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2007年3月30日 (金)

映画「アンドレイ・ルブリョフ」

Rublevアンドレイ・ルブリョフ

1966年ソ連
監督:アンドレイ・タルコフスキー
キャスト:
アンドレイ・ルブリョフ…アナトーリィ・ソロニーツィン
キリル…イヴァン・ラピコフ
ギリシャ人フェオファン…ニコライ・セルゲーエフ
白痴の少女…イルマ・ラウシ
大公/公爵…ユーリィ・ナザーロフ
タタルのハン…ボロト・ベイシェナリエフ

 アンドレイ・ルブリョフ(1370年頃~1430年頃)は実在のイコン画家だが、ここで描かれる物語は史実ではない。
 ストーリィは、世間から天才と呼ばれながら、イコンを書くとはどういう事かと悩み、描けなくなってしまったルブリョフが、最後には悟りを開いて素晴らしい作品を描くようになるまでを描く。
 かなり誇張して描いているのでわかりやすい。

 特に、兄の大公を憎む公爵に引かれてウラジーミルにタタルのハンが侵攻していくシーンが圧巻(1408年)。
 タタル兵とロシア兵が助け合い、教会の入り口を破る。タタル兵とロシア兵が入り乱れて避難していた人々をザク切りにする。
「この異教徒のタタルめ!」
と罵る憐れな犠牲者(司祭か何かかな?)に、正教会によって神の名で大嫌いな兄と無理矢理和解させられたことを根に持つ公爵は、
「オレはロシア人だ。」
と言い、口の悪いこの男の口に煮えたぎる油が注がれ、黙らされる様を冷ややかにながめている。
 冷酷な公爵に良心の呵責は微塵もない。正教会の葱坊主の屋根から金箔がはがされるのをながめながら、たぶん、
「次は兄貴の首…。」
などと考えていそうだ。
 タタルのハンは、聡明そうな顔立ちをした温厚そうな人物だ。

 またこの襲撃中に、ロシア兵に襲われそうになった白痴の少女を助けようとしてルブリョフは殺人を犯してしまう。
 ところが、後に飢饉の時にルブリョフたちがいる修道院にタタル兵たちが立ち寄る事があるが、彼らが腹の減った犬に馬肉を投げ、お互い噛み合う(このときのロシアがまさにこの状態なんだが)のをおもしろがっていると、その肉がたべたくなった彼女はタタル兵の中に入っていき、その隊長?のぴかぴかの甲冑が気に入って、ついて行ってしまうのだ。彼女には、ロシア人かどうかとか、宗教とかはまったく関係ないからな。隊長さんの方も、腐ったリンゴしかくれない修道士(ルブリョフ)より、自分に懐いてきた少女が気に入って、見つめられて照れてる(笑)。

 ここに出てくるタタルは、全体的にニュートラルな感じになっている。
 ここでロシア人に非道いことをしているのは主にロシア人だ。
・旅芸人を密告したり…。
・異教を信じているからといって、ヤリーラかなんかの祭りをしている素っ裸の連中を捕まえて痛めつけたり…。
・公爵の所の方が良い石を使わせてくれるからと、そこに行こうとする彫刻家の目をえぐったり…

 でも、たぶん、オマケで付いている「タタールのくびき」に関連した映像に出てくるモンゴルの方が一般的なイメージなんだろうな。…ともかく、これ、すごいんすよ(笑)。
「否応なく火をくぐらせるのだ!!!」
って、アナタ…。日本人も、
「これを裸足で渡ると一年が健康に過ごせるんだってよ。」
と好意で火渡り神事かなんかに参加させたら、末代まで呪われそうだ。
 その中に「イリヤ・ムーロメッツ」から大軍が移動するシーンが流用されているけれども、よく見ると、ロシアに侵攻してくるところに使われてるのは、キエフの軍だったりするのが笑える。ロシアの民をいじめているのは主に外からの敵ではないって皮肉かな(笑)。

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2007年3月29日 (木)

映画「蒼き狼 地果て海尽きるまで」

2007年日本
監督:澤井信一郎
キャスト:
チンギス・ハーン…反町隆史
ボルテ…菊川怜
ホエルン…若村麻由美
クラン…Ara
ハサル…袴田吉彦
ジュチ…松山ケンイチ
ジャムカ…平山祐介
ケクチュ…津川雅彦
トオリル=カン…松方弘樹

 まずはたまらずに身をよじったセリフを2点ご紹介。

(ジャムカはアンダ(盟友)だから裏切れない、というテムジンに対し、)
トオリル:アンダがなんだ。

ジャムカ:わしがたった一人のになるッ!
部民:オウ!

