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2007年9月20日 (木)

今日封切り!(ロシアで)映画「MONGOL」

MONGOL(邦題未定)
2007年ロシア/カザフスタン/ドイツ
監督:セルゲイ・ボドロフ
キャスト:
テムジン(チンギスハン)…浅野忠信
ボルテ…フラン・チュルーン
ジャムカ…スン・ホンレイ
エスゲイ…バーサンジャプ
ホエルン…アリヤ
タルグタイ…アマドゥ・ママダコフ

ロシアの映画専門サイトにも「モンゴル」写真展のニュース映像が出てました。

トレーラー(再掲)

大意:

かつて我が大地は、剣と魔法が掟であり、力ある者は、誰もが自ら王(ハン)を名乗る秩序なきくにであった。

人々は待っていた。誰かがやって来て秩序を打ち立てることを。

モンゴルは己のしきたりを忘れた。だったら私が思い出させてやろう。今や報いはただ「死」のみ。
『MONGOL』

テムジン:「じいさん、これからどうなるか教えてくれ」
ソルカンシラ:「それを知っているのは汝自身だ、偉大なチンギスハンよ」

※当ブログの幅が400ピクセルなので余白分削れています。フルサイズ(400ピクセル)でちゃんと見たい場合は、公式サイトをご覧下さい。


 ううう、見に行きたくてもちょっとやそっとでは行けないぜ。
 それに、字幕じゃなくてナレーターが被せて読む方式なら、わざわざ行っても私のへぼいロシア語力じゃじえんじえんわからんだろうし…。
(聞いた話じゃ、字幕を偏愛するのは、東アジアの一部地域だけらしいし。)

 しかし、ボドロフ監督に、親より先に死んじゃった息子の話なんて撮れるのかな? と思っていたが。
 …9月20日って、若い方のセルゲイ・ボドロフ(セルゲイ・ボドロフ監督の息子…同姓同名)の命日じゃん。彼は2002年、氷河崩落事故で亡くなってんだけど、予告編でテムジンの足もとの氷が割れて水に落ちるシーン見たとき心底うわわ~って思ったよ。
 ジョチの話、もし撮るとしたら、命がけじゃないかと思ってたが…。でも、撮るんだろうな。命を削ってでも撮るんだろうな。

参考:予告編(再掲)

大意:
「ナーシェ・キノー」プレゼンツ
セルゲイ=ボドロフ(スタールシィ)監督作品

ロシアでは……「破壊者」
東方では……「神」

チンギスカン

……彼は何者だったのか。
『MONGOL』

カミング・スーン!

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2007年9月19日 (水)

まもなく公開(ロシアで)映画「MONGOL」

トレーラー、別バージョンです。

えええ、あの風火連城みたいなの、スン・ホンレイ(ジャムカ役)?
…「セブンソード」みたいになったりはしないだろうな?!

『集史』ロシア語訳が有名だから、『集史』をベースにしたチンギスカン?
と想像してたけど、『元朝秘史』もロシア語訳は既に19世紀からあったのね~。
(ただし、漢語総訳からのロシア語訳だそうだが、研究者でない限り充分だろうなぁ~)

…資料状況からして、負けてる気がする。

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2007年9月16日 (日)

ドラマ「蒼き狼」第四部

Ookami4第四部 万里の長城越え

キャスト:(主なキャストは第一部参照)
テップテングリ…財津一郎
カサル…河原崎次郎
クラン…神崎愛
ジュチ…荒木しげる
ソルカンシラ…大友柳太朗

 テムジンをジンギス=カンに仕立てたのは自分だ、と自負するテップテングリは、テムジン兄弟の結束を乱そうと画策中…。一方、カサルはクランに一目惚れして贈り物をしたりと猛烈なアプローチ。テップ=テングリはそれに感づいており、カサルがクランを口説いている所をテムジンが見るようにし向ける。
 テムジンは、カサルを縛り上げるが、ボルテの知らせでホエルンが駆けつけ、自らの手でカサルを縛っている縄を切る。
「敵がいなくなったからといって、今度はカサルを殺すのかぁっ!」
兄弟が吸った胸をあらわにしてテムジンを叱る。

