェラーリ512TRで対決するんだが、実際のところ勝負になるのかな? カーチャがセリカで狭い露地まで入り込んで身軽に動き回ってパトカーを翻弄するのはありそう?なんだけどさ。

 交通警察との絡みがおもしろい。取締の理不尽さ加減は日本の比でないのか、茶化して大袈裟に言ってるだけのか、交通警察に対する普通の人の反応がいちいち可笑しい。カーチャの親父も取り締まる側なんだが、この親父かなり酷い。娘が連れてきたステパンをいたく気に入り、酒を勧めて彼が車だからと断ると
「気にするな、わしも飲酒運転だ」。
「免停になったときはわしに委せろ」
とも言ってる。
 そもそも、あれだけ目立つ車で公道レースをやって、拠点もわかってるのに捕まえられないなんて警察はどれだけ能なしなのか。こっくりさん(ウィジュ板方式)でこのストリートレースの開催場所を占っていたりして駄目だこいつら…。

 でもこれには裏があるんである。

アレクセイ・チャドフが出演している映画:
レッド・スナイパー 独ソ最終決戦」「チェチェン・ウォー」「ナイト・ウォッチ」「デイ・ウォッチ」「ヴィイ(邦題未定)

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2009年6月10日 (水)

映画「特殊部隊エスヴェーエル S.V.R」

特殊部隊 S.V.R [DVD]

2003年ロシア
監督:セルゲイ・アコポフ/オレーク・ポゴジン
キャスト:
ヴィクトル・ブィストロリョートフ(トラベラー)…ヴァレーリィ・ニコラエフ
リタ・ノヴォショーロヴァ…マリヤ・キッヴァ
ロコトフ大将…ユーリィ・ソローミン
カズナチェーフ…ヴァシーリィ・ミシェンコ
マルシャンスキー(スモーカー)…パーヴェル・デレヴャンコ
コフチューギン兄(キング・コング)…ヴラジーミル・トゥルチンスキー
コフチューギン弟(ゴジラ)…ドミートリィ・デュジェフ
ヤン・ヴァンタル局長…オレーク・シテファンコ
マダム・ゴール…ナターリヤ・ボルトニコヴァ

 大昔見てた「スパイ大作戦(Mission:Impossible)」みたいな話だなー、マトリックスっぽい映像だよなーと思ったら、原題「遂行不可能な任務」か? まんまじゃん。銭形警部からみたルパン三世っぽくもあるが(ただし相手はルパンでなく峰不二子)。

 潜入捜査を得意とし、おそろしく身の軽い主人公のヴィクトル、主に拠点となる車で機器の操作をしてる眼鏡くんのマルシャンスキー、体育会系のコフチューギン兄弟、主人公に好意を寄せるショートカットのできる女リタ、ボス的ではない彼らの上司カズナチェーフ局長、彼らに理解のあるお偉方のロコトフ将軍。
 この人たちを中核に個々のエピソードによって多少出入りがある。でも、こういうレギュラー陣の中に入ってくる人ってそれだけで死亡フラグだよなぁ(笑)。

 ちゃんとイヤなやつは死に、爆発は大爆発、格闘シーンは主人公が体操選手かってほど柔らかな動きをし、女同士の戦いではネイルチップがババっとはじけ飛ぶのが格好いい。日曜の夜なんかに何も考えずに気楽に見るにはちょうど良い。あんまりじっくり見てしまうと、
「こいつら実はあんまり優秀じゃないんじゃ…」
と思うようなところが多々あるもので…。通しで見るとお手軽じゃない長さなので前後編になってるのかも。

 第一部で重要な役割をするのは猫。
 グルザという謎のテロ組織からニューヨーク、東京、モスクワのどこかを爆破する、という予告電話が入る。中東のどっかの国の大金持ちシェイバニもグルザに資金提供しているらしいと疑われているが、はっきりしたことはわからない。そこで、大がかりな仕掛けを用いてヴィクトルがシェイバニの身近なところに潜入する。味方に犠牲を出しながらも、ヴィクトルはシェイバニの信頼を勝ち取り、ボディーガードとして屋敷に入り込むことができた。
 待つこと数日。お待ちかねの客が来た。屋上でべこべこ音がするのでぎょっとする客(ギュンター)にシェイバニが言う。

シェイバニ:ああ、猫がいるんだ
猫:(足元で)なごーん
一同:?!