く、くだらねえええ。しかし笑ってしまった以上、こちらの負け…。潔く敗北を認めよう(かといって絞殺はやめてね)。

 戦闘シーンがとても良かった。弓主体で槍を多用してる所が好感が持てる。あと馬から落ちても割と平気っぽいところとか。モンゴルの草原を騎馬の軍団がドドーッと移動するところとか…。

 でもまぁ、この映画が全世界に配給されることになって、
日本のモンゴル研究のレベルってこのくらい? プッ。」
とか思われるようになりはしないかと心配していたけど、杞憂だったか…。

 だって、これだったら日本人以外は絶対見ないっしょ!(爆)。

(↓以下ネタバレはそれほどない(?)が、これから見ようという人は見ない方がよいかも↓)

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2007年3月25日 (日)

映画「モンゴル」のキャスティングについて

前回から引き続いて「モンゴル」気になりついでに、キャストについてあれこれ妄想中(笑)。

テムジン(チンギス・カン)…浅野忠信
公式サイトの一番最初の役者が紹介してある所に、出た映画「座頭市」「御法度」なんて書いてある。
さすが北野武、ヨーロッパ方面で強いんだナーと思った。
世界的に知られた俳優で、ぎりぎりモンゴル人に見える顔って事で日本人なんだろうか。
顔ってことなら、香港人でもいいじゃん、とか思うけど、神道はシャマニズムに近いという印象があって、それで当時のモンゴル人ときっと通じるものがあるに違いない、と思われての起用かも(妄想でふ)。

ボルテ(テムジンの妻)…フラン・チュルーン
モンゴル語的には「チョローン」の方がひょっとしたら近いのかも。(ロシア語から起こしてるのですまんこってす。)
この人はもともとは役者でなく素人。モンゴルの大学3年生、21歳だそうだ。
それにしても、この人の演じるボルテは若いときから肝っ玉母ちゃんの片鱗が~(笑)。

ジャムカ(テムジンの親友)…スン・ホンレイ
パート1でどこまでやるのかわからないが、とりあえず最初はアンダ(親友)ってことで。
スン・ホンレイは「セブン・ソード」とか「初恋のきた道」とかに出てる。けど、どれも見たことないからわからんなー。

エスゲイ(テムジンの父)…バーサンジャプ
NHK大河ドラマ「北条時宗」のクビライ役の人ですね。
こらえ性がなく、連続モノをたいてい見ない自分が、「北条時宗」の時は、一年間、毎週日曜日には、8時になる前にテレビの前に正座して待ってたもんだった、クビライが見たいばっかりに(爆)。クビライが出た日はもう大喜び、出ない日は翌日まで(圧倒的に多いわけだが)どよーんとしてた気がする。
これがいわゆる萌えってやつなんでしょうかね~~~(笑)。

クビライ萌え~。

で、今度はエスゲイなのか…すぐ死んじゃうんだよね、きっと。あうあう。

ホエルン(テムジンの母)…アリヤ
で、エスゲイ父ちゃんが死んじゃったあと、テムジンやその弟妹たちを育て上げた肝っ玉母ちゃん。
女優のアリヤさんはどんな人かわかんないです。

タルグタイ…アマドゥ・ママダコフ
タイチウドの領袖タルグタイ・キリルトゥグ。テムジンの最も初期の敵役ですな。公式サイトに枷にはめられてる子供テムジンの写真があるけど、あれやったのこいつ。子供を虐待する非道いオヤジだ(笑)。
でも、一番最初にテムジンのすごさを見抜いた人を見る目のある人物とも言える。だからこそ執拗に殺そうとするんだろう。
ママダコフは、「東部戦線1944(2002年)」という映画でアレクセイ・クラフチェンコ(「炎628」「シティ・コネクション」)と競演してる。
インタビュー読むとアルタイ人のようだけど、キプチャクの出だとも言ってる。アルタイ人って幾つかの部族の総称みたいだから、細かく見ると出自はいろいろだったり、でも各々ちゃんとわかってたりするのかもしれない。
そういえば、黒澤明監督の「デルス・ウザーラ」のデルス役マキシム・ムンズクもトゥバ人だったりして、南シベリアはシャマニズムのメッカ(爆)というイメージがあったりして。

