映画「極限水域」
2005年ロシア
監督:ヴァシーリィ・チギンスキー
音楽:ダト・エヴゲニゼ
キャスト:
マリーニン…ドミートリィ・オルロフ
シャラビゼ少佐…ミハイル・ゴミアシヴィリ
旅団長…ヴラジーミル・ゴステュヒン
アンナ…イリーナ・ビョルクルンド
ターニカ…エリザヴェータ・ボヤルスカヤ
ミーシャ…スヴェトラーナ・ナペベデヴァ
原題は、「神に次ぐもの」。
さすがに、ドラゴンボールみたいに神を越えちゃったりはしない(笑)。
1944年ソ連占領下のフィンランド。レニングラードからやってきたターニカにとって、なにもかもが包囲下のレニングラードとは違っていた。
特に、潜水艦が帰ってくるたびに、戦勝祝いというのが何ともおめでたく見えたのだが、それというのも、潜水艦にとっては負けて帰ってくるということはありえないから。負ければ沈没、墓標もなく海の底に沈むのだ。生きて戻ってくるものは、常に勝者である。
すねに傷持つ潜水艦艦長サーシャ・マリーニン。
とはいっても、彼自身ではなく彼の兄弟がいわゆる「人民の敵」な訳だが、当時としてはそれは逮捕に充分すぎる理由だった。ただ、戦時下ということで、出撃するたびに大勝利を得て帰ってくるマリーニンは「英雄」であった。
その英雄の化けの皮を剥ぐべく、シャラビゼ少佐がやってくる。彼の仕掛けたは罠に、マリーニンはおもしろいくらいにばっちり引っかかるわけだが…。
しゃべったこともない片思いなのに、マリーニンを思ってあれだけヒステリックに泣きわめくターニカを見てしまうと感情移入できなくて冷めてしまうが、絆が恋しい戦時下風なんだろうか?
フランス語を話して現地の美女と懇ろになるマリーニンもなんだか少し前に流行ったちょい悪オヤジ風で、失笑してしまう。外国語ができる=格好良いとでも思っているのだろうか(爆)。
まぁ、そういった何が粋なのかについての感覚の違いや、綿密とか用意周到といった感覚からほど遠いのに、最後にはなんだか上手くいってしまうところもおもしろい。ぉぃぉぃという感じもするが(笑)。これがスラヴ魂というヤツか(ニチェボー精神ってこういうことを言うのか?)。
潜水艦の艦内シーンもそれほど閉塞感を感じないので、日曜の夜に気軽に見るにはちょうどいい娯楽大作だろうと思う。
関連作品:
チギンスキー監督作品→「ミラーウォーズ」
「チェチェン・ウォー」→ゴステュヒンがイヴァンの父親役でちらっと(笑)。
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