じゃあ屋根にいるのは誰だ? ……もうおわかりですね(笑)。

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2009年6月 5日 (金)

ドキュメンタリー「KGBシークレット・ファイルズ 世紀の取引~激突!諜報戦争~」

KGB シークレット・ファイルズ 世紀の取引~激突!諜報戦争~/コードネーム“トパーズ”~超大物スパイの真実~ [DVD]
U22004年ロシア
制作:TV CHANNEL RUSSIA

U-2撃墜事件
 1960年5月1日、スヴェルドロフスク(現エカテリンブルク)上空でアメリカのU-2偵察機が撃墜された事件。パイロットのフランシス・ゲーリー・パワーズは脱出して捕虜になった。パワーズはソ連の裁判で有罪判決を受けたが、1962年2月10日アメリカでスパイ罪で服役中のルドルフ・アベル(ウィリアム・フィッシャー)と交換で帰国した。

 U-2撃墜の状況がパワーズの息子らの証言で生々しく語られる。
 当時のソ連にはU-2の飛ぶ2万m以上の高度にまで到達できる迎撃機がなく、ろくにテスト飛行もしていないSu-9で体当たりを試みるが失敗。地対空ミサイルもその高度には届かず結局U-2には当たらなかったらしい。『ペンコフスキー機密文書』によるとミサイル爆発の衝撃波で破壊されたのだという。U-2迎撃のためにその場にいて自軍のミサイルに直撃されたMiG-19のパイロットは死亡しているにもかかわらず、U-2はきりもみ状態で落下してパワーズには脱出する時間があったのだからたぶんその通りなのだろう。
 このドキュメンタリーでははっきり当たらなかったとは言っていないが、衝撃波でもミサイルの破片でもまぁ、ミサイル防空システムでU-2を撃墜したには違いないからフルシチョフは自慢して良し。

 パワーズの落ちてきたところに駆けつけた村人の反応が「UFO少年アブドラジャン」の宇宙人を見た村人の反応みたいで笑ってしまった。

 U-2の落ちたスヴェルドロフスクってロシアの真ん中の方なんだよなぁ。ここをアメリカの偵察機が飛んでくって今からみるとすごい。しかもメーデーに。サミット直前にこれが挑発行為じゃないなら何だ。日本の上空を北朝鮮のミサイルが飛んでくのなんか比べものにならないぞ。

 パワーズの交換相手、アベル大佐ことウィリアム・フィッシャーが何をしていたのかは、全てが詳らかになっているわけではなさそうだ。アメリカでの活動は裁判で明らかになっているのだろうが…。
 しかし意外だったのは、フィッシャーは帰国後特に何の栄誉も受けなかったという話。西側や日本の報道では、レーニン勲章を授けられたと言われているのだが(例えば「BBC 世界に衝撃を与えた日―22―~U-2偵察機撃墜事件と米ソ冷戦下のスパイ交換~」)。
 このことや、フィッシャーの娘さんが語る彼女の母親へのプロポーズの言葉を聞いて、

死して屍拾う者なし
死して屍拾う者なし

という「大江戸捜査網」のナレーションが頭の中に流れたよ。

 それにしても、いくつか不思議なことがある。
 「アベルがソ連と関係している事を隠し通さなければならない」って事でソ連側が苦心する様子が描かれているけれども、これなんて本当に「???」だ。この期に及んで意味なくないかな。
 あと、アメリカ側が理論的には撃墜不可能なU-2がどうして撃墜されたのか知りたくてパワーズを尋問したかったっていうのはわかるにしても、ソ連側も飛行高度をしつこく聞いたというのはなんか変な気がする。レーダーで追跡できてなかったのかな?
 それから、西側や日本で既に知られている以上のネタがあまりないこと。
 旧ソ連ではこっちでどう報道されているかはわからなかっただろうから、ロシアの視聴者にはそういう視点が新しいのかもしれないが、カプリングされている「コードネーム”トパーズ”~超大物スパイの真実~」(こちらは東ドイツの話。マルクス・ヴォルフ・ファン必見←いるか?)と合わせると、すべて筒抜けだったという事なのだろうか。