デイ=セチェン…ヘー・ツィー
わかりません。

子供の頃のテムジン…オドナン・オドスレン
子供の頃のボルテ…バヤルツェツェグ・エルデネバト
子供の頃のジャムカ…アマルボルド・トゥフシンバヤル

子役は全員わかりません。名前はモンゴル人っぽいけど。

ソルカン=シラ…ア・ユエル
この人もわからない。なに人ともつかない名前に見えるけど、わかる人にはわかるんだろうナァ…。

中国方面に詳しい人ならわかるのかな。
わかる方、教えてくだされ~。

追記:
9月20日記事今日封切り!(ロシアで)映画「MONGOL」に予告編、トレーラーをまとめてみました。

2008年4月7日記事映画「モンゴル」見てきた。

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2007年3月20日 (火)

映画「モンゴル」について妄想する

 よそんちの掲示板(天地プロ)で見て以来気になってしょうがないので、映画「モンゴル 第一部」についてあれこれ想像してみる。2007年秋公開ということなんで、まだ先の話だけれども、たぶん、DVD買うな(更に先の話だ…笑)。しっかし、日本の俳優が主役なので日本で公開しないって事はないだろうけれど、120分って時点で、日本でロードショーできるのかと不安になるね(笑)。

公式サイト→http://mongol.ctb.ru/

「戦争と平和」以来のスケールとか、制作費1500万ユーロといったうたい文句とか、
あれ、ここ「ククーシュカ」作ったとこだろ、などとやや不安になる要素がないでもないけれど、角川版を見ようとするために心に生じた葛藤(爆)のようなものはない。


↓以下は、「モンゴル」に直接関係なし↓

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2007年3月18日 (日)

映画「シティ・コネクション」

シティ・コネクション

2005年ロシア
監督:オレーク ステプチェンコ
キャスト:
ヴェルシニン…アレクセイ・クラフチェンコ
スヴォロフツェフ…アレクセイ・ペトルヒン
ベルジャエフ…アレクサンドル・カルポフ
ソース…アレクサンドル・ヤコヴレフ
ヴェルシニンの妻…ヴィクトリヤ・トルストガノワ

 原題は訳しにくいが「男の季節~ビロード革命~」とでもなるか。英語の題名は副題からとって「Velvet Revolution」となっている。
 色気がないと言えば全然ない、犯罪アクション映画。
 カーチェイスといっても、ドライバーの超絶テクで観客を冷や冷やどきどきさせるという感じではなく、とにかく力業で車をじゃんじゃんぶっつけ、放り投げ、爆破する(笑)。
 繊細さとはほど遠く大味な気はするが、その辺がロシアらしいと言えばロシアらしい。まー、思い切りやってくれるのでその点は爽快だ。

 ヴェルシニンは麻薬捜査官だが、妻が重度の麻薬中毒患者で、娘にも「あんたの妻」とか言われるほど家族はバラバラだ。(でも、結構この奥さんが一番「漢(おとこ)」だったりして。)
 ヴェルシニンがまたダメ刑事で、妻の治療費を払う金もない。テレビ放映中のアメフト試合中に捜査の大失態を演じ、執務室をいかにもキャリアという感じのスヴォロフツェフに明け渡す羽目になってしまう。しかも、そのスヴォロフツェフに金を無心するダメっぷり。
 でも、不器用な男なので、他のお利口な人たちのように麻薬組織とよろしくやっていくことができずに、真っ向からやり合って、徹底的にマークされるほどに嫌われているのだった…。

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 それにしても、「実直な警察官」っていうのは、映画とはいえかの国ではよほどリアリティがないのか、この映画に限らず、ロシアの犯罪アクション物に出てきたのを見たことないな(笑)。



関連作品:
アレクセイ・クラフチェンコが出ている他の映画→
炎628
東部戦線1944
ロシア特殊部隊スペツナズ
ヴィクトリヤ・トルストガノワが出ている他の映画→
レッド・スナイパー 独ソ最終決戦
レッド・ガントレット

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2007年3月15日 (木)

タイムラインで年表

試しに年表作ってみました。まだワクだけだけれども。

1000~っていうのがどうにも困ってしまうが、結構きれいにできそう。
横長なんでブログにはるときつい(笑)。

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2007年3月14日 (水)

