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2007年12月18日 (火)

映画「鬼戦車T-34」

T34鬼戦車T-34

1964年ソ連
監督:
ニキータ・クリヒン
レオニード・メナケル
キャスト:
ヴャチェスラフ・グレンコフ
ゲンナージー・ユフチン
ウラジーミル・ポゴレリツェフ
ヴァレンチン・スクルメ
ブルーノ・オヤ

 原題「ひばり」。大空をどこまでも高く高く飛ぼうとするひばり。その空を遮る有刺鉄線で物語は始まる。ドイツ軍の捕虜になったソ連兵たちが故郷に飛んでかえりたい、と思う気持ちを代弁するかのように、太陽に向かって飛びながらひばりはさえずる。

 ドイツ軍はソ連の戦車T-34の弱点を探ろうと、鹵獲したT-34を修理して射撃の的にし、あれこれ実験を繰り返していた。的になる戦車の乗員になった捕虜はみんな射殺されてしまうので、修理している捕虜たちには、その後戦車に乗せられる自分たちがどうなるのかはわかっていない。たまたま、元戦車乗りで腕の良い男がドイツ軍将校の目に留まり、新兵器の実験の時にでも使おうか、と生かしておいたのがドイツ軍にとって運の尽き(?)だった。彼は、策略でそのT-34を奪取。一緒にT-34を修理していた仲間たち(フランス人らしい非ロシア人を含む)と目の前にあるものをことごとく踏みつぶし、ドイツ兵を蹴散らして爆走。これがすごい。

 あんなものも(ベンツとか)!
 こんなものも(石造りの家とか)!

あっけなく潰れるもんだ。ベキベキ、バキバキ、めりめり、がらがらがっしゃーん…って感じ。さすが実車。
 しかも、これだけグシャッと踏みつぶすんだから結構な重量があるに違いないのに、舗装道とはいえかなりな速度で走ってる。舗装路上では時速50km出るそうだが、こんなのが時速50kmで突進してきたらイヤ~~~!
 現在でも時々、天下の公道や街中を戦車で爆走するヤツがいるが、自分が乗る方だったら確かにこれはやってみたいわ。ひゃーはっは、とか笑っちゃうだろうな。

 ただし、的役だったので武器弾薬は全く積んでおらず、燃料にも限りがある。国境からも遠く、冷静に考えれば全く絶望的な状況なのだ。
 矯正労働させられているソ連の女たちが、
「味方だ! 味方だ!」
と歓喜して戦車を追いかけるシーンで、それをいやと言うほど見せつけられる。戦車の乗員たちばかりでなく見てるだけのこっちまでもが
「さっさとあきらめろ、追うな」
と泣いてお願いしたくなるほど。だって、味方の戦車には違いないんだが、結局、何もできないんだよ? 目の前にいる女たちを助ける事もできなくて、自分たちだって逃げることしかできない。
 それでも、女たちの数は増え続け、野を覆うほどに。しかも全速力で駆けてくるのがなんともいえず痛々しい。

 ソ連の第二次世界大戦ものの映画で、主人公やその周囲の人々は死ぬことが多い。そうでないとリアルじゃないと感じられるほど、ソ連では死傷者が多かったんだな。
 この状況じゃ、主人公だけ都合良く生き残ったりはしなそうだなぁ、と思っていたのに、ああいう終わり方は想定外かも。見終わってから考えれば、ソ連らしいなー、とは思うけど。

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