 あるいはまた、既に知られている事以上のことは暴露しないぞ、というメッセージなのかな。…考え過ぎか。


同じテーマのドキュメンタリー:

BBC「世界に衝撃を与えた日22 U-2偵察機撃墜事件と米ソ冷戦下のスパイ交換」
ちょっと古い感じもするが、あわせて見るとおもしろい。大物の「アベル大佐」と撃墜されておめおめと捕虜になったへたれパイロットを交換するなんてとんでもない、という意見がアメリカでもあったとか。パワーズは自殺用の毒針を持っていたが、それは使われることなく押収されてスヴェルドロフスクの博物館に展示されている。

※グリニケ橋の交換シーンで場面で引用されている「デッド・シーズン」。そんな映画があったのか、それは見て是非みたいと思って探したらソ連の映画だった(「Мёртвый сезон」1969年ソ連)。

参考文献:
■キリル・ヘンキン著/尾崎浩訳『ソ連のスパイ (1983年)』(新評論)
■オレグ・ペンコフスキー著/フランク・ギブニー編/佐藤亮一訳『ペンコフスキー機密文書 (1966年)』(集英社)
(文庫化されているようだ→『寝返ったソ連軍情報部大佐の遺書 (集英社文庫)』)
■パーヴェル・スドプラトフ/アナトーリー・スドプラトフ著/木村明生監訳『KGB 衝撃の秘密工作〈下〉』(ほるぷ出版)

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2009年5月31日 (日)

ドキュメンタリー「KGBシークレット・ファイルズ MiG-25~フォックスバット~」

KGB シークレット・ファイルズ MiG-25~フォックスバット~ [DVD]
Mig25foxbat2003年ロシア
制作:TV CHANNEL RUSSIA

ミグ25事件
1976年9月6日、当時ソ連の機密のヴェールに包まれていたMiG-25(NATOコード名フォックスバット)が北海道の地方空港、函館空港に強行着陸した事件。

※事件の経過はこちら(@nifty TimeLineにまとめたもの)を参照

 直後に大型台風が上陸したり、「三木おろし」とかいう大嵐が内閣を吹き飛ばしそうになったり、毛沢東が死んだりしたので、日本人の関心は急速に冷えていったが、結構インパクトのある事件だったと思う。このミグ25事件をソ連側から見たドキュメンタリーである。

 あっと驚くような新事実はなく、我々が知っているのと大差ない。しかし、同じ事象でもソ連はそう受け取ってたのか、という視点がおもしろい。特に日本の対応については
「いやいや、それは違うから…」
と苦笑してしまう箇所もあった。

 例えば、ソ連の係官が函館空港にMiG-25の機体を返してもうらおうと出かけていったら(9月7日)、
「警察の管轄なので、私たちにはできません」
と断られた話がいかにも日本の強硬姿勢の例のように取り上げられている。
 しかし、それは日本のMiG-25はありがたくいただきました、という姿勢の表れではない。このドキュメンタリーでははしょられているが、函館空港(運輸省の管轄)で
「警察の管轄です」
と追い払われたソ連人たちは、翌日、函館中央署に行って同じ事を頼んでいるのである。そこでは、
「この件は外務省の管轄なので…」
と断られている。

鉄のカーテンより厚い縦割り行政の壁恐るべし!

 なーに、ソ連の戦闘機が強行着陸したって聞いて偵察にやってきた自衛隊も
「警察の管理下にあるので近づいてはいけません!」
と追い払われてるんだ、ソ連人だからって差別している訳じゃないよ、気にするな!

