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2007年3月 5日 (月)

漫画「ウイグル無頼」

ウイグル無頼Uighur_2

2003年日本
(連載1972~1973年)
横山光輝・著


 かつて、中国の西南に夜郎と呼ばれる国があった。「夜郎自大」というはなはだ不名誉な故事で有名である。
 唐の時代に編纂された地理書「元和郡県図志」によると、この地方の西北部に七曲水という大河があり、更にその北に弱水という南北およそ200km、東西およそ350kmにもおよぶ大湿地帯があったという。

 そこは、年中霧に覆われ、太陽や月の光は届かず、樹木が密生して、常に多湿で昼といわず夜といわず濡れていたという。
 その上は鳥も飛ばず、地を走る獣もいない。ただ、夏になると毒蛇が多く繁殖するだけである。

 唐代の人たちは、この周辺、そしてこの先にある、現在の雲南省にあたる地方にある河川には瘴気があるといって、非常に恐れていた。
 唐の国力が盛んであった玄宗の時代に、二度にわたり大軍を送り込んで遠征を行ったが、当時その地方を治めていた南詔という小国に敗れて二度とも全滅したのだった。
 命からがら逃げ帰った人たちの話によると、河川の上に黒々と渦を巻く瘴気が目に見えたといい、戦闘が行われる前に熱病(マラリア?)によって倒れた兵士も多かったという。

 当時の南詔は奴隷制の国家だったといわれている。
 また、大渡河の北方、金川方面に、吐蕃王家とも関わりが深い女王が治める国、東女国をおく説がある。

 そういった歴史的事実に基づき、横山光輝の書いた物語がこの「ウイグル無頼」である。
 空前絶後、未曾有の草原の大帝国、「大ウイグル帝国」の建国に関わる物語だという。

 だがその真偽は定かではない

   <完>


参考文献:
Qv
東女国があったという四川省西部の写真集。
草原…はあるけど、平原…って…。

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コメント

すごい。『ウイグル無頼』の記事なのに、まともな記事になってる〜。
夜郎が元ネタということですか。けど、なんであんな感じになっちゃったんだろう・・・

投稿: 馬頭 | 2007年3月 5日 (月) 22時51分

いちおう、唐代の地理志で見たのでそう書いといたんですが、その本の元ネタはもっと昔の本にあるのかもしれません。それこそ、三国志とか。
確かめようがないので、それは、三国志の史料持ってる人が気が向いたらいいので調べてくれるといいな~っと(笑)。

どこかで見たか聞いたかした断片情報を使っておもしろい話に仕立てたって感じのお話でそれはそれで楽しいのですが、

「で、なんでそこがウイグル?」(笑)。

投稿: 雪豹 | 2007年3月 5日 (月) 23時27分

>南北およそ200km、東西およそ350kmにもおよぶ大湿地帯があったという。

このくだりは、四川西北の松藩地方のことだと想像してたんですが、そいうネタがあるのですね。
ちょうど三国志で調べものしてたとこですが、残念ながら西南夷伝はありません(^-^;

投稿: 武藤 臼 | 2007年3月 6日 (火) 00時58分

>このくだりは、四川西北の松藩地方のことだと想像してたんですが、そいうネタがあるのですね。

ああっ、それ、青海かもしれません…じゃなかった、正解かもしれません。
この弱水について書かれた部分、ずっとヘンだなと思っていたんです。
原文は、今の雲南省昭通のあたりらしい曲州の項の最後に挿入されていてこんな感じ。
(昔は夜郎国の一部だったという説明は曲州の項の説明で、ここに直接かからないのかもしれない。)

>弱水、在七曲水北一百三十里。南北四百里、東西七百里、…(以下略)

七曲水というのが曲州にあるのでここに入れたんでしょうけど、七曲水の北130里周辺にはそれらしい地形はなさそうな感じなので、
「またどうせ、地の果ての南蛮の土地について、嘘か本当かわからないうわさ話の類を書いてるなー、昔から割と知ってる土地のはずなのにこのざまか。」
と思っていたのですが、もしこの文が、

>弱水、在大渡水北七百里。南北四百里、東西一百三十里、…

だとしたら、むとさんの想像通りの場所になるのでは?
それが何らかの理由で曲州のところに紛れ込んでしまった、と。
編纂史料なので、土地勘のない長安の役人が脳内地図でやってる場合(たいていそうだ)、こういう勘違いは良くあるし、「元和郡県図志」もザックリ欠落している部分があるから、現在に伝わってくるうちに、落丁乱丁の類があった可能性は大有りですしー。

元ネタを見ればある程度見当は付くのでしょうが、「三国志」西南夷伝にないとなると「華陽国志(だったっけ?うろおぼえ)」?
それとも、その辺を偵察した斥候の報告書? 東女国辺りの朝貢使から聞いた話?
いずれにしても、横山光輝が「ウイグル無頼」で書いた場所なわけで、ものすごく正しかったわけです。

「横山光輝は李吉甫*を越えた!」
「なんだってー!」

…でも、なぜ「ウイグル」なのかは依然ナゾです(笑)。
「トヨゴン**無頼」とか「タングート無頼」、あるいは女国からの連想で「チベット無頼」ならきわめてまっとうな歴史漫画だったのに(そうだろうか)。



*李吉甫…「元和郡県図志」撰者。
**トヨゴン…吐谷渾。トゴン(退渾)ともいう。

投稿: 雪豹 | 2007年3月 6日 (火) 20時18分

すばらしい!このような元ネタの数々があるとは。
これは「ウイグル無頼・聖地巡礼ツアー」を組んで
現地視察に行かねばなりませぬな(えー

投稿: 蒸しぱん | 2007年3月 8日 (木) 00時28分

おー。現地視察ツアーのためなら、シベ超にでも死霊の盆踊りにでも、元ネタを探してきましょうぞ(笑)。

投稿: 雪豹 | 2007年3月 8日 (木) 00時54分

復刊.comで復刊が決定したようです。
※10月中旬発送予定

http://www.fukkan.com/fk/CartSearchDetail?i_no=68314226&tr=s

投稿: 空白の時間 | 2010年9月15日 (水) 23時33分

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『ウイグル無頼』(横山光輝。講談社。講談社匁文庫。2003年。600円)「ウイグルという広大な大地を自由奔放に生きる放浪者・ヘロデ。彼はある時、財宝が眠るというターゲ神殿の廃墟へとたどり着く。そこには住んでいる村を襲った盗賊団から逃れて隠れているという女がいて、..... [続きを読む]

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