映画「天上草原」

天上草原

2001年中国
監督:サイフ、マイリース
キャスト:
シュリガン…ニンツァイ
フーズ…グアルスーロン
バルマ…ナーレンホア
テングリ…アユンガ

 ひょっとしたら、結婚している人にはわかるのかもしれないが、私には何度見てもストーリィの意味がよくわからない。
 しかし、興味深いところもあるので、ストーリィ自体にはそれほど意味が無く、映像詩のようなものだと考え、感想をメモしておく事にする。

 「射ちょう英雄伝」に出てくるモンゴルはなんか変だなぁ、とずっと思っていたがその理由の一つがこの映画を見てわかったような気がした。要するにあれは、チンギス=カン当時のモンゴルではなく、現在の内モンゴルのモンゴル人のイメージで撮られていたわけだ。内モンゴルは行ったことなかったからピンときていなかった。
 …こうして最大限好意的に解釈しようとしたって、灯火で中が透けて見えるほどのぺらぺらなゲルってあり得ないだろうが>しゃちょー(「英雄十三傑」もそうだが)

 例えば、「しゃちょう英雄伝」ではサマルカンド攻略の際に、蹄鉄云々の話をしているが、当時のモンゴル在来馬は装蹄していないはずだ。「東方見聞録」にもそのことは書いてあるし、現在のモンゴルでも蹄鉄は付けていない。(当然突厥の時代も装蹄していないはずだから、「ヘブン・アンド・アース」(これも中国の映画だ)で安が蹄鉄を拾って何か言ってるのはおかしいよなー。)言わなきゃ良いのに、騎馬民族っぽさを出そうとして墓穴を掘ってる。
 しかし、どうも「天上草原」中のナーダムの馬も蹄鉄を付けているようなのだ。「天空の草原のナンサ」では、舗装はしていないものの踏み固められて固くなっている自動車道を避けて馬を歩かせていた。もはや、内モンゴルでは、馬も靴を履かずに歩けば蹄を痛めるということなのだろうか。

 あと驚いたのは、モンゴル人が草を刈っていることだ。家畜の餌なのだろうが、本来「遊牧」とは草刈りをしないのではないだろうか。モンゴル国ではあまりしていないんじゃないかな。だからこそ、ゾトに弱かったりもするんだが、囲って餌をやるのはもはや遊牧ではなく、ただの放牧だろう。遊牧するだけの充分な広さの草原がないということなんだろうか。

 そう言うことを考え合わせると、エンディングで今は都会で暮らしているフーズが、このころを懐かしんで、シュリガン達はどうしているのかなぁ、なんて言っているのを聞いて、最初見たときは
「何言ってるんだ、いつでも会いに行けばいいだろう?」
と思っていたが、「天上草原」はもはやこの世に存在せず、行くことができないのかもしれない。

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2007年3月13日 (火)

映画「エア・パニック ―地震空港大脱出―」

エア・パニック -地震空港大脱出-

1979年ソ連
監督:アレクサンドル・ミッタ
音楽:アルフレッド・シュニトケ
キャスト:
アンドレイ・チムチェンコ…ゲオルギー・ジジョーノフ
ヴァレンチン・ネナロコフ…アナトーリィ・ヴァシリエフ
イーゴリ・スクヴォルツォフ…レオニード・フィラトフ
タマーラ…アレクサンドラ・ヤコヴレワ
栗原小巻

 ジャンルとしてはコメディのような気はするが事態は深刻である(笑)。
 機長のアンドレイ、副操縦士と思われるヴァレンチン、エンジニアのイーゴリ、フライトアテンダントのタマーラの私生活や家族の状況がそれはもう丹念に描かれている辺りは、「エア・クルー」という原題の方がぴったりくる。
 コメディというか、ドロドロの昼メロというか、例えば、気の多いイーゴリなんか期待通り修羅場になってくれますとも(笑)。

 前半、そんな調子でまったり進んでいくので油断していたら、突然の急展開。タメの取り方がなんか変~(笑)。

 アルメニアを思わせるビドリという地方都市が地震で壊滅。そこに彼らクルーが救助に向かうのだが、ビドリ空港の立地に絶句…。
 絶対にそんなところに空港造らんでしょ!!!

 ビドリの市街は壊滅状態。
 病院も既に崩壊しており、状況は予想していたよりはるかに悪く、負傷者や女子供を乗せてすぐに飛び立とうとするのだが、そこを余震が襲う。

 滑走路に亀裂!

 管制塔崩壊!