 それで、現在でも今ひとつはっきりしない「なぜベレンコは亡命したのか?」という理由については、状況証拠を述べるに留まっている。その内容は『ミグ-25ソ連脱出 ベレンコはなぜソ連を見捨てたか』に書かれているものと同じで新味はない。
 しかし、MiG-25開発に命をかけたグドコフらテストパイロットたちと対比して描くこの描かれ方で受ける印象は、坂田防衛庁長官(当時)が、
「彼はミグ25をアメリカに売れば、一生楽して暮らせると思ったみたいだね」
と言った感想に近い。
 本当の本心なんて、本人にしかわからないのだろうけど、緊急信号を出してレーダーから消えたから、事故を起こしたんじゃないか、と心配して探したり、函館空港に着陸してピストルを発射しているのを報道で知って日本の官憲につかまって酷い事されてんじゃないかと心配してたのに、実は亡命と知ったソ連側の憤りはわからないでもない。

 実際には、この間ソ連は、何が起こったのか把握できずにどうして良いかわからず呆然としていた印象を受ける。タスがようやくこの事件を報じたのは1週間近くもたった9月14日である。このドキュメンタリーで使われているタスのニュース映像は、本物なら9月28日の妻や母親の記者会見の時の物のような感じがする。ソ連の外務省が素早く適切に動いたように描かれているが、それは違う。

 名前だけはよく聞くアルチョーム・ミコヤンの人となりが少しだけれども語られている点、MiG-25が「最先端テクノロジー」というよりは、ソ連の技術者の「匠の技」でできているという話を聞いて嬉しくなった。
 ミコヤンがMiG-25を「離着陸の時だけ翼を必要とするロケット」と表現するのも、MiG-25を解体したアメリカの技術者たちがこれはジェット機というよりむしろロケットだ、と感嘆した話と符合する。テスト飛行中の事故映像なんてソ連があった頃は絶対見ることのできなかった貴重なものだ。やっぱり記録は取ってたんだ…って当たり前か。この手の秘蔵映像をふんだんに使ったドキュメンタリーをたくさん見たいものだ。


参考サイト:
昭和52年度 防衛白書より ミグ25事件

昭和52年度 外交青書より ミグ25型機の函館空港強行着陸事件

同 ミグ25型機の機体引渡しについての外務省情報文化局長談話


参考文献:
■ジョン・バロン著/高橋正訳『ミグー25ソ連脱出―ベレンコは、なぜ祖国を見捨てたか (1980年)』(パシフィカ)
相当の脚色があるらしく、例えばオーバーランして停まったMiG-25について
「機はハイウェーのそばに止まったので、自動車が何台も停まり、中からドライバーたちがカメラ片手に飛び出してきた」
といかにもアメリカ人の読者が喜びそうなステレオタイプの日本人が描かれているが、ベレンコが威嚇射撃をした相手は空港の拡張工事中の大林組の建設作業員。
同様に、ベレンコが失恋の痛手からホームシックにかかったかのように描かれているが、これはアメリカ人流の合理的解釈ではないだろうか。ロシア人言うところの「死に至る病」「ロシア人は移植できない植物のようなもの」というのとはちょっと違う気がする。


■大小田八尋著『ミグ25事件の真相―闇に葬られた防衛出動 (学研M文庫)』(学習研究社)
MiG-25が強行着陸したその時、現地函館では……
F4ej航空自衛隊:MiG-25を函館上空で地上レーダーから見失い、スクランブルしたF-4EJファントムの機上レーダーからも見失い、目視でも見つけられず。ようやく視認できたのは函館空港にオーバーランして停止しているMiG-25の姿だった。
陸上自衛隊:函館駐屯地のすぐ上を不自然な低空で飛びすぎる機影を多くの隊員が目撃した。だが、それがMiG-25だと気付いた人は誰一人としていなかった
北海道警察:「正体不明機から降りてきた人物が空港職員に威嚇射撃している」との110番通報をうけ現場に最初に到着してミグ25を確保、以後自衛隊をシャットアウト

