映画「イワン雷帝」
1944-1946年ソ連
監督:セルゲイ・エイゼンシュテイン
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
キャスト:
イワン4世(雷帝)…ニコライ・チェルカーソフ
アナスタシヤ…リュドミラ・ツェリコフスカヤ
エフロシニヤ…セラフィマ・ビルマン
ウラジーミル…パーヴェル・カドチニコフ
外のシーン(カザンを攻略する所とか)も若干あるがほとんどが宮廷内の陰謀の話で、役者がシーンごとに
「そんな格好絶対しない~」
というジョジョ顔負けのポーズを取るので、とっても漫画ちっく。あ、でも、オペラもこんな感じか(笑)。全体的にオペラっぽいのは、音楽の印象からかもしれない。
まー、国内の裏切り者に対して厳しい姿勢で臨むイワンを正当化している辺りは、政権寄り?という感じはする。でも、これジョジョ風の台詞回しにしたらおもしろそうなんだがなー。ごてごてした衣装も荒木風?(笑)
チェルカーソフが、「ベルリン陥落」のヒトラー並みのブチ切れた演技をしているのかと想像してた(爆)。それはそれでおもしろそうだが、この映画のイワンはやけに賢明で格好良いぞ~。「雷帝(グローズヌィ)」っていうくらいだから、もっと陰険凄惨、血しぶき飛び散るのを期待してたのに(ぉぃぉぃ)。
第1部
1547年1月16日、イワン4世はロシアで最初の皇帝(ツァーリ)になった。だが、皇帝に権力が集中することを嫌う貴族たちの敵意を一身に集める事になる。
そういった不満をあおり、イワンを陥れようとあれこれ陰謀を巡らしているのが、イワンの叔母エフロシニヤ。彼女は自分の息子ウラジーミルをモスクワ大公にしようと企んでいる。
イワンの唯一の理解者、皇后アナスタシヤも彼女の毒手に倒れる。貴族たちの巣窟モスクワを捨てて、イワンはアレクサンドロフに退去する。
第2部
おのれの権力の源泉が貴族たちでなく人民にある、ということを演出しつつ、イワンはモスクワに帰還。
一方、かつての友人、クルプスキー公爵やフィリップ府主教さえ、イワンの許を去っていく。最終的には厳しい決断をせざるを得なくなるイワン。ロシアを見限って亡命する貴族が相次ぐ。
危機感を募らせるエフロシニヤは、ウラジーミルが酒宴に招かれた機会に、暗殺者を差し向ける…。
それにしても184分って長すぎる…(笑)。さすがに一気に見るものじゃないんだろう、2部構成になってるところを見ると。
問題のチンギス=カンの末裔セミョーン・ベクブラートヴィチにツァーリを譲位する、という事件から着想したと思われるエピソードがあるにはあるが、まったく史実とは関係なく話が進む。
それにしても、ウラジーミルなんて、特に野心もないただのあほーなのに、母親が無理に皇帝にさせたがったせいで振り回されていて、なんだか気の毒だなあ。おばかの方が担ぎやすいっていうのはあるにしても。皇帝の代わりになりうる者は、おばかでもおりこうでも不幸になる運命なのか…。
参考文献:
イヴァン雷帝
アンリ・トロワイヤ・著
工藤庸子・訳
こっちの雷帝はエイゼンシュテイン版より数段恐いですよ~(笑)。
関連作品:
エイゼンシュテイン監督/プロコフィエフ音楽/チェルカーソフ主演「アレクサンドル・ネフスキー」
エイゼンシュテイン監督/マイゼル音楽「戦艦ポチョムキン」
カドチニコフ出演「シベリアーダ」
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コメント
イヴァン雷帝のジョジョ台詞・・・意外と似合うかもしれないですね。
しかし、そうなるならイヴァン雷帝たちはみんなスタンド使いに?
投稿: 馬頭 | 2007年4月29日 (日) 20時39分
はうあっ!
ごめんなさい、気の利いたスタンドが思い浮かびません(汗)。
>ジョジョ風イワン雷帝
それこそにこにこ動画とか字幕.com(だったっけ?)で勝手な字幕付けて…と思ったけど、エイゼンシュテインって死後50年以上経ってるから、使っても良いのかも?!
誰かフラッシュ作って(人任せ)。
投稿: 雪豹 | 2007年5月 3日 (木) 19時09分