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2008年8月28日 (木)

映画「ステルスX」

ステルスX

2007年ロシア
監督:ヴラジーミル・ポタポフ
キャスト:
ヴィクトル・キルサノフ…セルゲイ・マホヴィコフ
オリガ・クラスノーヴァ…アンナ・タラトルキナ
オレーク・ブルィギン…セルゲイ・バタロフ
レオニート・ルィビコフ…ドミートリィ・ムリャル
ロシア大統領…ヴラジーミル・メニショフ

 モスフィルム制作?!とちょっとびっくりしたのだが、見れば納得の手堅いストーリィ展開。スホイSu-27フランカーが離陸するところを併走する僚機から撮ってる映像ってなんか感動した。でも、そればかりでなくツポレフTu-160ブラックジャック、Su-27、ロシア版AWACS・A-50が次々と発進、編隊を組んで飛んでいく迫力にやられた。

 どんな機体でも艦船でも、巡航ミサイルでさえ見えなくするシステム(ゴルゴン・システム)っていうとフィラデルフィア・エクスペリメントがすぐ思い浮かんでSFっぽいのだけれども、その点は小道具の一つに過ぎないので深く追求しないように(笑)。

 要はそういうなんだかすげー軍事技術を搭載したTu-160が米ロの合同軍事演習中にテロリストに乗っ取られる。ロシア軍、アメリカ軍、米ロ両国大統領はどうする? 主人公たちはテロリストの手に落ちるのか? それとも海の藻屑に?というサスペンス。

 だって、テロリストも非情だが、味方も非情だよ? OMONなんかテロリストの一味発見、即射殺だもの。逮捕して背後関係を追求するという選択肢はそもそもない。当然、ゴルゴン・システムがテロリストに奪われるくらいなら撃墜だ。緊急無線の電池は切れてるし(おいおい)、懐中電灯で交信しようとすれば、護衛のSu-27のパイロットはモールスを知らないときた。それにしても、Tu-160を操っている人工衛星を突き止めたんならそっちを宇宙のデブリにしてやれよ! キラー衛星持ってたろ! え、オトナの事情でできない? いいよオトナの事情なんか! どうせロシアとアメリカが仲良くできるなんて幻想なんだからよ~!!!

 さて、ここまで読んで、
「ブラックジャックとかフランカーって、NATOのコード名じゃねぇか」
とツッコミを入れたあなた! ゼヒ見てみてくださいよ。ロシア側のシーンで「チョールヌィ(黒い)・ジャック」とか「フランケル」って言ってるんだこれが。「チョールヌィ」じゃ爆撃機(bomber)のコードじゃなくなっちゃってるじゃん!とか地味にウケた。ロシアの軍用機を紹介しているサイトを見てもNATOのコード名は必ずと言ってもいいほど入っているから、本当にロシア軍で使っているかはともかくとして、ロシアの人もあれはカッコイイと思ってるんだろう。

 原題は「『07』、進路を変更す」。『07』は主人公たちが乗り組んでいるTu-160のコードである。

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2008年8月12日 (火)

どうも納得がいかない我が家の人気映画ランキング

1月1日~8月11日という半端な期間ですが、思い立ったのでページ別アクセス・ランキングをひとつ。カッコ内は訪問者数です。

第1位 ミラーウォーズ(221)
第2位 PROMISE 無極(178)
第3位 72M(170)
第4位 モンゴル(158)
 同  炎628(158)

おかしい。何で「ミラーウォーズ」のようなアホ映画が1位なんじゃ。
2位の「PROMISE 無極」はセシリア・チャンのスキャンダルがらみでどっと増えたので、わからなくもない。ウチなんかたいしたこと書いてないのに、香港映画ファンは「セシリア・チャン」という検索語でヒットするページをしらみつぶしにしかねない勢いだよ。
確かに「ミラーウォーズ」ではSu-35が格好良く撮れてるけど、それにしたって……。軍事マニアってストーリィ全く気にしないのかな???