……いろいろ泣ける。


■永地正直『文教の旗を掲げて―坂田道太聞書』(西日本新聞社)
「私たちは、ミグを函館からギャラクシーで百里に運び、完全に解体して調べ上げ、また元のように組み立て直してソ連に返した。」p.209
これはまぁ、一種の比喩的表現ではないかと…。25個に別けて梱包した機体をソ連に返還してるから、元のように組み立て直しているわけではなかろう。


■ジョン・バロン著/入江眉展訳『今日のKGB―内側からの証言』(河出書房新社)
KGB職員のレフチェンコが、ベレンコの奥さんの手紙(と称するモノ)をAPの記者に渡すなどして工作しているんだから、当時のソ連の首脳部やその筋の人が亡命なんて思いもよらなかったっていうのはちょっと信じられない。一般人はそうだったかもしれないにしても。


参考:当時の日本・ソ連・アメリカの首脳はこんなでした。

日本
内閣総理大臣:三木武夫
外務大臣:宮澤喜一
    →小坂善太郎(昭和51年9月15日内閣改造による)
防衛庁長官:坂田道太
自治大臣兼国家公安委員会委員長兼北海道開発庁長官:福田 一
          →天野公義(昭和51年9月15日内閣改造による)

ソ連
書記長:レオニード・I・ブレジネフ
外相:アンドレイ・A・グロムイコ
国防相:ドミートリィ・F・ウスチノフ
KGB議長:ユーリィ・V・アンドロポフ
駐日大使:ドミートリィ・S・ポリャンスキー

アメリカ
大統領:ジェラルド・R・フォード
国務長官:ヘンリー・A・キッシンジャー
国防長官:ドナルド・H・ラムズフェルド
CIA長官:ジョージ・H・W・ブッシュ
駐日大使:ジェイムズ・D・ホジソン

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2009年5月12日 (火)

ドキュメンタリー「母なる川 ヴォルガ」

Volga母なる川 ヴォルガ

1993年アメリカ
制作:ナショナル・ジオグラフィック・テレヴィジョン


 ヴォルガ川、そういえば今行ってみたい所の候補の一つだ。そう思いながら見たが、情報としては古すぎ、一般教養としては浅すぎる。

 カザンやアストラハンなんか一度は見てみたい都市なのに犯罪(カザン)はともかく、放射能(アストラハン)は勘弁してもらいたい。この辺、さわりだけでまったく物足りない。ロシアでの変化は相当早いみたいだから今はどうなっているのか。ソ連崩壊間もない当時はそういう速報的な興味だけで制作されたのかも知れない。で、掘り下げが浅いのも仕方ないのかなぁ。

 このくらいの報道なら、どこかのニュース番組で毎年~一年おきにレポートしてくれるとちょうど良いかも。

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2009年5月11日 (月)

ドキュメンタリー「ロシア最後の皇帝 ロマノフ家の悲劇」

Russias_last_tsarロシア最後の皇帝 ロマノフ家の悲劇

1995年アメリカ
制作:ナショナル・ジオグラフィック・テレヴィジョン


 おや、「ソ連崩壊後はじめて明らかになった…」と謳っている割には、ニコライ2世についての認識はソ連時代に制作された映画「ロマノフ王朝の最期」とあまり変わらないぞ?
 もっとも、「ロマノフ王朝の最期」は長い間一般に上映されなかったから、その辺りに理由があるのかも知れない。エレム・クリモフ監督は資料にあたってできるだけ事実に基づいて映画を創ったけど、それは、当時のソ連の一般的な見方は隔たりがあったという事なんだろう。

 写真好きのニコライ2世や彼の家族が撮った美しい写真や当時の貴重な動く映像を大量に見ることができる。それを見せるための話だからだろうか、ドキュメンタリーにしてもかなり淡泊な感じ。
 夫婦の愛や家族愛と隠された虐殺の事実を対比する構成ではあるが、お涙ちょうだいでもなくボリシェビキの残虐さを強調するような内容でもない。そもそも、ニコライ2世って実際、無能じゃないか? いくら家族を愛する優しいパパではあっても、政治に無関心だし、臣民は皇帝を愛していると根拠なく信じているだけで彼らの暮らし向きに思いを寄せる事はなくおもしろおかしく遊び暮らしているのが好きって……。

