【翻3-21】姑臧問題
Гуцзан ぐぅづぁん(?)
グッザン(涼州、現在の甘粛州武威市)というのかな。
まー、これはカタカナで書いておけば良いんだろうが、問題はそれにソグド語のローマナイズが併記されていて、「Кс’’п」と書いてあることだ。GとKは有声無声の差だからたいした違いじゃないし、ソグド語のローマナイズで「'」と書いてあるのはaと読めばいーんだろうというのは勘で(笑)わかるんだけども、「п」ってなんだ、「п」って。キリル文字転写してるのか? そうすると、「Кс’’п」はローマナイズすると「Ks''p」なのか? でも最後がPじゃグッザンってどうひねっても読めないだろ???
となると、モトを見ないと駄目なんだけど、これ出所、ペリオ? 敦煌文書なんぞ知らんがな。途方に暮れること幾星霜…も経ってないけど、あれでもないこれでもないと家にある資料をひっくり返すが出てこない…。
そこでとりあえずはネットに頼ることにする。これで出なかったら原註に出ている榎一雄の論文か池田温の論文かを国会図書館あたりにあさりに行くしかないが、とりあえずアタックじゃい。ロシア語から日本語に訳し、日本語の漢字をエキサイト辞書でピンインに直し検索、それらしい英語の頁が出たら検索、中国語(簡体字・繁体字)のが出たら検索、日本語のそれらしいPDF文書が出たらダウンロードして読んで、キィワードをピックアップしてまたまた検索、(ここで「振り出しに戻る」を繰り返す)…とだんだん近づいていったら、これ、Sogdian ancient lettersという結構有名な史料らしくて(その割にはHIT数少ないぞ)、ローマナイズされたソグド語と英語の対訳がされている頁があったのだ。
それによると、「Kc'n」。…やっぱり誤植か。
ラテン字母のnとロシア語のпは似てる。筆記体だと全く同じ。実際、OCRで読むとよく間違う。ロシアの印刷所の人にとって、それを見分けるのは難しいだろう。たとえこういった学術モノを出し慣れている印刷所だったにせよ、中央アジアだけやってる訳じゃないだろうし。
敦煌文書とかシルクロードとかに精通している人にとっては、見ただけでピンと来るものなんだろうなぁ…。この項は、ピンインなんだかロシア語の慣用読みなんだかソグド語なんだかわけわかんない人名やら地名やらが大量に出てきて、それを漢字にするだけで疲れた…。
さて、つい先日。グッサンについては、内藤みどり「突厥キョリ=チュル考」『内陸アジア史研究13』にバッチリ出てる事に気づき超がっくし。しかも、岩佐精一郎「突厥毘伽可汗碑文の紀年」の所に、自分でその論文を参考してね(はぁと)と書いてるのに、何一つとして覚えてない自分にまたがっくし…。
立ち直れない(爆)。
【3-21】参考資料
岩佐精一郎「突厥毘伽可汗碑文の紀年」『東洋學報』第23卷第4号昭和11年8月発行
『岩佐精一郎遺稿』(昭和11年11月20日發行)岩佐傳一
にも収録されているけど、若くして病死した息子の論文を父が自費出版したみたいな本なので見つけるのは難しいよね…。
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コメント
うわぁ
おくふけーーー
そか、ちっとやそっとでくじけては
いかんのだな p(-"-;
投稿: 武藤 臼 | 2007年6月21日 (木) 23時54分
んー?
青い鳥ではないですが、求めている資料は身近にあるって教訓でしょうか?
投稿: 雪豹 | 2007年6月22日 (金) 20時47分
いえいえ、
単に訳がいまいちうまくいかんので
中抜きして、
超法規的に意訳してごまかそうかとかおもったんですが
手抜きはやっぱいかんかなあと(^-^;
投稿: 武藤 臼 | 2007年6月23日 (土) 08時02分
論文は、文の構造も論旨の展開も理詰めなので、ある意味、初心者にはわかりやすいってのはあるかもしれません。
※それいったら、正史の類は役人の報告書だから、わざと曖昧に書いてあるとか(爆)。
話し言葉や文学だったら、文法的に正しく訳すより読んで楽しく訳す方が良い場合もある等々、何がよいとか悪いとか正解はないんじゃないでしょうか。
まー、わからないことが出てきたらあーだこーだと悩んで調べる謎解きも楽しみのうちですし。
もちろん、解けた時のやっっった~って感じはクセになりますが(笑)。
投稿: 雪豹 | 2007年6月23日 (土) 08時51分