 神のお告げを取るか、母を取るか悩むジンギス=カン。
 そして、結局、母を取る。そりゃまぁそうだ。神のお告げを伝えているに過ぎないシャマンより、天命を受けて地上にやって来た神の化身の狼の直系の子孫の一族の方が偉いに決まってる。力士たちに背骨を折られてテップテングリは死ぬが、死体は3日後に消え失せたという。

 しかし、この件が老いた母に過度の心労を与えたのか、その年の暮れにホエルンは死去する。
 …そうだが、このくだり、なんかツッコミどころ満載なんだけど…(笑)。とりあえず、ホエルンの育てた四人の孤児が柩を担いだというけれど、ホエルンが死去したときって、ボロクルは故人じゃないの?
 もっとも、ジュチの森の民への遠征がこの後に置かれているから、生きていてもいいのかもしれないけど…。だんだんこの辺から「?」という感じになってくるなぁ(笑)。

 第三部までが比較的『秘史』に忠実だった分余計に第四部には、なぜこのエピソードが? と首をひねってしまう箇所が多い。『秘史』以外の史料がでてきて自由度が高まるはずなのに、高まっているのはトンデモ度だ。
 何がいけないんだろう、と何度も見て考えたが、クランにまつわるエピソードが全て駄目なのかもしれない。時間が足りないというのなら、クラン関係を全部削って、せっかく権力欲まみれのヘンなおじさんでおもしろくなってきたテップテングリをテムゲ=オッチギンと対決させて暴れさせるとか、あれだけ伏線を張っていたジュチ関係の話を増すとかした方が良かったんじゃないのかなぁ。だって、ジンギス=カンが後継者を指名する場面でもただ
「エゲデイ」
って言って終わりなんだもんな~。なんか格好いいセリフがあったような気がするんだが、エゲデイもおっ、って感じで頷くだけ。受諾の心構えを一言言ってもよくはないか?(「莎草に包みても牛に食われざる、脂肉に包みても犬に食われざる…」ってアレ。)
 …って、まぁ、結局この辺は好みの問題なのかもしれない(笑)。でも、クランを氷の中にって話は、はっきり言って、生理的嫌悪感をもよおすぞ(爆)。誰が考えたんよ、この話?
 という訳で、クランの絡む話を心の目でカットして次行ってみよー(爆)。

 1211年、万里の長城を越えて金を攻撃講和を結ぶ。
 1215年、中都占領。

というような遠征をささっと経て、1218年のオトラル事件。
 耶律楚材が慎重にせよと助言するが、ジュチの進言により、1219年春、ホラズム侵攻。ジュチは先鋒になる(この遠征に先立つ宴席で上記後継者の指名が行われている)。そしてドラマの中では、ジュチはキプチャク平原からそのまま戻らず、ジンギス=カンと二度と会うことはないのである。

 しかし、耶律楚材が出てくるのなんか意味あるの? この人、占いしかしてないじゃん。しかもカラキタイ攻撃を予言って…同族意識ゼロなのか…。非道いヤツ(爆)。
 今のモンゴルにつながる影響を与えた人物というなら、タタトンガの方を取り上げるべきじゃないか? 彼がテムジンに仕えることになったいきさつの方が、テムジンの人となりを象徴的に表している気がするんだが…。もっとも、タイチウトを殲滅したくだりでも、主君に忠実だった正直な人をテムジンが褒めたって話も出てこないが。何で?
 あるいは、テムジンも老いたな~って話をしたいなら、長春真人と会う話の方が良いじゃないか。

 狩猟中に落馬したジンギスカンに、ボオルチュは我々も老いたし、もう帰ろうと提案するのだが、ジンギスカンは更にインドへの遠征を企てる。しかし、ここまで一緒に来ていたクランも死に、ジンギスカンもようやくブルカン岳への帰還を決定する(1924年)。
 遠征中の殺伐なるものを祓うため、ポカソキコ平原で酒宴を催す。そこに迎えに来たツルイは彼の息子のフラグとフビライを連れてきていた。
 フラグを全く無視してフビライの解説をするナレーター。フラグには字幕もナシ。非道い差別だ(笑)。日本人は、イラン方面に全く関心なしですか?(爆)。