 危険を感じて早々に離陸しようとした旅客機が爆発炎上!
 残骸の中から人の手が出ていたりして情け容赦がない。
「飛行許可を…。」
なんて言ってる場合じゃないよ、機長。管制塔燃えてますって。
 更に斜面の崩壊が石油コンビナート(こんなところに造るなー)を巻き込んだ土石流となって空港を襲う。

「離陸は不可能、残れば生き埋め…じゃ、離陸だな!」
おいおい…。戦闘機やヘリならともかく、大型旅客機(ツポレフTu-154Bと思われる)で言うセリフかーーー!

 しかしどうせ死ぬなら試してみるしかない。
 照明塔が倒れ込んできて危機一髪のところを無理矢理離陸。

 何とか助かった、と思ったのも束の間、高度が上がると子供達が、
「耳が痛い。」
といっせいに泣き出すのだ。うわぁ。やだやだ。
 そして、案の定、空気が漏れているのである。どうやら、照明塔が触れたらしく尾翼に亀裂が入っているようなのだ。

 高度を3000メートルに下げると同時に、この人達、修理しようとしているよ。あわわわ。
 高度3000メートル(富士山よりは低いか)を飛んでいるジェット機の機外に出て!

 ほ、本当にやるんですか、キチョーーーー(泣)!


 なお、ローマ空港でハイジャックされた航空機をアエロフロートのクルー達が他人事のようにながめてるシーンに栗原小巻が出演している。
 あれはやっぱり、ハイジャックって言うと、「超法規的措置」が思い浮かぶからなんだろうなぁ。

A.シュニトケが音楽を担当している他の作品:
ジジョーノフも出てる→「スターリングラード大攻防戦
「エア・クルー」のトレーラーも入ってる→「ロマノフ王朝の最期

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2007年3月12日 (月)

映画「アンティ・キラー」

ANTI KILLER 2

2004年ロシア
監督:イェゴール・ミハルコフ=コンチャロフスキー
キャスト:
フィリップ・コレノフ(フォックス)…ゴーシャ(ユーリィ)・クツェンコ
リューダ…リュボーフィ・トルカリナ
ウジャク…アレクセイ・セレブリャコフ
リトビノフ…セルゲイ・ヴェクスレル
クロス…セルゲイ・シャクロフ
ベドブグ…イヴァン・ボルトニク
ブルーム…ユーリィ・シュルストニョーフ
メティス…ヴャチェスラフ・ラズベガエフ

 「レッド・ガントレット」の続編。原題は、「アンチ・キラー2」だが、微妙に設定が違う気がする。
 配給会社の違いのためか、英語版を元にしているためか、前作から引き続き出ている人が違うあだ名で呼ばれていて、せっかくシリーズ物なのに少々もったいない気もするが、話自体は独立しているので、鑑賞する分には問題ない。ただ、知っていると、得した気分にはなる(笑)。
 時間的には前作以前の話なのだろうか。前作の後半で、かなり唐突に出てきた感じのするリトヴィノフとコレノフ(フォックス、「レッド・ガントレット」のリース(キツネの意)。)の関係がはっきり描かれている。
 余談だが、前作はよほどヒットしたのか、検索してたら「アンチ・キラー」というシューティングゲームがあった。そのゲーム、銃器がいろいろ選べるのは良いとしても、バルカスやアンバルでプレーってのはモラル的にいかがなものかと(笑)。

 それはまぁ、いいとして。2002年、チェチェン。
 フォックスたちはチェチェンの過激派ともつながりのあるアデュエフ将軍のアジトを襲撃し、将軍を拉致する。いったいどこの警察がそんなことをするのかと不思議だがもっと不思議なのは、極秘行動のはずなのに、襟章とか顔とか丸見えってどういう事? それにこの人達、モスクワの警察だと思ってたんだけど、チェチェンまで何で出張してるのかね?
 それと、爆発のたびに、
「あ゛ー。」
と両手を上げて真後ろにぴゅーんと人が吹っ飛ぶのは、なんだかコントみたい(笑)。

 しかし、アデュエフ将軍の子供達は生き残り、父親を取り戻すためにモスクワに向かう。モスクワでは、遠い親戚というつてで地元のマフィア・ブルームを頼り、クロスを襲撃して金を奪い取る。その乱闘でメティスは負傷、クロスはウジャクらに連れ去られてしまう。

 末の弟ニシムがリトヴィノフに復讐しようとして失敗したり、フォックスたちがウジャクのアジトを急襲しようとして罠にはまったりするが、そのたびに
「あ゛ー。」
って真後ろにすっ飛んでくのはどうにかならんかな。まったく笑いが止まらない(ギャグ?)。

