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2008年9月28日 (日)

映画「レッド・ガントレット」

Antikillerレッド・ガントレット

2002年ロシア
監督:イェゴール・ミハルコフ=コンチャロフスキー

キャストとストーリィは前回書いた所を。


 大安売りしてたのがロシア語版だったのですかさず買いで(笑)。
 ロシア語で見ると、やっぱロシアくさいもんだ。ロシアのアクションものに慣れたってものあるけど、身振りやらやっぱロシア人ロシア人してる。
 冒頭、マフィアのお偉方が箸で日本料理を食ってる場面がおっそろしくガラが悪い……っていうか、お行儀悪く見えるんだけど(笑←畳の上にイスを置いて足組んで肩怒らせて窮屈そうに座ってる。もちろん畳の上に土足で)、これってロシア人にどう見えるのかな。堅気の人でもああだよなって気がしないでもないが……(笑)。
 それに、
「ハッパはヤクのうちじゃねぇ」
なんて話は、なにやら最近のとあるスポーツ業界での出来事が思い浮かんで苦笑いしないではいられなかった。

 ああいうコワモテの人たちが他人を威嚇する仕草って、もちろん全人類共通の所もあるけど、民族性が出るもんなんだね。名前の付け方も非常にプリミティヴで、
「いつもオルドにいるからオルダちゃんね」
くらいのノリで名前付けてるモンゴルって暴ry……いやなんでもありません。

 マフィア同士の抗争のもつれ具合は、ロシアの俳優知ってる人にはこりゃうけるわ。日本の任侠ものだって日本の俳優が演じてれば、結構ついて行けるもんね。ロシアの俳優が日本でもっとメジャーだったら、もっとヒットしたに違いない内容なのになぁ……。せめて香港映画程度にロシアの俳優にもファンがいれば……。なんて言うと、香港映画ファンは香港映画ファンで日本の配給会社やらに不満持っていそうだけど(笑)。
 ここは、「ウルフハウンド」やらキャラの見分けのつきやすいファンタジー映画勢に頑張ってもらって、まずはロシアの美形から日本でメジャーになっていただかないといけませんな(笑)。

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2008年9月26日 (金)

映画「善き人のためのソナタ」

Leben善き人のためのソナタ

2006年ドイツ
監督:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
キャスト:
ゲルト・ヴィースラー…ウルリッヒ・ミューエ
ゲオルク・ドライマン…セバスチャン・コッホ
クリスタ=マリア・ズィーラント…マルティナ・ゲデック
アントン・グルビッツ…ウルリッヒ・トゥクール
ヘムプフ大臣…トーマス・ティーメ

 そんな質問をしても答えられないでしょ、というような質問を共産圏の人にしている人たちをいまでも結構見かけることがある。そういうとき、『ショスタコーヴィチの証言』の次のようなセリフを思い出す。

 うるさくつきまとう厚かましい人間というものは、ふと思い浮かんだことを口にし、手当たり次第に質問することができる。(中略)このような厚かましい人々はみな、わたしが「勇気をもって」愚劣な質問に答えることを望むものだ。(中略)だが、なぜわたしは自分の生活を危険にさらさなければならないのか。それも、わたしのことなんかなんとも思っていない人間の他愛ない好奇心を満足させるために。
(ソロモン・ヴォルコフ編/水野忠夫訳『ショスタコーヴィチの証言 (中公文庫)』pp.343-344)
 一般的に、『ショスタコーヴィチの証言』は偽書か、そうでないまでも真偽の定かでない業界裏話の集大成ではないかといわれている。狭い業界(例えば某スポーツ界とか某学会とか何でもいいが)ではこういう都市伝説に一歩踏み込んでるような噂、よくあるよね。
「だれだれはどこそこの講演会でこんなトンデモネー話をブチ上げた」
とか、
「誰々はどれそれの宴会の時これこれの武勇伝を残した」
とか、本当なんだか嘘なんだか、あるいは尾ヒレが付いてるだけなのかよくわからない話が。この類の話を得意げに語る自称「事情通」が身近に一人や二人はいると思う。

 でも、まー、たとえ都市伝説まがいの話だとしても、いやむしろ都市伝説的であればあるほどそういう社会に暮らしていた人の気分をよく表しているような気がする。

 自分は生命の危険のない安全な場所(日本とか西側とか)にいて、そういう国の人にその手の質問(例えば「東トルキスタンの問題をどう思う?」とか)をして、その国の公式見解どおりの答えを聞いたとして、反××教育のせいで正しい見方ができないのだとか洗脳されてるとかよく言えたもんだ。ネット等々で無神経にそれをバラしてしまうかもしれない無邪気な日本人に本音が言えるかよ。その結果、自分ばかりでなく身近な人が生きたまま血管に薬液を流し込まれて「人体のふしぎ展」かなんかに展示されるようなことになっても、そいつは責任も取らないし心に痛みを感じることもないんだろ?