 ジンギス=カンが故郷に帰り着くと、帰還せよとの命令に従わないのでどうしたのかと不審に思っていたジュチがキプチャクで狩りをしている、という噂を聞く。ボオルチュやジャルメが諫めるのも聞かずにジュチ征討の決定をしたところに、ジュチの死を伝える急使が到着する…。
 ジュチだっていい加減に大人…というか、当時の寿命で言ったらそんなに早死にでもない気がするし、だいたい、息子が40人もいて、なかなか充実した人生だったろうと思うのだが…。
「…戦陣の中でしかこの嘆きは癒せない!」
と西夏遠征を決定するジンギス=カン。…なにやら迷惑な話だなぁ。
 この遠征の途中で、ジンギス=カンは没する。

Linew_2

 なんだかんだとぶーぶー言いながらも、大いに楽しんで見た。
 40モンゴルとか言うだけあって、モンゴルの中の部族が頗る多く、その関係やらなんやらを覚えなければならないと思うとくらっとする(笑)。わかってくるとおもしろいんだが、ハードル高いぜ(笑)。
 そういうとき、知ってる顔が演じていると、かなり助けになるものだ。オールスターキャストって、その点では非常に助かる。戦国時代の大河ドラマ風なのも、日本で作るんだったらむしろその方が味があって(←醤油味モンゴル…笑)良いじゃんって気がしてきたし。下克上の時代の話なら、価値観的にもそれほど違和感がない。むしろ、現代もののドラマや映画に出てる人の方が台詞回しとか動きとか思った以上に浮いてる(笑)。

 いや~自分はなんにも知らなかったと勉強不足を痛感しつつも、これで少しは、モンゴルマニアの話に入っていけるかな?と期待。良いドラマでございました。


蒼き狼 成吉思汗の生涯 DVD-BOX
第一部 成吉思汗の誕生
第二部 大平原の誓い
第三部 モンゴルの統一
第四部 万里の長城越え

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2007年9月13日 (木)

映画のセリフで覚えるロシア語「我が臣民は、余を愛しておる」

Мой народ любит меня.
(もい なろーと りゅーびっと みにゃー)
「我が臣民は、余を愛しておる。」(「ロマノフ王朝の最期」より)

 映画の冒頭、ニコライ二世が言ったセリフ。
 映画の舞台は1916年、賄賂や横領がはびこり、帝室にラスプーチンが出入りしている、帝政が断末魔にあえいでいる頃の話である。
 「народ なろーと」はここでは臣民と訳してみたが、以前にも書いたように、政体によって「人民」や「国民」と訳しても良いと思う(字幕はМой народを「国民」としている)。

 動詞を少し変えて、次のような類似の表現に応用できる。

Мой народ поддерживает мою основную политику.
(もい なろーと ぱっぢぇーるじう゛ぁえっと まゆー あすなぶぬーゆ ぱりーちくぅ)
「国民は、私の基本政策を支持している。」

※ただし、その場の空気が読めずに使うと、ニコライ二世のように、怒り狂った人民に一家もろとも惨殺されて穴に投げ込まれたりすることもあるので、使用には細心の注意が必要である。

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2007年9月11日 (火)

ドラマ「蒼き狼」第三部

Ookami3第三部 モンゴルの統一

キャスト:(主なキャストは第一部参照)

トオリル…中谷一郎
ジャムカ…若林豪
ジャルメ…可知靖之
テップテングリ…財津一郎
クラン…神崎愛

 相変わらずジュチに冷淡なテムジンだが、当面の課題はジャムカとの関係だ。

 実は数年前、テムジンとジャムカは干戈を交えている。
 テムジン麾下の部族の馬を盗んだ者が殺される、という事件があり、たまたまそれがジャムカの弟タイチャルだったために戦争にまで発展した。(十三翼の戦い)
 テムジンが
「あ、失敗しちゃった」
と思った瞬間にとっとと逃げてしまったのでジャムカが勝ったのだが、勝敗の判定は微妙なところであった(現に『集史』ではテムジンが勝った事になっている)。テムジン…逃げ足の速い男(笑)。

