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2007年5月25日 (金)

ロシア人の名前がややこしい

 「機械じかけのピアノのための未完成の戯曲」を見ていて、サーシャが夫のミハイル・プラトノフのことを
「ミーシャ、ミーシャ、ミージンカ!」
と呼んでいたのでふと思った。ロシア語を知っていたり、翻訳物でもロシア文学をたくさん読んでいる人には分かり切ったことかもしれないが、ロシア人の名前の愛称ってひょっとしてあまりポピュラーではない? それでロシアものってわかりにくいと感じられていたりして?

 「ミハイル」という名前の愛称が「ミーシャ」なのはわりと有名かもしれないけど、サーシャのいう「ミージンカ」なんてのは初めて聞いた。ミジンコか(笑)。

 軍隊の中では、姓+階級で呼ばれるか、仲間うちでもだいたい呼び名が固定しているので字幕もそれほど苦労なさそうだが、普通、親しさの度合いで愛称も変化するので、同じ人を呼ぶのに、人によって呼び方が違ったり、同じ人が呼ぶ時もサーシャのように気分によって変わったりするので、人間関係の機微が話の中心になるヒューマンなドラマやコメディの字幕はたいへんそうだ。

問題:さて、そういうとき、字幕はどうなってるでしょう?
答え:ものによってバラバラ(爆)。

 でも、まー、よく使われる愛称はだいたい決まっている。そのなかでも原型がわかりにくいのは、例えばこんなの。

アレクサンドラ
→サーシャ、サーシェンカ
例1:「機械じかけのピアノのための未完成の戯曲
→シューラ
例2:「北極圏対独海戦1944
アレクサンドラは女性名だが、男性名のアレクサンドルもサーシャって言う。
「友達のサーシャを紹介するね(はぁと)」
と言われて期待した結果がはずれても私は知らない。

アレクセイ
→アリョーシャ
例:「ベルリン陥落

アナスタシーヤ
→ナスターシャ、ナースチャ
例1:「シベリヤ物語
例2:「北極圏対独海戦1944

アンドレイ
→アンドリューシャ
例1:「シベリヤ物語
例2:「人間の運命

アンナ
→アンヌシカ、アーニャ
例:「ロマノフ王朝の最後
ラスプーチンが一番追いつめられた時に、アンナ・ヴィルゥボヴァを
「アンヌシカはどこだ?」
とうわごとのように呼ぶ。なんだかんだ言っても、一番頼りにしてたんだなー、と。

ヴァシーリィ
→ヴァーシャ、ヴァーシカ
例:「こねこ
ネコ~。

エカテリーナ
→カーチャ、カチューシャ
例1:「石の花 ウラル地方の物語
例2:「東部戦線1944
これは有名かも。エカテリーナとカザリンが同じ名前だと知っていれば見当はつく。

イヴァン
→ヴァニューシャ
例:「人間の運命
子供なのでヴァニューシャとしか呼ばれてないけど、たぶんイヴァン。
イヴァンの愛称はヴァーニャなんかも有名。

ミハイル
→ミーシャ、ミーシェンカ
例:「機械じかけのピアノのための未完成の戯曲
他の人は「ミハイル・ヴァシーリエヴィチ」と日本語の「プラトノフさん」にあたる呼び方をしている。

ニコライ
→コーリャ
例:「レッドスナイパー~独ソ最終決戦~
主人公。新兵だから、みんなに小僧扱いされているせいか、本名が一度も出てこなかったような。

ナターリヤ
→ナターシャ
例1:「シベリヤ物語
例2:「ベルリン陥落
ひっじょーに多い名前。
「ベルリン陥落」で主人公のアレクセイがドイツの収容所で恋人を探して
「ナターシャアァァァ!」
と叫ぶシーンがあるが、思わず
「100人は振り返るだろ」
と突っ込んでいたぢぶんがいた。わりと胸しめつけられるシーンなのに(爆)。

タチヤーナ
→ターニャ
スターリングラード大攻防戦

セルゲイ
→セリョージャ
シベリヤ物語

そのほか、アナトーリィ→トーリャ、トーシャとか。
こういうのって、その都度書いておいた方が親切なのかなぁ?

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コメント

意外と複雑で奥が深そうですね。
知らないと
・・・それって、愛称だったん!
となりそうだな。

ロシア人相手に初対面でいきなし愛称で読んで怒られない?


愛称の方が本名より文字数が多い場合って
やっぱそれでも愛称なのか。
どおういう経緯でできたんだか。

投稿: 武藤 臼 | 2007年5月25日 (金) 09時54分

ミーシャとかサーシャくらいだったら、特に好きモードとか嫌いモードとか入ってないので、普通に友達なら使えるんじゃないでしょうか。

私もそんなに詳しい訳じゃないですが、見下しモードの呼び方(辞書に「卑称」と書いてあるもの)もあるのでそっちを使うと怒られたり嫌われたりするのかも。
(アレクサンドラなら、サーシカとかシュールカが卑称だそうな)

でも、見下しモードってのも一筋縄ではいかなくて、とあるロシア人と結婚した人から聞いた話じゃ、
「でもね、ものすごーーーく親しくなると、けなす言葉もひっくり返るのよ。ウフフ…。」
とか言ってた(笑)。

例えて言えば同じ「ブタ」と言う単語で見た目は同じ形をしていても、日本語に訳すと、
「このブタ野郎がっ!」
と訳すべき時と、これがある一線を越えて
「私の子豚ちゃん(はぁと)」
と訳すべき時があるらしいっす。

…まーその人はその後離婚したんだけどね~(爆)。

投稿: 雪豹 | 2007年5月26日 (土) 00時27分

>こういうのって、その都度書いておいた方が親切なのかなぁ
原題のアルファベット順表記といい、至れり尽くせりでございます。


>問題:さて、そういうとき、字幕はどうなってるでしょう?
>答え:ものによってバラバラ(爆)。
個人名の愛称ではないのですが、某レンフィルム作品を観ていた時のこと。
少年院に入っている息子を訪ねてきた母親が、遠くからその子に呼びかけます。
― Сынок!(←сын(息子)の愛称形)
その字幕が「ザイツェフ!」だったので、隣の席の人と一緒に思わず「きゃあ!」「うわっ!」と声を挙げてしまいました。
確かに、その少年、先生などから苗字で「ザイツェフ」って呼ばれているだけで、映画中ファースト・ネームはわからない、そして結構なワルなので母親といえども「坊や」と呼びかけるのも変だと判断して、そういう字幕になってしまったのでしょうが、親が子どもに苗字で呼びかけるって、それはないでしょう・・・。

>愛称の方が本名より文字数が多い
感情(愛情)がこもると長くなるのですね。
愛称は必ずしも略称ではない、という感じです。

投稿: Киска | 2007年5月26日 (土) 22時18分

>愛称は必ずしも略称ではない、という感じです。

あ、そかそか
それは別段言葉関係ないですね

村一番のなんとか・・・でも立派な愛称だもんなぁ

投稿: 武藤 臼 | 2007年5月27日 (日) 22時48分

>「ザイツェフ」

考えすぎてわからなくなっちゃったんでしょうか、字幕の人(笑)。
たとえ後にも先にも出ないとしても普通に名前でいいような。だって、母が呼ぶんだもの。
もし突拍子ないあだ名とかでも、見てる方は納得。

それにしても、やっぱり名前長いですよね。
名前+父称っていうロシア人のありふれた呼び方も、字幕にしたら1行じゃ入らないですし…。

投稿: 雪豹 | 2007年5月29日 (火) 00時29分

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