映画「バトル・フォー・スターリングラード」
1975年ソ連
監督:ウラジーミル・ドスタリ
映画化・演出:セルゲイ・ボンダルチュク
キャスト:
ピョートル・ロパーヒン…ワシーリィ・シュクシン
ニコライ・ストレリツォフ…ヴャチェスラフ・チーホノフ
イヴァン・ズヴャシニコフ…セルゲイ・ボンダルチュク
ミハイル・ショーロホフ原作「彼らは祖国のために戦った」を映画化したもの。普通の人にとっての戦争とは。
と、いうことで、登場人物が頗る多い。で、顔を覚える前にじゃんじゃん死んでいく。特に、舞台が1942年7月、ドイツ軍がすさまじい勢いでスターリングラードへ迫ろうかという時期なので、一般の兵士は悲惨である。
「軍旗を守ったから連隊は永遠に不滅だ。」
との言葉もむなしく響く。
彼らソ連の兵隊さんは、後ろに向かって進軍しているので通過する村々の反応は非常に冷ややか。
中には悲観的になってるヤツもいるが、そういった村で休憩を取っているうちは、居眠りしたり、川で泳いだり、川エビを取って煮たりとのどかそのものなので、なんと弱虫なヤツだろうと思っていると、不気味な静けさ…そして遠くに爆撃の音が聞こえてくる。
さっきまでのどかにトリがさえずっていた草原一杯に展開してくる戦車に、人力で掘った塹壕(というか、溝になってないからトーチカ(点)っぽいがただの穴か)から銃で撃って食い止めようというのだ。B29に竹槍くらい無謀じゃなかろうか。人のいる塹壕の上を戦車が念入りに踏みにじりにじりにじりまくる様は見ていられないほどだ。
この戦車の無限軌道が頭の上を走るかのような迫力に圧倒されていたら。第二部の絨毯爆撃のド迫力にはぱくぱくしてしまう。
1平方kmあたり何トン?くらいの勢いで、すさまじい土煙に画面は何度も暗転。登場人物が思わず、
「主よ、我が命を助けたまえ…。」
と神に祈ってしまうが、見ているこっちまでも祈ってしまいそうだ。映画館でこれ上映したんだよね?
どっしゃああああ。一度体験してみたい…ようなしてみたくないような。
関連作品:
ボンダルチュク監督作品。
「人間の運命」「戦争と平和」
「熱い雪」の映画化。包囲されたドイツ軍の最後の反撃。
「スターリングラード大攻防戦」
ヒトラー役の役者の常人離れした(爆笑)演技が光る。
「ベルリン陥落」
| 固定リンク
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 映画「父は憶えている」(2023.12.19)
- 映画「深い河」(2019.12.28)
- 映画「予想外のでき事」(2019.12.22)
- 映画「ソローキンの見た桜」ららぽーとでも上映しないかなぁ?(2018.12.17)
- 映画「天才バレエダンサーの皮肉な運命」(2018.12.16)
「ソ連」カテゴリの記事
- ついに出た『集史』「モンゴル史」部族篇の日本語訳!(2022.05.27)
- C98に向けアラビア文字のタイポグラフィーについて考える(2020.03.08)
- モンゴル近・現代史理解に不可欠の良書・佐々木智也著『ノモンハンの国境線』(2019.12.01)
- 『大旅行記』の家島彦一氏の講演を聴きに行ったよ(2019.06.09)
- コミケット95ではありがとうございました(2018.12.31)
コメント
>>一度体験してみたい
戦車で踏みつけがお好みですか? それとも絨毯爆撃のほうでしょうか?
当店はお客様のニーズにあったサービスを用意しておりますので、ご遠慮なくお申し付けください。
なお、「戦車で踏みつけ」は牛にひかせた移動型要塞にて承っております(ひれ伏すがよいわ、夷狄の者どもめ、うわはははは…)
投稿: マルコ | 2007年2月22日 (木) 00時00分
いやいや、自分で掘った塹壕が爆撃で崩れてきて身体が埋まってそのまま墓穴になっちゃうくらい嫌な事あるぅ?(ってまじレスかい)。
蹄で顔をにじられるのも、もちろん、遠慮しときます(笑)。
投稿: 雪豹 | 2007年2月22日 (木) 12時37分