3位はもっと意味がわからない。我らがタルグタイことアマドゥ・ママダコフがオープニングを飾るコメディでクスッと笑いーの、ほろりとしーので悪い映画ではないのだけれど、ロシアのコメディが一般ウケするとは到底思えない。……という私の考えが古いんだろうか。最近書いたんでランキング外になった「ウルフハウンド」なら、笑えるところが笑えるのはわかる。でも「72M」って……??? お笑いビンボー海軍の話だから、軍事マニアなら誰でも笑える話なのかな? それとも、これもロシアの潜水艦の内部がじっくり見られるので、その他のことは気にしないのかな。

Comeandsee4位炎628」は、根強い人気。何と言ってもトラウマ映画No.1ですからな~。

そのほか安定してアクセスがあるのは、「ベルリン陥落」「ブラックバード・フォース」「限界戦線」「ステイト・オブ・ウォー」「戦艦ポチョムキン クリティカルエディション」なんかかな。このあたりが上位に入るんなら納得できるんだけれども、やっぱり私の感覚は世間様とはズレているのか。

そういえば「楊貴妃」も多かった。歴史物なんでオカシイとは思わずスルーしそうになったけど、あれをジャンル分けすると歴史っていうよりえろだよな(笑)。

以上のアクセスランキングから読み取れることは、「お馬鹿とエロが世界を動かす」?!

……ぢつは、公開前にアクセス数が激増した「映画「MONGOL」のキャスティングについて」(714)、「今日封切り!(ロシアで)映画「MONGOL」」(248)等々の関連ページを含めれば、「モンゴル」が桁違いの1位なのだけれどね。しかし、1年前の記事でしかも公式サイト以上の情報はなにもないのにビックリ。

おまけ(その1):
Chastnaya_zhizn先日のКискаさんのコメントに出ていたミハイル・ウリヤノフ。









おまけ(その2):
Viyパンフレットだけ見るとまるで本格ホラーのようだな(笑)。

「ヴィイ」はオレーク・ステプチェンコ監督(「シティ・コネクション」の監督)がリメイクしていてロシアでは2009年に公開されるそうな。日本ではどうなんだろ。「妖婆 死棺の呪い」自体はカルト・ムービーとして根強い人気があるから、単館系でもやればいいのにな~。

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2008年8月 5日 (火)

映画「祖国のために」

1975年ソ連
監督:セルゲイ・ボンダルチュク
キャスト:
ピョートル・ロパーヒン…ワシーリィ・シュクシン
ニコライ・ストレリツォフ…ヴャチェスラフ・チーホノフ
イヴァン・ズヴャギンツェフ…セルゲイ・ボンダルチュク

 原題をそのまま訳すと「彼らは祖国のために戦った」でミハイル・ショーロホフの小説をセルゲイ・ボンダルチュクが映画化したもの。DVDの「バトル・フォー・スターリングラード」と全く同じですな。画質とか色もそのままで直してない。でも、大きな画面で見ると、戦闘シーンの迫力は期待通り。1942年7月の話なんで、ソ連側からしたら連戦連敗なのにようやるよってくらい。DVDの題名がどうもドイツ視点くさい気がするのもそのせいか(笑)。

 神保町シアターでやってたので見てきたのだが、前の方に座った方が良かったかな、迫力的には。特に爆撃のシーンは視界が全部スクリーンで埋まるくらいの場所で見ると泣くわ、いやホント。恐いもん、いろいろと(笑)。
 でも、全体を視界に入れてじっくり見たので発見もあった。DVDで見て気がつかなかったけれど、河に沿って退却しているシーンの背景がいい。スターリングラードに向かってるってもろにサライの周辺地域じゃん。兵隊がゾロゾロ乾いた草原を歩いていく光景や、板状の小石だらけの丘を掘って塹壕を掘るシーンはなかなかぐっとくる。なるほど、ああいうところに黄金のオルドの総帥は首都を築こうとしたのね~。崖の穴になにかの鳥(イワツバメ?)が巣をつくってヒナがチーチー鳴いているのを聞いてオルドゥ・バリクの城壁の遺跡でも鳥のヒナが鳴いていたのを思い出した。やっぱりあのへん、環境は似てるんだよね。

 そういえば思い出した。
「アレクサンドル・マケドンスキー(アレクサンドロス大王)のくせに負けて来やがった」
ってからかわれるシーンがあったが確かDVD版では字幕がこれと違ってたような気がする。……だってそのダジャレ、日本人にしかわからないから。「マケドンスキー」とやった瞬間にいやな予感はしていたのだが、予想どおりの展開に、正直、背筋が凍った(あまりのオヤジギャグぶりに)。

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