 シャマンであるテップテングリが天のお告げとして聞いたところによると、ジャムカの周りにはタイチウトなど反テムジン派の部族が集まり、ジャムカをグル=カンに推戴して、今度こそテムジンを完膚無きまで叩き潰してしまおう、と準備しているのだという。
 両雄が再びぶつかるのは必至だが、そこで気になるのがケレイトの動向である。
 トオリルは、この戦のあとの計算もあり、テムジンとの誓約もあり、テムジンの側に付くことを決める。しかし、息子の(ニルカ=)サングンはテムジンにパパを取られちゃう~と嫉妬しているので不満たらたら。

 テムジン・トオリル連合軍とジャムカの軍との戦闘は広範囲に行われ、五日に及んだ。五日目の夕方、テムジンは敵兵の放った矢に当たって重傷を負う。

 ジャルメがこっそり敵陣から取ってきた馬乳酒を飲んで翌日は元気になったテムジン。
「…ジャルメ、何で上半身裸?」
テムジンも尋ねているけど、私もジャルメが何で脱ぎたかったか是非知りたい。だって、夜の暗闇の中を忍んでいくんだったら、黒っぽい服着てた方が目立たなくないかね? なぜわざわざ目立つ肌色を晒す(笑)←一応、ジャルメ『秘史』では言い訳してるけど)。

 元気になるなりタイチウトを殲滅しようと張り切るテムジンのもとに、トオリルがジャムカの軍を破ったとの捷報が入る。
 ジャムカが破れた…ということは、三頭体勢が崩れ、この瞬間からケレイトは覇権を競うライバルになったという事だ。獲得した部族を分け合いながらも腹の中を探り合うテムジンとトオリル。

 さて、敗れたジャムカは、どこに消えたかのと思えば、サングンの寝所に現れ、テムジンと戦うよう言葉巧みにそそのかす。
 テムジンとの関係だけを見れば、「殺し好きの翁」などと呼ばれるトオリルもおおむね誠実な関係を保っている。サングンにだだをこねられて肉親の情にほだされ、テムジンと戦うようになるのだって、むしろ人の親としては同情できる選択なのではないのだろうか。『秘史』を読む限りでは、あんまり腹黒く感じない。

 翌年、テムジンとトオリルは共同してナイマン攻めに出撃。しかし、テムジンはナイマンと通じているとジャムカの口車に乗ったサングンおよびトオリルは、ナイマン軍を目前にしながら、テムジンを置き去りにして戦線を離脱してしまう。
 ケレイト軍は退却中にナイマンの名将コグセウ=サブラグに追撃されて大打撃を蒙ってしまう。そりゃあまぁ、赤ん坊将軍(ニルカ=サングン)じゃあ、コグセウ=サブラグにはかなわんよなぁ。裏切ったうえに、このときテムジンに助けられたくせに、結局トオリルはサングンの言うなりになってテムジンを撃つのだ。

 だんだん関係地域が広がってきたので、地図が参照されるようになってくるんだけど、これがイマイチ…(笑)。20世紀の地図に「西夏」って書いただけでしょ。ソ連(当時)の地名になってたらわかるわけない。そもそもナイマンがどの辺にいるか書いてないし一見親切なようで雰囲気だけかいな。

 敗れたテムジンは、わずかな手勢を連れてバルジュナ湖に逃れ、再起を計る。
 そこに近づいてくるあやしい隊商…サルタクのハサン(アサン)に率いられる商人の一行だった。しかし、
「高原の商人たち、あなたに期待している…」
なんてのんきなセリフを言わせてる場合か~。平和ボケ? ま、とりあえず、ヒゲ生やしとけ、ハサン。ヒゲないと宦官に見えてしょうがない。
 こいつ、表向きは毛皮を買い付けに来たなどと言ってるが、オングトのアラクシ=ディギド=クリの手の者だぞ。こういう微妙な情勢の所に、わざわざ入ってくる商人って何者よ? 『秘史』に書き残されているって事は、モンゴル側も彼らがアラクシから送られて来たって事を認識しているって事だから、様子を見に来た斥候どころか、意図を持ってやって来た密使だよな。 
 このあと、アラクシがナイマンのタヤン=カンに協力を要請されても応じなかった事を考え合わせれば、密かにテムジン側に援助物資を運ばせ、秘密の攻守同盟を結んだんじゃないのかね? それこそオングトに匹敵する名門で有力部族であるナイマンを見捨てるなんて重大な決定を下すのに、前兆がなくいきなりなんて事があるかい。
 知らぬはタヤン=カンばかりなりって…コグセウ=サブラグが歎くはずだわ、ドラマには出てこないけどさ(爆)。

