映画「デッド・オア・ウェイブ」
2006年ロシア
監督:アンナ・ケリチェフスカヤ/ヴラジーミル・キリブルグ
キャスト:
ラディキン…ドミートリィ・ウリヤノフ
ヴァーニャおじさん…イヴァン・ボルトニク
ヴェルシニン…ボリス・ガルキン
アリーナ…アンナ・チュリナ
マルコフ…ミハイル・ゴレボイ
オレグ…セルゲイ・ヴェクスレル
最近、数字を足したり引いたり掛けたり割ったりしたら特定の数字になる日に起こった地震は、自然に起こった地震でなく、地震兵器によって引き起こされたものだという話を真に受ける人が結構多かったりするのだろうか。足したり引いたり掛けたり割ったりしたら、たいていの数字は出せるような気がするんだが。そんなんで
「本当だ、すごーい!」
と感心して納得するほど頭の不自由な人もそうはいないと思うが、こう立て続けに大きな地震が起こると、ホラ話とわかっていても無意識のうちに不安に思って冗談半分に茶飲み話にするうちに、それがやがてまことしやかにささやかれるようになったりするのかも。
そういう根拠のない噂話を映画にしちゃったのがこれ。
それが本当だと「発見」した若き(離婚歴有り)天才科学者ラディキンが、サミットに集結した首脳を地震兵器で抹殺して新しい世界秩序を打ち立てようとするテロリスト(?)を阻止しようとする、というアクション映画。
サミット、サミットって言ってるけど、カスピ海沿岸五カ国首脳会議なんだよなぁ、これ。んで、
「あいつら(カザフスタン、アゼルバイジャン、トルクメニスタンの事だろう)が偉大なロシアに跪いて、『またロシア人に戻してください!』って言ってくるようにしてやる。そしたら、喜んでまたロシア人にしてやらぁ、ヒャッハー!」
ってな話だから、地域紛争レベル…? その辺は意図的にぼかしてあるのか、パッケージではあまり語られていない。ま、洞爺湖サミットだって、死に体のあの人とか、マリオネットのあの人とか、支持率からして次がないあの人とかが集うわけで、むしろ世界の石油市場を左右するカスピ海沿岸五カ国首脳サミットの方が影響力があったりするかもしれない(笑)。
アムステルダム在住のセルゲイ・ラディキン博士は最近カスピ海沿岸で起こった地震について人工的なモノではないか、と発表してマスメディアでセンセーショナルに取り上げられた。この地域に地震はない、と彼の恩師の地質学者ハリトノフの調査結果が間違っているとの中傷もあったし、家庭生活のごたごたでむしゃくしゃしていたせいもあり、そういう行動に出たわけだが、それを快く思わない人たちもいた。
この件をモスクワでのシンポジウムで発表するよう招待状が来たが、なぜか空港ではかつての同僚ミーシャが待ち受けていた。彼が実は、地震兵器を開発して外国に高く売りつけようと企んでいる張本人なのだが、ミーシャはセルゲイに自分の研究所の所長になるよう持ちかける。
シンポジウムでセルゲイはタラソフ博士に徹底的に反論されてしまう。しかし、そのタラソフが殺され、ラディキンに嫌疑がかかる……。
善悪入り乱れて……というか、みんな腹黒といえば腹黒なので、ラディキンも誰について行ったら良いかわからず危なっかしい感じだが、見てるこっちもどれが善玉かサッパリわからない。はっきりした善玉っていうのはなくて、ややまし?ってくらいのもの。まぁ、配役で何となく読めはするんだが……。それにしても混沌としている。
原題は「断層」のことなんだろうか? でもあんまり関係ないような。草原をがーっと走っていってぶっつけ合ってひっくり返るアクションがリアルで良い。モンゴルを走ってて道端で車がひっくり返って燃えていたのを思い出したわ。ロケ地はウクライナかな? 日本人の目で見ると草原に見えるけど、ひょっとしたら畑かも。津波のシーンも画として美しかったが、迫り来る恐怖感やリアリティーが今ひとつ。それより、砂塵を巻き上げてのカーチェイスが風景も含めて気に入った。
| 固定リンク
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 映画「父は憶えている」(2023.12.19)
- 映画「深い河」(2019.12.28)
- 映画「予想外のでき事」(2019.12.22)
- 映画「ソローキンの見た桜」ららぽーとでも上映しないかなぁ?(2018.12.17)
- 映画「天才バレエダンサーの皮肉な運命」(2018.12.16)
「ロシア」カテゴリの記事
- コミックマーケット100に参加します(2022.06.11)
- ついに出た『集史』「モンゴル史」部族篇の日本語訳!(2022.05.27)
- 『モンゴルの親族組織と政治祭祀 オボク・ヤス構造』を読んで考えたことなど(2020.08.16)
- C98に向けアラビア文字のタイポグラフィーについて考える(2020.03.08)
- コミックマーケット97に参加します(2019.12.28)
コメント