映画「アンティ・キラー」
2004年ロシア
監督:イェゴール・ミハルコフ=コンチャロフスキー
キャスト:
フィリップ・コレノフ(フォックス)…ゴーシャ(ユーリィ)・クツェンコ
リューダ…リュボーフィ・トルカリナ
ウジャク…アレクセイ・セレブリャコフ
リトビノフ…セルゲイ・ヴェクスレル
クロス…セルゲイ・シャクロフ
ベドブグ…イヴァン・ボルトニク
ブルーム…ユーリィ・シュルストニョーフ
メティス…ヴャチェスラフ・ラズベガエフ
「レッド・ガントレット」の続編。原題は、「アンチ・キラー2」だが、微妙に設定が違う気がする。
配給会社の違いのためか、英語版を元にしているためか、前作から引き続き出ている人が違うあだ名で呼ばれていて、せっかくシリーズ物なのに少々もったいない気もするが、話自体は独立しているので、鑑賞する分には問題ない。ただ、知っていると、得した気分にはなる(笑)。
時間的には前作以前の話なのだろうか。前作の後半で、かなり唐突に出てきた感じのするリトヴィノフとコレノフ(フォックス、「レッド・ガントレット」のリース(キツネの意)。)の関係がはっきり描かれている。
余談だが、前作はよほどヒットしたのか、検索してたら「アンチ・キラー」というシューティングゲームがあった。そのゲーム、銃器がいろいろ選べるのは良いとしても、バルカスやアンバルでプレーってのはモラル的にいかがなものかと(笑)。
それはまぁ、いいとして。2002年、チェチェン。
フォックスたちはチェチェンの過激派ともつながりのあるアデュエフ将軍のアジトを襲撃し、将軍を拉致する。いったいどこの警察がそんなことをするのかと不思議だがもっと不思議なのは、極秘行動のはずなのに、襟章とか顔とか丸見えってどういう事? それにこの人達、モスクワの警察だと思ってたんだけど、チェチェンまで何で出張してるのかね?
それと、爆発のたびに、
「あ゛ー。」
と両手を上げて真後ろにぴゅーんと人が吹っ飛ぶのは、なんだかコントみたい(笑)。
しかし、アデュエフ将軍の子供達は生き残り、父親を取り戻すためにモスクワに向かう。モスクワでは、遠い親戚というつてで地元のマフィア・ブルームを頼り、クロスを襲撃して金を奪い取る。その乱闘でメティスは負傷、クロスはウジャクらに連れ去られてしまう。
末の弟ニシムがリトヴィノフに復讐しようとして失敗したり、フォックスたちがウジャクのアジトを急襲しようとして罠にはまったりするが、そのたびに
「あ゛ー。」
って真後ろにすっ飛んでくのはどうにかならんかな。まったく笑いが止まらない(ギャグ?)。
へぇ、と思ったのは、フーリガンが市場を襲撃した時に、騎馬警察隊が鎮圧にあたっていたこと。カナダの騎馬警察隊は有名だけど、ロシアにもあったのか。もっとも、この映画自体が無国籍っぽいので、どの程度本当なのかはよくわからないのだが…。
しっかし、マジ怖いわ、ロシアのフーリガン。馬も大変だ。
一方、暴動騒ぎで機動隊が動員されている隙に、裁判所に護送中のアデュエフ将軍がウジャクに奪還されてしまう。
護送の警官は全員射殺。しかし、執念の射撃でアデュエフ将軍も被弾する。
そのため、暴動の後始末に向かう救急車を乗っ取るのだが、それにはフォックスの妻リューバが乗っていたのだった。
まー、そのおかげで、リューバと一緒に監禁されているクロスの居場所が判明するのだけれど、だからってメティスに協力を仰ぐか? マフィアとばっちり癒着しとるやんけ~。おぬしも悪じゃの~(笑)。
一方、指揮官ヴォロシンがウジャクのアジトの襲撃を命じる。人質がいるからとリトヴィノフは諫めるが、ヴォロシンは聞く耳を持たない。
リトヴィノフしぶしぶ部下に命じて曰く:
「おまえたちー、人質が居るんだぁー。ちゃんと狙って撃てぇー。」
部下:ずがん!ずがん!!ずがん!!!ずがん!!!!
おいおいおい。そういうのは、日本では乱射って言うんだけど(汗)。どこに人質に対する配慮があるんだぁ! 人質(クロス)弾に当たってるぞー!
そして怒濤のエンディングに向けてカーチェイス発動!
第1作目のすべての秩序が崩壊している、という混沌とした感じは薄れているものの、ロシアのめちゃくちゃぶりが余すところなく描かれている(笑)。一作目のような精神的にキツイのをシリーズで続けるのも難しいからか、ギャグもちりばめられている…って、ギャグのつもりじゃなかったらゴメン…でもどうしても吹いてしまう(笑)。
既に「アンチ・キラー3」も2007年に出ているらしいが、日本でリリースされるかどうかは知らない。というか、リリースしてちょうだいませ!
関連作品→「レッド・ガントレット」
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