 へぇ、と思ったのは、フーリガンが市場を襲撃した時に、騎馬警察隊が鎮圧にあたっていたこと。カナダの騎馬警察隊は有名だけど、ロシアにもあったのか。もっとも、この映画自体が無国籍っぽいので、どの程度本当なのかはよくわからないのだが…。
 しっかし、マジ怖いわ、ロシアのフーリガン。馬も大変だ。

 一方、暴動騒ぎで機動隊が動員されている隙に、裁判所に護送中のアデュエフ将軍がウジャクに奪還されてしまう。
 護送の警官は全員射殺。しかし、執念の射撃でアデュエフ将軍も被弾する。
 そのため、暴動の後始末に向かう救急車を乗っ取るのだが、それにはフォックスの妻リューバが乗っていたのだった。

 まー、そのおかげで、リューバと一緒に監禁されているクロスの居場所が判明するのだけれど、だからってメティスに協力を仰ぐか? マフィアとばっちり癒着しとるやんけ~。おぬしも悪じゃの~(笑)。

 一方、指揮官ヴォロシンがウジャクのアジトの襲撃を命じる。人質がいるからとリトヴィノフは諫めるが、ヴォロシンは聞く耳を持たない。
リトヴィノフしぶしぶ部下に命じて曰く:
「おまえたちー、人質が居るんだぁー。ちゃんと狙って撃てぇー。」
部下:ずがん!ずがん!!ずがん!!!ずがん!!!!
 おいおいおい。そういうのは、日本では乱射って言うんだけど(汗)。どこに人質に対する配慮があるんだぁ! 人質(クロス)弾に当たってるぞー!

 そして怒濤のエンディングに向けてカーチェイス発動!


 第1作目のすべての秩序が崩壊している、という混沌とした感じは薄れているものの、ロシアのめちゃくちゃぶりが余すところなく描かれている(笑)。一作目のような精神的にキツイのをシリーズで続けるのも難しいからか、ギャグもちりばめられている…って、ギャグのつもりじゃなかったらゴメン…でもどうしても吹いてしまう(笑)。
 既に「アンチ・キラー3」も2007年に出ているらしいが、日本でリリースされるかどうかは知らない。というか、リリースしてちょうだいませ!


関連作品→「レッド・ガントレット

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2007年3月10日 (土)

映画「レッド・ガントレット」

Antikillerレッド・ガントレット

2002年ロシア
監督:イェゴール・ミハルコフ=コンチャロフスキー
キャスト:
リース(フィリップ・コレノフ)…ゴーシャ(ユーリィ)・クツェンコ
ドン…ミハイル・ウリヤノフ
アンバル…ヴィクトル・スホルコフ
シャマン…アレクサンドル・バルエフ
バルカス…エヴゲーニィ・シジヒン
タマーラ…ヴィクトリヤ・トルストガノワ
クロス…セルゲイ・シャクロフ

 元警官のフィリップ・コレノフが刑期を終えて刑務所から出て来た。
 容疑者を殴って自白させた様子を撮ったビデオがリークされたために有罪になったのだが、それというのも、犯罪者に対してあまりにも情け容赦がなかったからで、マフィア連中からは「リース(キツネ)」と呼ばれて恐れられていたのだ。
 特にビデオをリークした件の黒幕・シャマンは、刑務所内にまで暗殺者を差し向けるほどリースを憎み、危険視している。しかし、殺し屋は朝飯前どころか朝歯磨き前にのされてしまう。
 原題の「アンチ・キラー」はリースを指す。殺し屋以上に恐ろしいヤツだって事だ。

 リースが出所した頃、シャマンは勢力を着々と広げていた。メティスやバルカスを力で従わせたものの、彼らは心から心服していたわけではない。
 もともとリースも、自分をはめたシャマンに復讐してやりたいという気があったから、お金にシビアでシャマンのやり方に反対をしたバンカーが命の危険を感じてリースにボディガードを頼む辺りから、徐々に巻き込まれてくる。

 リースよりやや遅れて出所してきたクロスと他の幹部・ミットラとの関係も悪く、更にミットラとシャマンは敵対しているなど、マフィア内の関係が複雑に絡み合い、血で血を洗う暴力の連鎖に発展していく。

