【モ1-3】生神女アラン=ゴア
古い時代には、子供を産む能力があると証明されている子持ちの女性の方が、結婚相手としては好まれたようでありますが、神様に仕える人は、処女でなくてはいけなかったり、結婚してはいけなかったりするというようなきまりは、世界各地にあるようです。
現在の日本でも、性体験したことのない人には霊が見えるとか30歳過ぎまで童貞だと魔法使いになれるとかいう話があるのは、その名残ででもありましょうか。
そういう俗世の穢れを知らない清らかな女性が、稀に、処女のままなにか聖なるものの子を身ごもり、産み落とす事があります。
この類の伝説で、世界で一番有名なのは、ナザレのイエスを生んだマリアでしょう。
しかし、そういう伝説はチンギス=ハンの一族にもあります。
その昔。
ブルカン=カルドゥンに住んでいたドブン=メルゲンは、コリ=トゥマドの乙女・アラン=ゴアを娶りました。ドブン=メルゲンが若くして亡くなった後、アラン=ゴアは男の子を三人、次々と産み落としました。
「彼女を娶るべき夫の兄弟もいないのに、どうして彼女は赤子を産んだのか。不倫でできた子に違いない。」
いつの世でも、憶測でモノを言う人はいるものです。影でこそこそ言われていることを聞き知ったアラン=ゴアは、子供たちを集めて毅然とした態度で言いました。
「夜になると、なにかはわからぬが光るものが天窓からゲルに入ってきて我が腹にしみ入った。それが這い出て行くときは、黄色い犬のような形をしていた。これは、神の化身に違いあるまい。その子孫はいずれ世界を支配するであろう。凡人どもは、その時になってようやく我の言ったことが真実であったと知るであろう。」
つまり世界征服者の出現を予言したわけです。彼女が光を浴びて生んだ三人の子の末子・ボドンチャル=ムンカクの11代の子孫が、チンギス=ハンになるのです。
ちなみに、アラン=ゴアの産んだ子供たちの子孫が、モンゴルの中でも特に「ニルン」と呼ばれる集団になりました。ニルンとは、『集史』の筆者ラシードの説明によると、「腰」という意味だそうです。アラン=ゴアの神聖なおなかから出てきた子らの子孫だから、という事でしょう。
エッ?
「アラン=ゴアは、ドブン=メルゲンとの間にも子供が二人もいるじゃん! 処女懐妊じゃないじゃん!! マリア様と違うじゃん!!!」ですと~。
何だってー!
……ばれたか。クリスマス=イブなので、マリア様にあやかった話にしてみたかったのですが(笑)。
でも、光線を浴びて身ごもったという話は本当です。
やはり、多産を豊饒の象徴ととらえていた時代のことなので、神様も子供を産める能力を自ら証明した女性がお好みだったもようです。
ではでは。皆様、良いクリスマスを!
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コメント
怪光線を浴びて妊娠ですと?
きっと宇宙人にさらわれたんだ!
投稿: マルコ | 2007年12月28日 (金) 21時02分
そんなことあるはずないじゃないの。
あなた少し疲れてるのよ、モルダー。
投稿: 偽スカリーI世(雪豹) | 2007年12月28日 (金) 21時56分