 多くの人々の期待を背負って、テムジンはケレイトに再び戦いを挑み、ケレイトの本拠地カラトン(黒い森)に破る。黒い森と言いつつ、相変わらずの砂漠だが。
 破れたトオリルは、逃亡中ナイマンの兵卒の手にかかって死に、サングンのその後はわからない…。しぶとく生き延びたジャムカは、ナイマンに走るのだった。


 ところで、ここでひとこと言いたい。テムジン、戦、下手じゃないか?
 まぁ、下手ってのは言い過ぎかもしれないけど、ここまでの戦闘を見てきた限りでは、凡庸な指揮官のようにしか思えないんだけどなぁ。
 ここまでは自分の部族も小さく兵力もわずかだったから、負けることがあっても仕方ないと言われるかもしれない。でも、圧倒的な兵力で勝つのは当たり前で、それで負けたらそれこそ無能なのでは? たびたび負けても、それこそ上記のアラクシ=ディギド=クリのように手をさしのべてくる人がいる、慕ってやってくる人がいるというのはなぜなんだろう?
 力じゃないとすれば、何が人を引きつけるのか。

 テムジンが古い秩序を壊して新しく秩序を打ち立てかというと、必ずしもそうでもないような気がするんだけどなぁ。モンゴルに征服された農耕地域にとっては目新しい事がいろいろあって有益だったかもしれないけど、伝統的な部族や氏族のしがらみって色濃く残っている気がする。もちろん、論功行賞で組み替えはあったわけだが、それだって伝統的なワクからそうはみ出しているようには見えないけど…。

 単に立地条件と時期がかなえば、テムジンである必然性はなかったって事なのだろうか。

 ある意味、現代でもスベエテイやアラクシのように引きつけられているモンゴル好きの人たちは、テムジンが草原の覇者になった理由をどう見ているのか気ぃになぁるなぁ(爆)。
 一言で言うと、そのうんちくを聞いてみたいということです(笑)。


 さて、テムジンは翌年ナイマンを破り、メルキトの残党を殲滅。クランを得る。また、腹心の部下に裏切られたジャムカが連行されてくる。
 主君を逃がしてテムジンの所にやってきたタルクタイの家来を褒めたのとは裏腹の関係で、主君を売ったジャムカの家臣を処断したテムジンは、貴人に対する礼をもって、大地に血を流さずにジャムカを処刑した。
 ジャムカの行動は結構ナゾ。『秘史』の説明もこのドラマのストーリィも一つの説に過ぎなくて、本当のところはジャムカ本人にしかわからないのかも…。本人にもわからなかったりして。屁理屈でもこじつけでもいいから、なんかもっと納得できる説明を聞きたいような気がするなー(←またそれか…笑)。

 全モンゴルを統一したテムジンは、テップテングリのお告げにより全モンゴルのカンに即位、チンギス=カンとなる(第二次即位。1206年)

 それよりテップテングリ、なんだそのヒゲは!!!(踊りも表情もヘンだけどさ!)


第四部 万里の長城越えへ続く

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2007年9月10日 (月)

ドラマ「蒼き狼」第二部

Ookami2第二部 大平原の誓い

キャスト:(主なキャストは第一部参照)
トオリル…中谷一郎
ジャムカ…若林豪
ゴルチ…泉谷しげる

 さて、ボルテを迎えたテムジンは、自分たちのもとにボオルチュを招いた。また、命の恩人ソルカン=シラの二人の息子たちが合流、ウリャンカイのジャルチウダイ老人が自分の子ジャルメをチンギスに与えるなどして、だんだん一つの部族としての体裁が整ってきた。
 しかし、まだまだ小さな力のない集団に過ぎない。そこで、エスガイのアンダであったケレイトのトオリル=カンにすがることにした。父のアンダすなわち父と同じような者だから、ボルテの母からエスガイに贈られた黒貂の毛皮をトオリルに贈って挨拶に行くのだった。つーか一枚皮か? おそろしくでかい貂だな(笑)。まぁ、あれだ。動物愛護団体がレタス製水着を着たお姉さんをよこして抗議したりするとまずいので、わざと偽物とわかるようにしてあるかもしれないしね。
 ボルテってさ、山内一豊の妻より偉いよな。後にも重要な助言をしたりしてるのに、このドラマ中ではひどくかわいそうな役回りじゃないか。実際はそれなりに権威のある地位にいたと思うんだがなぁ…。

