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2007年7月26日 (木)

映画「父、帰る」

父、帰る

2003年ロシア
監督:アンドレイ・ズヴャギンツェフ
キャスト:
父…コンスタンチン・ラヴロネンコ
イワン…イワン・ドブロヌラヴォフ
アンドレイ…ウラジーミル・ガーリン

 淡々と進むように見えて、ショッキングな結末に至るストーリィ。しかし、おそらくストーリィそのものがメインのテーマではない。
 印象的なショットの積み重ねでイメージを形作っていく。はっきり言葉で説明されることはないので、見る人によって解釈が大きく異なるだろう。正解はないのだろう。

 チープなドラマで、実の父親だとわかったとたんにすぐに抱き合って親子の再会を喜び合う、そしてすぐに親密になるような筋立てがよくある。そういうのを見るたびに、
「ねーよ」
と画面の前でヤジを飛ばしている訳だが、その「ねーよ」という感じを描いていく。
 血がつながってさえいれば、他には何もいらないのだろうか。「不器用な男」は多くを語らなくても、子供は背中を見ていつかは自ずと理解するのだろうか。

 子供たちは切実に父親を求めていたのに。
 本当に欲しかったのは、一緒にいる時間だったのではないだろうか。たとえその時には逃げ出したくなるようなつらい旅行であっても、後から思い返せば父と過ごした日々は大切な思い出になっている…エンディングの写真はそういっているかのようだ。

 しかし、
「仕事だから」
「おまえたちのために稼いでいるんではないか」
とでも言うかのように一切の説明を拒む父。
 また、遺伝子上の父であれば、それだけで自動的に父子の関係が成立するとでも思っているようだ。
「誤解だ」
と父は言う。しかし、何が誤解なのだろうか。
「おまえたちのためにやってやっているのがわからないか」
とでも?

 しかし、それは独りよがりでしかない。そんな父親は誰にとっても不必要な存在だ。どこにも居場所がない以上、消えるしかない。
 
 この映画の結末は、そう言っているようだ。


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