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2007年1月20日 (土)

映画「巨竜と魔王征服 イリヤ・ムーロメッツ」

Ilya巨竜と魔王征服
1956年ソ連
監督:アレクサンドル・プトゥシコ
キャスト:
イリヤ・ムーロメッツ…ボリス・アンドレーエフ
ワシリーサ…ニネリ・ムィシコワ
ソコリニチェク…アレクサンドル・シヴォリン
ウラジーミル大公…アンドレイ・アブリコソフ

 ロシアの英雄叙事詩ブィリーナの中でも人気のあるボガトィリ(=バァトル、勇者)イリヤー・ムーロメッツを主人公にした特撮映画。
 日本の子供がウルトラマンとかドラゴンボール見てたのと同じ感覚で、ソ連の子供はこれを見てたんだろうなー。ロシア映画の主人公がオッサンばっかりな原因は、この辺の幼児期の刷り込みによるのかも(笑)。

 ブィリーナに登場するウラジーミル太陽公のモデルは、ロシアにギリシャ正教を導入したキエフ大公のウラジーミル(在位980~1015年)だろうということだ。
 しかし、「宗教はアヘン」なお国柄では正教はまずいので、ここに出てくるウラジーミル大公は雷霆神ペルーンを祀っている。キエフの門の外にも石人君(キリスト教以前の神々の像)が並んでいて私は大喜びだけど、それっていいのかな(いろいろな面で)。
 …でも、どうせリアル・ウラジーミル大公だって、お后800人いたとかいう話だし、心からキリスト教を信仰していたとはとうてい思えないから、まいっか(爆)。

Linew


 ムーロムのカラチャーエフ村の百姓の子イリヤは、30歳になっても手足が萎えて動かすことができない。トゥガルの騎馬部隊が村を荒らし、イリヤの恋人ワシリーサが掠われても見ているしかできないのだった。
 トゥガルは本来はポロベッツなのかもしれないが、いろいろな服装や顔(ネコ耳のヤツもいる)をした連中で、最後の方で出てくる軍隊はほとんどが歩兵。だから大丈夫です!(何が…笑)。王はカリン=ツァーリというがネコじゃない。
 ただ、この村に来たのを率いているのがサルタクという名前なのがやや気になる(笑)。

 しばらくして、巨人スヴャトゴルの予言を受けた旅の一行が、両親が畑仕事に出てしまったあとのイリヤの家に立ち寄り、イリヤに薬草を飲ませ、グースリを伴奏に歌を歌って聞かせると、じゃーん。手足を動かせるようになりましたぁ!
 動けるようになったイリヤは、さっそく畑に行って木の根をぶっこ抜き、大岩を投げ捨てて両親をびっくりさせる。しかし、旅の人たちとの約束でカリン=ツァーリに苦しめられているキエフを救うため、黒馬ブルシュカに乗ってキエフに向かうのだった…。

Linew


 ブィリーナの誰でも知っているエピソードの映像化、ということで、原作を知らないとかなり難解。
 アリョーシャやドブルィニャも出てきて、イリヤと義兄弟の契りを結ぶが、

◎美男子アリョーシャが女の子を口説いていると、盗賊ソロベイの起こした強風が女の子をぴゅー。吹き飛ばす。かわりにでかいおばちゃんが飛ばされてきてアリョーシャをがっつり抱擁して熱いキス!(←お約束ですな)

とか、

◎怒ってキエフの宮殿を射るイリヤに、礼儀正しいドブルィニャが後ろからそっと近づいて説得してウラジーミル大公の所まで連れて行く。

なんてエピソードは、彼らがブィリーナでどういうキャラが割り当てられているのか知ってないとかなり唐突だろうなぁ。みんな髭面で見分けがつくまで一苦労だし(笑)。
 そういったことを考えると、一般向けとはなかなか言いにくいが、ロシアヲタ(笑)必見な映画である事は間違いなし! …ここで美しい祖国と歌われてるキエフもドニエプル川も今はロシアじゃないけどね。


参考文献:
Ilyatsutsuiイリヤ・ムウロメツ

筒井康隆・著
手塚治虫・絵
中村喜和・解説

※手塚治虫が描くイリヤはかなりイメージが違う。

ボリス・アンドレーエフ出演の映画→「ベルリン陥落
アレクサンドル・プトゥシコ監督の映画→「石の花 ウラル地方の物語
プトゥシコ総監督/コンスタンチン・エルショフ監督の映画→「妖婆 死棺の呪い

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コメント

>筒井康隆・著
>手塚治虫・絵

筒井ファンでも手塚マニアでもないですが、
このコンビで絵本なんてことがあるんですね
いやぁ まじっすか?
・・・てな感じですが(笑

投稿: 武藤 臼 | 2007年1月21日 (日) 09時18分

ばらで考えると、「火の鳥」からの連想で手塚治虫はあり得るなーと思ったんですが。
筒井康隆はへーって感じでした。
ほんと、どういう経緯でこういう組み合わせになったか不思議です。

投稿: 雪豹 | 2007年1月21日 (日) 09時53分

ロシアの竜が出て来ましたね。

そこで「ブルガリア神話」の竜(Zmey)は知りませんか。
この竜は雌雄竜でなんと良い竜と悪い竜になって登場するらしい。

良い竜は正義の味方。
悪い竜は火を吐き空を飛ぶ。街を破壊。さらには若い娘を襲う。

この神話の物語を調べてます。たぶんヤマタノオロチ退治みたいであろうかと思うのですが、なんせ雌雄2頭ですからね。

わかりますか。

投稿: sadakun_d | 2007年2月20日 (火) 19時00分

コメントありがとうございます。
ブルガリアの竜、残念ながらわかりませんが、若い娘を掠うなんて正統派ですね。
ブルガリアの神話がスラヴ的なのか、テュルク的なのか、興味のあるところです。

>火竜ゴルィヌィチ

キングギドラの原型ですよね(笑)。
ところで、ロシア語では「ズメーイ=ガルィヌィチ」と言っています。「ズメーイ」というのは「蛇」という普通名詞です。蛇と竜はロシア語でも同じもののようです。たぶんブルガリア語でもそうなんでしょうね。
手元にあるロシアの子供向けの絵本では、ズメーイ=ガルィヌィチも若い娘を掠って、ドブルィニャに成敗されています。

投稿: 雪豹 | 2007年2月20日 (火) 22時20分

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