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2007年10月14日 (日)

映画「火を噴く惑星」

Planet_of_storms火を噴く惑星

1961年ソ連
監督:パーヴェル・クルシャンツェフ
キャスト:
ヴェルシニン…ヴラジーミル・エメリヤノフ
ボブロフ…ゲオルギー・ジジョーノフ
アリョーシャ…ゲンナジー・ヴェルノフ
シェルバ…ユーリィ・サランツェフ
マーシャ…キュンナ・イグナトヴァ
アラン・ケルン…ゲオルギー・テイフ

 これさー、ずるいよ~。原題は「嵐の惑星」…金星のことじゃないか~!! 確かに、重要な局面で火山が爆発するし、風もあんまり吹いてないけどさ。それにしたって、この題名は狙いすぎじゃないか? 釣られて見ちゃたじゃないか~(笑)。
 それに、煽り文句の

『惑星ソラリス』『不思議惑星キン・ザ・ザ』を産んだロシアからまたまたトンデモ惑星が登場!!

って…。ソラリスはトンデモじゃないだろ(笑)。

 というわけで、宇宙開発競争が盛んだった1960年代の真面目な空想科学映画で、決してウケねらいでやっているワケではないのである。…………が、、、

 天然ボケ最強ぉぉぉ!

冒頭のナレーション(?)、

…我々が空想で描いたこの未知の世界は
現実とは違うかもしれないが…

に、一言言いたくなる人続出だっっっ!

 開始2分30秒。金星に向かっていた有人宇宙船3機のうちの1機カペラが隕石にぶつかって爆発。いきなり大惨事じゃないか~!
 もちろん、そんなことでソ連の宇宙飛行士は、計画を断念したりはしない。モスクワの司令部も「人命第一」と口では言ってるけど、宇宙開発のような最先端の科学の発展には、ある程度の犠牲は織り込み済みって雰囲気がみなぎってる(笑…い事じゃないんだよなぁ、本当は)。当時の宇宙開発競争に身を投じていたソ連の科学者、軍人などなどの気概が感じられ、すがすがしくさえある(果たしてそうか?)。

 ついいまさっきまで冗談を言い合っていたのに、と同僚の死を嘆き悲しみつつも、ヴェガの乗員シェルバとケルンは、ロボット・ジョンに最善の計画を計算させようと起動させる。

 このジョンがすごいんだ。米国G・S社製なんだけど、なぜか敬語でしか命令を受け付けない。緊急を要するときにめちゃくちゃ丁寧な言葉遣いをしなくちゃならなくてロシア人は、
「ふざけてる!」
とみんなイライラ。ジョンと話す機会が多いおかげでケルンが常に丁寧な言葉遣いなのがなんだかアメリカ人っぽくない(笑)。受けるジョンの方も返事が
「ダー(はい)、サー」
って…何で半端にロシア語なのよ!? 「イエッサー」でいいじゃん。…「サー」以外は全部ロシア語のくせにサー(笑)。

 物語は淡々と進んでいく…ように見えるがよく考えると、すごい危機的状況が次々と襲い掛かってるではないか! それを、感じさせない乗務員の落ち着きぶりはさすがエリート中のエリートである宇宙飛行士。…マーシャ以外。
 このマーシャが。マーシャがなぁ~~~!(泣) 宇宙飛行士にしては不安定すぎないかな。案の定、錯乱した彼女の行動が後でとんでもない事態を引き起こすのだ。

 ジョンの計算で、シェルバとケルン、ジョンがヴェガの着陸船で金星に着陸し、マーシャがヴェガで、残りの乗員がシリウスで軌道上に残る事になった。通信に音声しか使えないっていうのがいかにも昔風だなぁ。
 そればかりでなく、あらゆる物がアナログっぽく、色遣いはソ連っぽい。でも、窓枠が木だったりするのは、一回りしてむしろ今風かも(笑)。宇宙の長旅、やっぱりインテリアは木の方が暖かみがあってほっとできるもんね。

 それはともかく…ケルンたちと連絡が取れなくなってしまったために、シリウスが金星に着陸することになる。そして着くなり、アリョーシャはにょろにょろしたものに捕まってしまう。
 それはラフレシア型の植物であった。人の声とも、風音ともつかない不思議な音声(テルミンの音)の警告で仲間が気付き、アリョーシャは食われずに済むのだが、「金星に生き物はいるか?」と着陸前ワクワクどきどきしてた一番の金星探査の目的が、もう終了?(笑) 川口浩探検隊だったら、このネタだけで特番の最後まで引っ張るところだが(笑)、そんなケチなことはしない。

 それもそのはず。一行の前に、ブロントサウルスが現れた!
 食肉植物くらいで驚いていてはついていけないゾ(笑)。それにしても、いくら恐竜でも、尻尾から血を採られてから痛いと気付くまでそんなに時間かかるかいな。草食動物なんだから、そんなににぶくちゃ食われちゃう。
 そのほかにも、ランフォリンクスとおぼしき翼手竜に襲われたり、地球の生物に似すぎてないか??? これって、時間旅行じゃなくて宇宙旅行なんだけどなー。ま、金星だからそういうこともあり得るかも(いや、あり得ないってば)。

 それにしても、ジョンって時々本当に優秀なロボットなのか疑問に思える行動・言動をするんだよな~~~。
 中でも仰け反ったのは、宇宙服に穴があいて細菌に汚染されたとかで具合の悪くなったケルンたちに薬を飲ませなければならなくなった時。かぱっとヘルメットを開けて薬飲ませてる! あわわ、そりゃ即死だろ。
 そんなジョンも、ケルンの好きな音楽を流しての最期は涙を誘う(ケルンの)。でもしょうがないね。溶岩流の中を歩いてるんだもの、そりゃあ、溶けるわ(爆)。ジョン、鋼鉄でできているらしいし。

 こうしてジョンの身を挺した活躍により、ケルンとシェルバはシリウスの乗務員と会うことができた。その後の探査はきわめて順調に進んだのだった。

 ところが最後の最後で、問題が発生。マーシャが
「規定では軌道上で待機する事になっているけど、着陸しなくちゃ! だって金星が呼んでいるんですもの!」
と口走っている通信が、シリウスの留守録に残されていたのだ! いやいや、規定通りにしろよ!
 しかも、録音テープ(もちろん当時はオープンリールである)が尽きていて、本当に着陸するのか、どこに着陸するのかがわからない。もし本当にヴェガが金星に着陸してしまっていたら、全員、地球には帰れないのだ!

 マーシャはいったいどうしてしまったのか?

 また、金星には、知的生命体はいなかったのか?


関連作品:
ジジョーノフが出ている映画
→「エア・パニック -地震空港大脱出-
→「スターリングラード大攻防戦
SF(コメディ)映画
→「不思議惑星 キン・ザ・ザ
→「UFO少年アブドラジャン

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 少し前に紹介した「不思議惑星キン・ザ・ザ」は、初めから風刺を目的としたコメディタッチの映画でしたが、「火を噴く惑星」は本来は真面目なハードSF大作(のはず)です。ただし、無情な時の流れによって、1961年の製作当時は十分科学的だったはずの描写がすっかりレトロになり、コメディにすら見えてくる部分もあります。その辺を含め、粗筋は以下のページをご参照ください。 放浪脳内一人旅  ただ、上にリンクしたページに書かれているほど、とんでもない内容だとは思いません。確かに、魚が泳ぐ海があって大地に...... [続きを読む]

受信: 2008年7月27日 (日) 15時30分

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