« 映画「蒼き狼 地果て海尽きるまで」 | トップページ | 映画「こねこ」 »

2007年3月30日 (金)

映画「アンドレイ・ルブリョフ」

Rublevアンドレイ・ルブリョフ

1966年ソ連
監督:アンドレイ・タルコフスキー
キャスト:
アンドレイ・ルブリョフ…アナトーリィ・ソロニーツィン
キリル…イヴァン・ラピコフ
ギリシャ人フェオファン…ニコライ・セルゲーエフ
白痴の少女…イルマ・ラウシ
大公/公爵…ユーリィ・ナザーロフ
タタルのハン…ボロト・ベイシェナリエフ

 アンドレイ・ルブリョフ(1370年頃~1430年頃)は実在のイコン画家だが、ここで描かれる物語は史実ではない。
 ストーリィは、世間から天才と呼ばれながら、イコンを書くとはどういう事かと悩み、描けなくなってしまったルブリョフが、最後には悟りを開いて素晴らしい作品を描くようになるまでを描く。
 かなり誇張して描いているのでわかりやすい。

 特に、兄の大公を憎む公爵に引かれてウラジーミルにタタルのハンが侵攻していくシーンが圧巻(1408年)。
 タタル兵とロシア兵が助け合い、教会の入り口を破る。タタル兵とロシア兵が入り乱れて避難していた人々をザク切りにする。
「この異教徒のタタルめ!」
と罵る憐れな犠牲者(司祭か何かかな?)に、正教会によって神の名で大嫌いな兄と無理矢理和解させられたことを根に持つ公爵は、
「オレはロシア人だ。」
と言い、口の悪いこの男の口に煮えたぎる油が注がれ、黙らされる様を冷ややかにながめている。
 冷酷な公爵に良心の呵責は微塵もない。正教会の葱坊主の屋根から金箔がはがされるのをながめながら、たぶん、
「次は兄貴の首…。」
などと考えていそうだ。
 タタルのハンは、聡明そうな顔立ちをした温厚そうな人物だ。

 またこの襲撃中に、ロシア兵に襲われそうになった白痴の少女を助けようとしてルブリョフは殺人を犯してしまう。
 ところが、後に飢饉の時にルブリョフたちがいる修道院にタタル兵たちが立ち寄る事があるが、彼らが腹の減った犬に馬肉を投げ、お互い噛み合う(このときのロシアがまさにこの状態なんだが)のをおもしろがっていると、その肉がたべたくなった彼女はタタル兵の中に入っていき、その隊長?のぴかぴかの甲冑が気に入って、ついて行ってしまうのだ。彼女には、ロシア人かどうかとか、宗教とかはまったく関係ないからな。隊長さんの方も、腐ったリンゴしかくれない修道士(ルブリョフ)より、自分に懐いてきた少女が気に入って、見つめられて照れてる(笑)。

 ここに出てくるタタルは、全体的にニュートラルな感じになっている。
 ここでロシア人に非道いことをしているのは主にロシア人だ。
・旅芸人を密告したり…。
・異教を信じているからといって、ヤリーラかなんかの祭りをしている素っ裸の連中を捕まえて痛めつけたり…。
・公爵の所の方が良い石を使わせてくれるからと、そこに行こうとする彫刻家の目をえぐったり…

 でも、たぶん、オマケで付いている「タタールのくびき」に関連した映像に出てくるモンゴルの方が一般的なイメージなんだろうな。…ともかく、これ、すごいんすよ(笑)。
「否応なく火をくぐらせるのだ!!!」
って、アナタ…。日本人も、
「これを裸足で渡ると一年が健康に過ごせるんだってよ。」
と好意で火渡り神事かなんかに参加させたら、末代まで呪われそうだ。
 その中に「イリヤ・ムーロメッツ」から大軍が移動するシーンが流用されているけれども、よく見ると、ロシアに侵攻してくるところに使われてるのは、キエフの軍だったりするのが笑える。ロシアの民をいじめているのは主に外からの敵ではないって皮肉かな(笑)。

|

« 映画「蒼き狼 地果て海尽きるまで」 | トップページ | 映画「こねこ」 »

ソ連」カテゴリの記事

モンゴル」カテゴリの記事

ロシア」カテゴリの記事

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/198713/14461650

この記事へのトラックバック一覧です: 映画「アンドレイ・ルブリョフ」:

« 映画「蒼き狼 地果て海尽きるまで」 | トップページ | 映画「こねこ」 »