 トオリルは気をよくして、援助を約束。偉そうである。いや、実際、この頃はモンゴル高原一番の有力者で偉いのである。テムジンの物語の中では脇役だけど。後に金から贈られた王(オン)という称号がヨーロッパまで伝わり、ケレイトがネストリウス派キリスト教を信奉していたことも相まって「プレスタージョン伝説」になったという説があるくらいで。
 ここでは野心満々な感じはするものの、あまり腹黒くない。

 それから6年経った…。
 まだボルテには子供ができず、肩身の狭い日々を送っている。
 そんなある日。正体不明の一団に襲撃された。テムジン一家はコアクチン婆さんの機転で危機一髪、逃げる事ができたのだが、ボルテには馬が足りず彼らに掠われてしまう。
 彼らはゴルバン=メルキトで、以前一族の者がホエルンをエスガイに取られたことの意趣返しにボルテ(+コアクチン婆さん)を掠っていったのだった。

 とはいうものの、この辺りテムジンの無名時代の事は、伝説であり、正確にいつ何がどのように起こったかはっきり決めることはできない。
 ドラマでは6年経ってもボルテに子ができないかのような描き方だが、「秘史」によるとメルキトがテムジンの宿営地を襲撃してボルテを奪っていったのは、正式に結婚してまもなくの頃だ。それだと、たとえ妊娠していたとしても出産にまでは至るまい。
 「集史」によれば、掠奪されたときボルテは既に身ごもっていて、身代金目当てであろうか、トオリルのもとに送られ、そこからテムジンの元へ送り返される途中で出産している。他所で生まれたから「ジュチ」と名付けられたのだという。まぁ、子供を喰う悪霊の目をそらすために「これはウチの子でない他所の子」という呪術的な意味もあるかもしれないし。
 メルキトに掠われた、解放にトオリルが関わっている、という点は確かなんだろうが。

 トオリルのケレイト軍と彼の呼びかけに応じて軍を出したジャムカの軍を併せて4万で、メルキトを襲撃。一方、テムジンは30って…。もろ大義名分に使われているぅ~(笑)。

 ま、ともかく無事ボルテを取り戻し、メルキトを痛めつけてやったテムジンは、ジャムカとアンダの誓いを新たにして、1年を共に過ごす。
 しかし、翌年の夏の初め、あることをきっかけにジャムカはテムジンに謎の言葉を残して去る。そして、ジャムカは狩りの準備をしているという話がテムジンに伝わってくる。
 ボルテは先日のジャムカの言葉の謎を解き、今すぐ彼らから離れ、移動しようと主張する。テムジンはその言葉を良しとし移動を始めるが、それを知った各部族が、テムジンについていくか、ジャムカに付いていくかの選択を迫られる。
 結局、テムジンについてきた人々は3000人を超えた。ジャムカの親戚でもあるゴルチ=ウスンの予言もあり、テムジンはカンになる。(第一次即位。1189年)

 映画より余裕があるとはいえ、290分しかないので相当はしょっているわけで。主題を日本人好みの話に絞っているから、日本の洋食屋さんみたいな話になってるが、これはこれでまとまってて見やすいのかも。
 なお、いわゆる「十三翼の戦い」は第三部でちょちょっと触れられる。

 英雄と言われる人でも実は苦悩するのだ、というのは日本人好みの話題なのだろうか。テムジンってあれこれ迷ったりしないんじゃないかなぁ、という気がするんだけどどうなのかな。これを見ているとどうも日本版「スパイダーマン」(池上 遼一)を思い出す。あれはあれでちょっと苦悩しすぎか(笑)。
 そもそも、ジュチがチンギスの子じゃないって話は、いわば兄弟喧嘩で
「おまえなんかウチの子じゃないやい、橋の下から拾ってきたんだ~!」
何て罵り合うのと同程度の話なんじゃないのかね。それをここまで大きくしちゃうってどうなのよ(笑)。
 それとも、今までは血に飢えた征服者というふうにしか描かれなかったチンギスが、血も涙もある一人の人間として描かれたって事に当時は意味があったのか。今見ると、ちょっと逆側に振れ過ぎな観があるが(笑)。