 「血の日曜日」の元凶と見られたニコライ2世やラスプーチンを盲信して誰からも憎まれた皇后アレクサンドラ、白衛軍に奪われるわけにはいかない皇太子アレクセイが射殺されてしまうのは、それは現在の価値観からしたら酷いことだが、当時は人の命は軽かっただろうし、仕方ないと言えば仕方ない部分もある。
 ……そうだったとしても銃座で顔面を砕けるほど殴ったり、娘たち、従者たちまで皆殺しにてしまうのは痛ましい。

 それにしても、「レオ・トルストイ」、「コサック人」等々おかしな表現には実にイライラさせられる。コサックを「荒っぽい騎馬民族」とさえ言っている。民族じゃないだろ。日本語に翻訳するとき『ロシア・ソ連を知る辞典』でも何でも見りゃあすぐ出てるのにモノを調べるって習慣がないのだろうか。

ニコライ2世関連の映画:
エレム・クリモフ監督「ロマノフ王朝の最期」(DVDには一家の葬儀を伝えるテレビ映像も収録されている。)

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2009年4月18日 (土)

映画「赤壁 レッドクリフ part II ―未来への最終決戦―」

レッドクリフpart II ―未来への最終決戦―

2009年中国
監督:ジョン・ウー(呉宇森)
キャスト:
周瑜…トニー・レオン
諸葛亮…金城武
曹操…チャン・フォンイー
孫権…チャン・チェン
尚香…ヴィッキー・チャオ
趙雲…フー・ジュン
甘興…中村獅童
小喬…リン・チーリン

 おもしろかったよ! ジョン・ウーらしくて!!
 火攻めがしたくてこの挿話を選んだんじゃないかって思うくらい気持ちよく爆裂してくれました。

 まぁ、曹操軍が硫黄、孫権軍が魚油を使ってる事になってる割にはいろいろ炸裂しまくってて、硫黄ってもっといやらしい燃え方するんじゃなかったかな、とか爆発するアブラってガソリンくらいだよな、という思いが頭の片隅に浮かばないでもなかったが、そういう事に拘りたいならこの監督起用しないわな。
 なかなか複雑な話のはずだが前知識なくてもすごくわかりやすく、さすがにうまい(手慣れてる)な、と思った。その分、真の三国志ファンにはいろいろ言いたいことがありそうだ(笑)。

 第1部でなんだよ、結局変態コスプレ親父の妄想かよ、という終わり方をしたのでどうなることかと思ったが、曹操がとても格好良く、一兵卒として仕えるならこいつの方が良い、と思ってしまった。だって劉備や孫権存在感なしで、どの点が人々に慕われるのかまったくわからない。民のためになんちゃら~という話しはしばしばするが、「民のために」「国民のために」というヤツの「民」なんていわば「民(脳内)」であってリアルな民のことなんてわかっちゃいない事が多いからな。口先だけで言われても説得力はないねぇ。
 そんなわけで曹操がそれほどひどい暴君に見えなくなってるところでもあり、双方が間諜を放って情報収集をしているのに、曹操だけが周瑜の策略に引っかかったような描き方は少しかわいそうに思った。情報なんて集めれば集めるほど正反対の情報が同じような信用度で入ってくるもの。「情報ほどあてにならないものはない」って言うじゃないか。周瑜の得たのが良い情報ばかりってのがリアリティがぁ……まぁそんなもの最初から求めてないから良いんだけどね。ただちょっとかわいそうかなって。

 甘興がまたおいしいところをもっていってて、火炎瓶っぽいものの試作段階で思ったより火力が強くてぬおってなる役(わりとお約束)をやってた。
 あと、槍ぐさーっと刺さって逆側から引っこ抜いて貫通~ってのも、チャン・チェの「水滸伝」のシーンを思い出して一人でウケてしまった。↑のもいわばセルフパロディだけど。

関連作品→「赤壁 レッドクリフ part I」「男たちの挽歌II

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