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2007年6月29日 (金)

【翻3-29】ウルスとは、人々…とは限らない

улус うるーす

 かつてNHK大河ドラマ「北条時宗」にも、
「ウルスとは、人々。」
と出てたくらい有名なテュルク語/モンゴル語の単語だけれど、岩波ロシア語辞典には、こう解説してある。(1、2の意味は、↑と同じなので省略)

3〔史〕(ウラル・シベリア地方のチュルク系・モンゴル系民族の)村落、宿営地.

 突厥碑文に、soγd bercheler buqaraq ulus(ソグド ベルチェレル ブカラク ウルス)というナゾの(当時)語結合があり、これをどう解釈するかで大論争になってたらしいのだが、突厥碑文の言語がテュルク語だからulusは「人々」と言う意味だ、と思いこんでいると、合理的な説明が絶対できない。しかし、ロシア語に痕跡がバッチリ残っていたんだね。
 クリャシトルヌィが引用するマフムード=アルカーシュガリーの「ディーワーン=ルガート=アットゥルク(テュルク諸語集成)」のulush(ulus)の説明は、

「ウルシュ…チギルの言葉で村落だが、アルグゥの国、バラサグンおよびその周辺の住民のもとでは都市を意味する。そのため、バラサグンの都市は、クズ=ウルシュと呼ばれる」259。

と、第一義に「村落」、一部地方で「都市」。でも、「ディーワーン=ルガート=アットゥルク」のような、雲の上の辞書(爆)の血を引くような意味が手元のごくありふれたロシア語の辞書(トルコ語の辞書じゃないよ、ロシア語だよ)に出てるって、なんだか感心した。

 「ウルス」みたいなわかりきってる(と思ってるだけかもしれない)単語って、辞書引かないもんねぇ。でも基本語彙ほど難しいってのは、人類普遍の法則(笑)だと思う。

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