 さて、そんなこんなで月日は流れ…。
 金の要請によりトオリル=カンと協力して父の敵であるタタルを下したテムジンは、いつの日か長城を越えて金を撃つことを決意するのだった。


第三部 モンゴルの統一へ続く

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2007年9月 9日 (日)

ドラマ「蒼き狼」第一部

蒼き狼 成吉思汗の生涯 DVD-BOX

1980年日本
監督:森崎東、原田隆司
キャスト:
テムジン…加藤剛
エスガイ…平幹二郎
ボルテ…倍賞美津子
ホエルン…大楠道代
ジャムカ…若林豪
ボオルチュ…田中邦衛

 驚いたことに、テーマ曲を全部覚えていた。
 内容を全く覚えていないにもかかわらず(笑)。
 このあいだの角川の音楽さえ全く覚えていないにもかかわらず~(笑)。
 おっかしいな~。同じ作曲家の「殺人の追憶」や「日本沈没」は聞くなりCD買いに走ったんだがな~。

 モンゴルはあまり得意ではないので、この機会に『元朝秘史』を読み直してみようと思うので、ちょっと詳しく見てみたいと思う。
 なお、ドラマの原作・井上靖「蒼き狼」は読んでない(ベキバキ)。気の付いた事があれば、ご指摘下さるとうれしいなぁぁぁ。

第一部 成吉思汗の誕生
Ookami1 エスガイは、オノン河で鷹を放っているとき、メルキト族のイェケ=チレドが嫁を娶って連れ帰るのを見かけた。その女性を一目見るなり惚れてしまったエスガイは、兄のネクン=タイズと弟のダリタイ=オッチギンを助っ人に頼み、掠奪して連れてきたのがホエルンである。
 ホエルンは、やがて男子を産む。後のチンギス=カンであるが、彼は生まれたとき、

「己が右手にシアーほどの血塊を握って生まれた。」(小澤重男訳『元朝秘史』岩波文庫、以下同じ)

 なんでも、チムールも生まれたとき、手に血塊を握っていたんだって? しかも両手に!
 …それ絶対にチンギスに対抗してるでしょ(笑)。
 それにしても、このエピソード、草原の人々がそんなにお好みなんだ。そういう伝説なら、たとえ事実でなくても入れる方が草原っぽさを醸し出すってもんだ(笑)。

 ちょっと気になったのは、「パオ」と「集落」。何か違和感が。
 あと、エスガイさんちの周囲がめちゃくちゃ砂漠なところ。どこだよ、これ(笑)。さてはモンゴルじゃないな(笑←タクラマカン砂漠かな?)。
 この後時々ゴビっぽい&草原っぽい風景も出てくるからまぁいいか。

 9歳のテムジン。ジャムカとウサギを仕留め、矢を交換してアンダの誓いをするが、この子役たち、きっと現地の子だ。乗馬が上手い。それにしても馬の尻をびちびち叩くわ叩くわ(笑)。
 でも、ジャムカとの絡みがここだけなんだよな。もう少し一緒になんかしててもいいような気もするんだけど…。
 そのせいで大人になった時、ジャムカが一方的にテムジンに対抗意識を燃やして勝手にひがんでいるように見えてしまう。…いやむしろそういう演出なのかな? これだとジャムカがより小さい人物に見える。

 テムジンは、母の部族オルクヌウトに嫁取りに行ったのだが、途中かわいい女の子ボルテを見かけて、その子の部族オンギラトに求婚してしまうのだ。なんだか惚れっぽい親子だな(笑)。
 そうしてテムジンはオンギラトに預けられてそこで5年を過ごす…。

