映画「機械じかけのピアノのための未完成の戯曲」
1977年ソ連
監督:ニキータ・ミハルコフ
音楽:エドゥアルト・アルテミエフ
キャスト:
ミハイル・プラトノフ…アレクサンドル・カリャーギン
ソフィヤ…エレーナ・ソロヴェイ
サーシェンカ…エヴゲニヤ・グルシェンコ
アンナ・ペトローヴナ…アントニーナ・シュラノワ
セルゲイ・ヴォイニツェフ…ユーリー・ボガトィリョフ
ニコライ・トリレツキ…ニキータ・ミハルコフ
落ちぶれた貴族の屋敷で催された宴で、招かれた客の一人プラトノフと新婦が昔つきあってた事から繰り広げられる喜劇。ダメな大人が集まってぐだぐだな酒宴を繰り広げる。そのダメっぷりが表情や仕草に大げさに表現されていてなんともおかしい。おかしいけど、そのダメな大人って自分じゃーと思うと笑いながらも背筋に冷たいものが走る(笑)。
新婦が昔の彼女・ソフィヤと知らずに現在の奥さんサーシェンカとやって来たプラトノフ、最初に彼女に会った時の反応がわけわからなかった。
あー、この二人付き合ってたから両方とも突飛な行動を取ったんだ、とわかったのは映画も後半に入ってから。に、ニブイな、自分(笑)。
(以下オチに触れています。これから無垢な気持ちで映画を見ようという人は見ない方が良いかもしれません。)
最後にプラトノフが壊れて、
「もうダメだ! オレなんてどうせ何もできない35歳のろくでなしだぁぁぁ!」
と河に身を投げると、水深は膝の下。腰ギクッ! この手のお約束って万国共通っすね(笑)。
しかし、プラトノフ、ちゃんと教師っていう職に就いて着実に生活しているし、
「あなたがいるから私がいるの。」(←うわ、くっさー(笑)。)
なんて言ってくれる奥さんがいてそれでもそんなに不満たらたら? ヤレヤレ…。平均にも手が届かない人がここにもおる(>私です)というのに何を贅沢な。
昔の恋人に会って、「大学生の頃の明るい未来が待っている」という感覚を思い出しちゃったってことか。それに比べて今のなんと平々凡々としたことよ…。彼自身が言っているように、
「あの頃の才能はどこへ行った?」
という事なんですかね。ある意味、これ、ほろ苦い青春の映画なのかもしれませんね。
関連作品:
アレクサンドル・カリャーギン→「ロマノフ王朝の最期」のナレーター
エドゥアルト・アルテミエフ→「9000メイルの約束」「シベリアーダ」の音楽
サーシェンカが夫ミーシャをいろいろに呼んでいる事から、あれこれ考える→「ロシア人の名前がややこしい」
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コメント
切ないけどそれも人生。
投稿: 福田浩司 | 2010年6月11日 (金) 00時02分
切ない気分もなければ寂しい人生ですよね、きっと。
投稿: 雪豹 | 2010年6月11日 (金) 00時20分