映画「天空の草原のナンサ」
2005年ドイツ
監督:ビャンバスレン・ダバー
ドイツ映画とはいうものの、監督はウランバートル出身のモンゴル人。ドイツの映像技術がモンゴルの心を丹念に記録する。
夏休みでハンガイの両親のゲルに戻って来たナンサ。洞穴で斑犬を拾ったことから一家に起こる小さな事件を描く。原題は「The Cave of the Yellow Dog」。
犬はツォーホルと名付けられる。
ツォーホルのやってる事はほとんど素だろう。訓練を受けた役者犬ではなく、そのへんのモンゴルの犬そのもので、ばばばば、と土を掘ったり、つながれているひもを齧ったり、犬好きなら遊びたくなること間違いなしだ。
あー、ナンサみたいにツォーホルのほっぺたをぐにぐに、頭をなでなで、背中をごしごししたいっ!
ところで、そんなそのへんの犬に演技させることができるのだろうか?
監督曰く、
「犬を演技させるのは(子供に比べて)簡単です。走らせたい方向にハムを投げればいいのですから(にっこり)。」
…監督、それ「演技」じゃありません(笑)。
ところが、ナンサのお父さんは、その犬を飼ってはダメと言うのだ。
「犬は洞窟には住まない。その犬は狼の仲間だ。」
だって。
そうかなぁ。洞窟の周りには骨が散らばっていて、狼の巣でないとは言い切れないけれども、既に中犬くらいの大きさで最初から人間に慣れているのだから、狼でなくて人に育てられた犬なんじゃないかな。お母さんの言うように、狼とは関係ないと思うよ。
ナンサが帰ってくる直前に、狼に羊を殺されているので、八つ当たりなんじゃないの?
…ともかくお父さんはかたくなだ。でもさすが、モンゴルのお父さん。どんなに急に犬が現れても、一発で首根っこをガッチリつかむ。
お父さんが羊の毛皮(狼に殺された羊だ)を売りに行ってくる間に犬を捨てきなさいと言われても、ナンサにツォーホルを捨てることはできそうもない…。
印象に残っているのは、ナンサが小川の岸でツォーホルに話かけるシーン。犬はぱくっと草の茎をくわえて、前のシーンでナンサがやっていたのと同じ格好をしている、というところ。
そのナンサの仕草が、まったく大人のモンゴル人の仕草なのだ。こんなに小さな子なのに、一挙手一投足まですっかり一人前のモンゴル人だわい、と思わずクスリ。
末の子も、陶器の大黒様(?)のハゲ頭を舐めたり、ミシンにまたがってお馬さん遊びをしたり、犬以上に自由に遊んでいる。自由すぎて、どっか行っちゃう(笑)。
この映画を見た後、チンギス=カンの子供たちのイメージがこの末の子のイメージになってしまった(笑)。支配層の子弟は庶民とは違う育てられ方をするとは思うんだけど、ジョチとか髪の毛を三つ編みにしてリボンを結んだらなんか似合いそう(笑)。
このDVDの写真は明らかに色がおかしいが、中はそんなことないのでご安心を。
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コメント
草原の選挙カー(選挙管理委員会の車)にリアルを感じました(笑)
投稿: 蒸しぱん | 2007年3月 8日 (木) 00時31分
あれ、効率悪そうですよね。
私は画面をよく見ると虫だらけなところにリアルを感じました。ただ、もっと羽音がしても良いかもしれません(笑)。
投稿: 雪豹 | 2007年3月 8日 (木) 00時58分