 14歳になった頃、エスガイがタタルに毒殺されたという知らせが入り、テムジンは急遽家族の元へ戻る。しかし、エスガイ亡き後、タイチウトのタルクタイがモンゴルを統率するようになり、テムジン一家に無断で全部族を引き連れて別の牧地に移動してしまうのだ。
 テムジンは
「エスガイの長子のオレに無断で云々」
とか言ってるけど、「長子であること」にいかほどの意味があるのか。この一家で唯一成人している男という意味では、ひとこと意見を言う権利もありそうだろうけれど、モンゴルは末子相続。エスガイだって長子ではない。そもそも一四歳の少年に全モンゴルを束ねていく指導力があるとは思えない。

 当然、寡婦のホエルンはトゥグを持ってみんなを引き留めようとするが、その努力もむなしく置き去りにされてしまう。
 ふと、このときダリタイ=オッチギン(エスガイの弟)は何も言わずにタイチウトのいうなりなってしまったんだろうか、と疑問に思った。ホエルンを掠ってきた時のいきさつからして縁が深いんだから、助けてやればいいのによ~。頼りにならない叔父さんだな~。あ、だから末子なのに一族の長ではなかったんだな(爆)。

 すっかり貧乏になったテムジンの一家。母は木の実草の実を集め、兄弟は魚を釣るなどして力を合わせて一家を支えようとする。でもやっぱり、育ち盛りの少年が複数いるといくら食べ物があっても足りない。皆腹が減ってるのでピリピリしている。
 そんな中、異母弟ベクテルが獲物を横取りにして彼の同母弟ベレクテイと独占して食べてしまうような事件が起き、そのことをテムジンが注意すると、
「おまえなんかメルキトの血だ」
と逆ギレ。カッとなったテムジンは、すぐ下の弟(ジュチ=)カサルと一緒になって、ベクテルを射殺して母を歎かせる。

 それにしてもここに出てくる馬が本当にかわいい。全体的に馬がちっこくてもさもさしててかわいいのだが、この馬なんかベクテルが憤然と立ち去る所なんか、
「あれっ、どうしたの、ベクテルちゃん? どこ行っちゃうの?」
とでも言っているかのようにベクテルを目で追っている。演技だとしたらすごい役者馬だが、たぶん素の反応だな(笑)。かわいい。
 ところで、テムジンがメルキトの種だって話は初めて聞いたんだが、何か根拠のある話なのかね? もちろん『秘史』には出てない。

 ここで子役から加藤剛に交代。老けた10代だなおい。それは言わない約束か?(笑)。
 でもさ、このあとテムジンはタイチウトに捕まっちゃうんだけどさ、加藤剛が演じていると、縛り付けられた大きな丸太が、枷じゃなくて凶器に見える(笑)。香港映画だったら、これを武器にした新しいカンフーの流派が生まれそうだ。拘束したつもりがバッタバッタとなぎ倒されるかわいそうなタイチウト!(違)。

 さて、ソルカン=シラの好意でようやくタイチウトから逃げることに成功したテムジンは、家族の元に返ってくるが、一家は更に貧乏になっていた。最後に残った8頭の馬まで盗まれてしまう始末。馬の番をしていたカサルは馬を持っていなかったので、馬泥棒に逃げられてしまう。騎馬のベレクテイがタルバカン猟から帰るのを待って、テムジンは馬泥棒を追う。
 途中、馬の番をしていたボオルチュというどう見てもモンゴル人っぽくない男が、馬泥棒の行方を教えてくれたばかりでなく、追跡用に自分の馬まで貸してくれた。のみならず、彼は馬を取り返す手助けまでしてくれるのだ。彼のおかげで馬を取り戻したテムジンは、ボオルチュというその男と友達になる。
 いやね、言うまでもなく全体的にモンゴル人には見えないんですがね。それでも加藤剛なんかは時代劇に出ていた姿に慣れているから、全然違和感なく、ここまで気がつかなかった(笑)。
 ところが!田中邦衛がしゃべるとなーんか空気が変わるね(爆)。絶対モンゴルの雰囲気じゃないよね。青大将だよね(←例えが古い)

 さて、こうして少しは一家の状態が落ち着いてきたので、テムジンの婚約者ボルテをテムジン一家に迎えることができるようになった。
 さぁて、テムジン一家にもだんだん運が向いてくるか~?

第二部 大平原の誓いに続く。

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