映画「9000マイルの約束」
2001年ドイツ
監督:ハーディ・マーティンス
音楽:エドゥアルト・アルテミエフ
キャスト:
クレメンス・フォレル…ベルンハルト・ベターマン
ドクター・シュタウファー…ミヒァエル・メンドゥル
カメリアフ中尉…アナトーリィ・コテニョフ
イリーナ…イリーナ・パンタエヴァ
第二次世界大戦後、ソ連で戦犯として25年の矯正労働の判決を受けたクレメンスが、デジネフ岬にある収容所から脱走して、徒歩でシベリアを横断し、ドイツの家族のもとに帰る、という実話を元にした感動の物語。
ちなみに、デジネフ岬というとここら辺(←Googleです)。
…ベーリング海峡を渡ってアラスカに行った方が早い(笑)。
実話を元にしているとはいえ、ディズニー版「南極物語」とか、「夢駆ける馬ドリーマー」みたいな「片鱗もねぇ!」っていうのもあるので、「真実の物語」とか言われてもどの程度の真実なんだか(苦笑)と、正直、あまり期待はしていなかった。まぁ、普通に感動の家族愛、お涙ちょうだいモノでもいいや、現地でロケもしてるだろうから風景が堪能できれば、と。
でも、見てみるもんですね~!!!
シベリアの風景が素晴らしいのは予想通りだったのだが、シャマンの不思議な儀式が興味深かった。
雪原でオオカミにかじられたクレメンスを地元の人が助けて集落に連れて行く。で、意識のないクレメンスの裸体の上に、ぺたんとトナカイのハツとレバーを乗っけて毛皮で包み込んでシャマンが太鼓を叩いて祈るのだ。
そこの集落の美しい未亡人イリーナが献身的に看病する、といういわばお約束のストーリィなのだが、この儀式、監督は事前にアイディアがなくてシナリオも白紙で(笑)現地のシャマンに教えてもらって作り上げたのだという。監督、サイコー!
ただ、具体的にどこの民族かわからないのが残念。
物語上では、比較的ヤクーツクに近いヤクーチャのどこかのトナカイ飼養民で「エスキモーみたいな民族(監督談←なんか何もわかってないっぽい?…笑)」という設定だそうだ。円錐形のチュムっぽい家に住んでいる。馬がいないのでサハではないような気はするが。
イリーナ・パンタエヴァはブリヤート人だが、ロケ地は西シベリアで、村自体はセットで作り物なものの、村人は現地の人を動員して撮ったということだ。ウグル系なのかな? 見る人が見たら特定の民族だとわかるのかも。
あくまでヨーロッパ人が考える「シベリア少数民族」のイメージなのであって、具体的に「どこの誰」と詮索するのはヤボなのかもしれない。でも気になる(笑)。
それにしても、あのレバーとハツは本当に美味そうだったなぁ~。この日、偶然晩飯のおかずに豚ハツとキノコのコリアンダー風味を食べたところだったので、運命さえ感じた(爆)。
ちょっと笑っちゃったのは、カメリアフ中尉がクレメンスを追って、シベリアから中央アジアまでやってくるのだけれども、彼が尋問しようとするたびに、クレメンスとかかわった者が不可解な死を遂げるのだ。
クレメンス…名探偵コナンの毛利小五郎ばりに不吉な男…(笑)。
関連作品:
音楽・アルテミエフの映画→「機械じかけのピアノのための未完成の戯曲」「ウルガ」「オブローモフの生涯より」
「シベリアード」
「鏡」「ストーカー」
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