【翻3-29】ウルスとは、人々…とは限らない
улус うるーす
かつてNHK大河ドラマ「北条時宗」にも、
「ウルスとは、人々。」
と出てたくらい有名なテュルク語/モンゴル語の単語だけれど、岩波ロシア語辞典には、こう解説してある。(1、2の意味は、↑と同じなので省略)
3〔史〕(ウラル・シベリア地方のチュルク系・モンゴル系民族の)村落、宿営地.
突厥碑文に、soγd bercheler buqaraq ulus(ソグド ベルチェレル ブカラク ウルス)というナゾの(当時)語結合があり、これをどう解釈するかで大論争になってたらしいのだが、突厥碑文の言語がテュルク語だからulusは「人々」と言う意味だ、と思いこんでいると、合理的な説明が絶対できない。しかし、ロシア語に痕跡がバッチリ残っていたんだね。
クリャシトルヌィが引用するマフムード=アルカーシュガリーの「ディーワーン=ルガート=アットゥルク(テュルク諸語集成)」のulush(ulus)の説明は、
「ウルシュ…チギルの言葉で村落だが、アルグゥの国、バラサグンおよびその周辺の住民のもとでは都市を意味する。そのため、バラサグンの都市は、クズ=ウルシュと呼ばれる」259。
と、第一義に「村落」、一部地方で「都市」。でも、「ディーワーン=ルガート=アットゥルク」のような、雲の上の辞書(爆)の血を引くような意味が手元のごくありふれたロシア語の辞書(トルコ語の辞書じゃないよ、ロシア語だよ)に出てるって、なんだか感心した。
「ウルス」みたいなわかりきってる(と思ってるだけかもしれない)単語って、辞書引かないもんねぇ。でも基本語彙ほど難しいってのは、人類普遍の法則(笑)だと思う。
| 固定リンク
「突厥」カテゴリの記事
- 『ウンゲトゥの石像』刷り上がったそうです!(2022.08.11)
- 『モンゴル紀行』(1972年)を読んでみたらおもしろい発見があった(2020.08.10)
- 『大旅行記』の家島彦一氏の講演を聴きに行ったよ(2019.06.09)
- 2019年明けましておめでとうございます(2019.01.03)
- 年末寒波爺到来でもこれで大丈夫@土西へ17a(2018.12.23)
「中央アジア」カテゴリの記事
- C104「チンギス=ハン紀[1]」できました@月東ニ55b(2024.08.07)
- C104「チンギス=ハン紀[1]」は印刷中です@月東ニ55b(2024.07.29)
- 映画「父は憶えている」(2023.12.19)
- コミックマーケット101に参加します@土東マ09a(2022.12.08)
- 嵐のC100(物理)(2022.08.13)
「歴史」カテゴリの記事
- 「チンギス=ハン紀[2]」できましたぁあああ!@月西え38a(2024.12.25)
- Comic Market105に参加します@月西え-38a(2024.11.10)
- C104「チンギス=ハン紀[1]」できました@月東ニ55b(2024.08.07)
- C104「チンギス=ハン紀[1]」は印刷中です@月東ニ55b(2024.07.29)
- コミックマーケット104に参加します@月東ニ55b(2024.06.07)
コメント