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2008年7月14日 (月)

映画「光と影のバラード」

Svoy光と影のバラード

1974年ソ連
監督:ニキータ・ミハルコフ
キャスト:
エゴール・シーロフ…ユーリィ・ボガトィリョフ
ヴァシーリィ・サルィチェフ…アナトーリィ・ソロニーツィン
アンドレイ・ザベーリン…セルゲイ・シャクーロフ
ニコライ・クングーロフ…アレクサンドル・ポロホフシコフ
レムケ…アレクサンドル・カイダノフスキー
ブリロフ…ニキータ・ミハルコフ

 冒頭。革命が成って騎兵のアンドレイが馬とじゃれ合ったり、シーロフ、サルィチェフ、クングーロフらの仲間で車を転がり落としてお祭り気分な場所が、起伏はあるが森林はなく見渡す限りなだらかな草原になっているのを見て、一瞬、モンゴル高原かと思った。実際のロケ地はグローズヌィの郊外だってねぇ。後の方にその草原を切り裂いて流れる渓谷が出てくるが、それもますますモンゴルっぽい。あの辺の緯度って、東から西まですかーと抜けている感じなんだよなぁ。入ると真空になってて端まですっ飛ばされちゃうみたいな。

 その爽やかな開放感に満ちたオープニングから一転。
 革命が成功した後に訪れた「平和」とは、時が止まったような閉塞感に息の詰まる日常の繰り返しだった。名誉ある騎兵が書類に埋もれて帳簿付けか!とキレるアンドレイ。
 いやいや、内戦が完全終了してない時期だろ? 充分スリリングな毎日じゃあありませんか。こんなんでツマラナイ日常と言ってたら、現在なんか退屈すぎて窒息死しちゃうだろ。

 現にある日のこと。全国のブルジョワから没収した金貨をモスクワに送るようヴェー・チェー・カー(全ロ反革命サボタージュ取締非常委員会、NKVDやKGBの前身)長官ジェルジンスキーの指示が飛び込んできた。国際連盟がロシアへの人道支援を拒否したために、食料を買うためには、金(かねでなくきん。ボリシェビキの通貨など国際的に信用されているはずもない)や宝石類が必要なのだ。

 金貨をモスクワまで送り届ける役目の責任者に、シーロフが選ばれた。
 この辺の治安もまだまだ不安定であり、ブリロフ一味のような匪賊も頻繁に出没している。ところが、シーロフは出発前に頭部を打ち抜かれた死体で発見されたのだった。
 なぜこんな事になったのか……。革命さえ成功すれば、全てがうまくいくと信じていたのに……と、思ったかどうかはわからないが、サルィチェフは壁に掛けられたレーニンのポートレートに見入る。

 金貨は護衛なしに密かに運ぼうということになったのだが、いったいどこから情報が漏れたのか、運び人の乗った列車が襲撃され、金貨は誰かに持ち去られてしまう。

 そんな折、死んだはずのシーロフが現れた。
 行方不明だった三日間の記憶はシーロフ自身にはない。しかし彼の言葉なんか誰も信じない。旧友たちでさえも。
 この状況、確かにクサイかもしれないが、それにしたって確たる証拠もなしに銃殺ってオッソロシイなーーー。

さすが泣く子も黙るチェー・カー!
身内にも情け容赦ないぞチェキスト!

……というわけで、シーロフは身の潔白を証明できるのか? 男と男の友情はどうなっちゃうのか?? 金貨は誰の懐に入るのか、入らないのか???

 それにしても、機関銃をバリバリ撃ってるミハルコフが妙に楽しそうだ。実は一番それがやりたかったんじゃないの?ってくらい(笑)。もちろん、そのくらいの方が見る側にも楽しいんですがね。

 原題は、「敵の中の味方、味方の中の敵」という感じ? たぶん、いろんな意味に取れるんだろう、英語の題名もバラバラ。邦題には翻訳お手上げ感さえ漂ってる???

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