 それに比べて、バルカスに痛めつけられ、凶暴化したギャングのアンバルの行動は単純。と言うかおっそろしく短絡的。マフィアの掟など気にせず、気にくわなければ、
「俺たちはヴァイキングだ~、死んだらワルハラに行くんだ~。」
などと言いながら大物幹部でもためらいなく射殺。混雑しているクラブでも、他の人を気にせず銃を乱射。
 アンバルは脳が半分欠損しているとかで痛みを感じない体質で、バルカスにやられた傷を自分でちくちく針で縫っていたりする。自分の痛みにも他人の痛みにも無頓着なのだ。まさしく、おそれを知らない愚かな子供だ。

 そのアンバルが、かつてリースが助けた証人の女、タマーラの恋人だというのだ。タマーラはアンバルを殺す殺し屋としてリースを雇おうとするが、そんなおり、リースの古い友達でもある刑事のクリロフがアンバルに射殺される…。

 しかし、何が恐ろしいっていって、アンバルに射殺されたクリロフのスーパーの袋から、通りがかりの年配のご婦人が、
「ああ…もったいないねぇ…。」
といって食料を自分のキャリーにせっせとしまい込むことだ。どんな無法地帯だ。

 基本的に、自分以外はみんな敵。
 利害関係が合えば、手を組みもするが、はめようとして実は自分がはめられてたり、助けた人に命を狙われてたり、登場人物が多いことも相まって混沌とした中で、銃弾が飛び交い、車がぶっ飛び、手榴弾が爆発する。

 英語・日本語吹き替えのせいもあって、比較的ロシア臭のない映画。それを見やすいととるか、クセが無くて物足りないととるか。どっちにしろ、アクションは良い。ちょっとバクハツのタイミングのずれているところがあるのもご愛敬(笑)。

 あと、全然関係ないけど、ドンの側近にガングリンというのがいるが、どうも「カンクリ」に聞こえて、これは重傷かな、と思った(笑)。


ミハルコフ=コンチャロフスキーといえば、これ↓を思い浮かべますが、別人です(親子だけど)。

関連作品:
この映画の続編→「アンティ・キラー
ヴィクトリヤ・トルストガノワが出ている他の作品→
シティ・コネクション
レッド・スナイパー 独ソ最終決戦
セルゲイ・シャクーロフが出ている他の作品→
シベリアーダ

2008.09.28追記:ロシア語で見てみた感想はこちら

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2007年3月 8日 (木)

映画「天空の草原のナンサ」

天空の草原のナンサ

2005年ドイツ
監督:ビャンバスレン・ダバー

 ドイツ映画とはいうものの、監督はウランバートル出身のモンゴル人。ドイツの映像技術がモンゴルの心を丹念に記録する。
 夏休みでハンガイの両親のゲルに戻って来たナンサ。洞穴で斑犬を拾ったことから一家に起こる小さな事件を描く。原題は「The Cave of the Yellow Dog」。

 犬はツォーホルと名付けられる。
 ツォーホルのやってる事はほとんど素だろう。訓練を受けた役者犬ではなく、そのへんのモンゴルの犬そのもので、ばばばば、と土を掘ったり、つながれているひもを齧ったり、犬好きなら遊びたくなること間違いなしだ。
 あー、ナンサみたいにツォーホルのほっぺたをぐにぐに、頭をなでなで、背中をごしごししたいっ!

 ところで、そんなそのへんの犬に演技させることができるのだろうか?
 監督曰く、
「犬を演技させるのは(子供に比べて)簡単です。走らせたい方向にハムを投げればいいのですから(にっこり)。」
…監督、それ「演技」じゃありません(笑)。

 ところが、ナンサのお父さんは、その犬を飼ってはダメと言うのだ。
「犬は洞窟には住まない。その犬は狼の仲間だ。」
だって。
 そうかなぁ。洞窟の周りには骨が散らばっていて、狼の巣でないとは言い切れないけれども、既に中犬くらいの大きさで最初から人間に慣れているのだから、狼でなくて人に育てられた犬なんじゃないかな。お母さんの言うように、狼とは関係ないと思うよ。
 ナンサが帰ってくる直前に、狼に羊を殺されているので、八つ当たりなんじゃないの?
 …ともかくお父さんはかたくなだ。でもさすが、モンゴルのお父さん。どんなに急に犬が現れても、一発で首根っこをガッチリつかむ。
 お父さんが羊の毛皮(狼に殺された羊だ)を売りに行ってくる間に犬を捨てきなさいと言われても、ナンサにツォーホルを捨てることはできそうもない…。

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 印象に残っているのは、ナンサが小川の岸でツォーホルに話かけるシーン。犬はぱくっと草の茎をくわえて、前のシーンでナンサがやっていたのと同じ格好をしている、というところ。
 そのナンサの仕草が、まったく大人のモンゴル人の仕草なのだ。こんなに小さな子なのに、一挙手一投足まですっかり一人前のモンゴル人だわい、と思わずクスリ。

 末の子も、陶器の大黒様(?)のハゲ頭を舐めたり、ミシンにまたがってお馬さん遊びをしたり、犬以上に自由に遊んでいる。自由すぎて、どっか行っちゃう(笑)。

 この映画を見た後、チンギス=カンの子供たちのイメージがこの末の子のイメージになってしまった(笑)。支配層の子弟は庶民とは違う育てられ方をするとは思うんだけど、ジョチとか髪の毛を三つ編みにしてリボンを結んだらなんか似合いそう(笑)。


このDVDの写真は明らかに色がおかしいが、中はそんなことないのでご安心を。

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2007年3月 5日 (月)

漫画「ウイグル無頼」

ウイグル無頼Uighur_2

2003年日本
(連載1972~1973年)
横山光輝・著


 かつて、中国の西南に夜郎と呼ばれる国があった。「夜郎自大」というはなはだ不名誉な故事で有名である。
 唐の時代に編纂された地理書「元和郡県図志」によると、この地方の西北部に七曲水という大河があり、更にその北に弱水という南北およそ200km、東西およそ350kmにもおよぶ大湿地帯があったという。

 そこは、年中霧に覆われ、太陽や月の光は届かず、樹木が密生して、常に多湿で昼といわず夜といわず濡れていたという。
 その上は鳥も飛ばず、地を走る獣もいない。ただ、夏になると毒蛇が多く繁殖するだけである。

 唐代の人たちは、この周辺、そしてこの先にある、現在の雲南省にあたる地方にある河川には瘴気があるといって、非常に恐れていた。
 唐の国力が盛んであった玄宗の時代に、二度にわたり大軍を送り込んで遠征を行ったが、当時その地方を治めていた南詔という小国に敗れて二度とも全滅したのだった。
 命からがら逃げ帰った人たちの話によると、河川の上に黒々と渦を巻く瘴気が目に見えたといい、戦闘が行われる前に熱病(マラリア?)によって倒れた兵士も多かったという。

 当時の南詔は奴隷制の国家だったといわれている。
 また、大渡河の北方、金川方面に、吐蕃王家とも関わりが深い女王が治める国、東女国をおく説がある。

 そういった歴史的事実に基づき、横山光輝の書いた物語がこの「ウイグル無頼」である。
 空前絶後、未曾有の草原の大帝国、「大ウイグル帝国」の建国に関わる物語だという。

 だがその真偽は定かではない

   <完>


参考文献:
Qv
東女国があったという四川省西部の写真集。
草原…はあるけど、平原…って…。

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2007年3月 1日 (木)

映画「妖婆 死棺の呪い」

Viy妖婆 死棺の呪い

1967年ソ連
監督:コンスタンチン・エルショフ
(総監督:アレクサンドル・プトゥシコ)
音楽:カレン・ハチャトゥリャン
キャスト:
ホマー…レオニード・クラヴレフ
お嬢様…ナターリア・ヴァルレイ

 「まんが日本昔話」を見て、一人でトイレに行けなくなったことはありませんか。
 祖父ちゃんや祖母ちゃんなどの家族がありがたがっている仏像や、自慢の掛け軸が飾ってある部屋が何となく気味悪くて避けていた事はありませんか。

 この物語は、ロシアの文豪ニコライ・ゴーゴリがウクライナで蒐集した民間伝承をほぼそのまま記録した「ヴィイ」を映画化したものです。

 ヴィイとは、地の精霊の最も強力なモノで、ひょっとしたら、キリスト教到来以前には神として崇められていたのかもしれません。従って、キリスト教の祈祷ごときにやすやす調伏されはしないのです。
 ヴィイのまぶたは普段は地面に届くほど垂れ、目を塞いでいます。しかし、まぶたを持ち上げたヴィイに見られた瞬間、あらゆる生物の命は失せ、世界は色あせると言われています。

(覚悟ができた人は続きをドウゾ↓)

続きを読む "映画「妖婆 死棺の呪い」"

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