Semenovs_footnotes

 1984年東ドイツ。
 ヴィースラーはシュタージ(国家保安省、いわゆる秘密警察)の学校で新人に尋問方法を教える教官を務めるほどの真面目一徹な職員。

 古い友人のグルビッツがヘムプフ大臣に劇作家のドライマンを盗聴するよう依頼されたのだが、その作戦をヴィースラーが受け持つことになった。
 盗聴器をしかけるあまりの大ごと具合に、ドライマンはいったい何をやらかしたのか、と思うけれども、その原因はあまりにも馬鹿げているのがだんだんわかってくる。要するに、ドライマンの恋人で国民的大女優のクリスタ=マリアはヘムプフの愛人だったのだ。自分の思いとおりにならなくなってきたオモチャにお仕置きしてやるとでもいうような極めて私的な用件でシュタージを使おうとしていたらしい。
 それに加えて盗聴を続けるうちに、最初はのぞき趣味的だったのが、だんだん良質の恋愛小説を読んで登場人物に感情移入していくかのようにドライマンやクリスタ=マリアに共感するようになっていた。

 そんな矢先、ドライマンが才能があると信頼する演出家イェルスカが首を吊って自殺した。

 ドライマンは、この直前に開かれた誕生パーティーにやって来たイェルスカが、誕生日のプレゼントだといって冊子をくれたのを思い出した。
 それは本ではなく「善き人のためのソナタ」というピアノ曲のスコアだった。
 イェルスカの死に言葉もないドライマンは、まだ積まれたままのプレゼントの山の中からスコアを引っ張り出してその曲を弾き始める……。

 音楽は、ある時突然はまる事がある。
 美しいメロディーや心地よいリズムだなぁと漠然と雰囲気だけで理解していた曲が、あるきっかけで突然、もっと具体的なことがらを表しているのだとわかることがある。ジグソーパズルの最後のピースが「はまって」全体の画が突然なんの画だったかはっきりするような感覚。

 ドライマンについて調べ上げ、盗聴で彼の私生活までよく知っていたヴィースラーは、その曲を聴いた瞬間、それが何を意味するのか理解してしまった。
 それは絶望?
 ドライマンへの別れの挨拶?

 ドライマンはクリスタ=マリアに語る。
「レーニンはベートーヴェンの熱情ソナタをこんなものを聞いたら革命が成就できなくなるって批判したんだってさ。『これを本気で聴いてしまった者は、悪人になれなくなってしまう』って言って」
音楽ってそういう力があるよね、と。

 今までドライマンは反体制活動とは無縁だったのだが、イェルスカの自殺をきっかけに東ドイツの芸術家が相次いで自殺せざるを得ないような状況を西側に知らせようと決意する。
 一方、クリスタ=マリアにますます邪険にされて腹の虫の治まらないヘムプフは、彼女を薬物依存を理由に逮捕し、舞台から追放するようにゲルビッツに命じた……。

Semenovs_footnotes

 本音の話をする時に大音量でレコードをかけたり、シャワーを出しっぱなしにしたりするのはあのテの国では常識。在モスクワのアメリカ大使館に盗聴器がしかけられていたのは有名な話だが、それほど大物でなくても日常の会話が盗み聞かれている事は常に意識していなければならなかった。「善き人のためのソナタ」では、その張り巡らされた監視網の恐ろしさが取り上げられていて、冒頭に「10万人の協力者と20万人の密告者」がいたという字幕ではじまるくらいだが、そんなものはたいした数ではないような気がする。
 本当に恐ろしいのは、国民総密告者というか、井戸端会議で陰口をたたくくらいのお気軽さで当局(ここではシュタージ)に密告しちゃう状況なのだろうが、ここではそこまでのきついモラルハザード状態は描かれていない。出てくる人は皆、善い人である。だからこそ、ちょっとは救われるラストになっているのかもしれないけど。お偉いさんが権力を私したり、才能のある人を気まぐれで破滅させるようなことはあのテの国の専売特許でもないからねぇ。ただ、雇用主が国家の一つだけしかない国と捨てる神あれば拾う神ありの国だと大違いだけど。

クラシック音楽が印象的に使われている映画:
「炎628」
モーツアルト「レクイエム~ラクリモサ(涙の日)」
この曲が未完成だってのがまた意味深長。

「夜よ、こんにちは」
シューベルト「楽興の時 第3番」
この曲をバックにモロが歩き出すシーンでは、松尾芭蕉の「旅に病んで夢は枯れ野をかけめぐる」なんて句が思い浮かんだ。

「戦艦ポチョムキン1976年完全版」
ショスタコーヴィチ「交響曲11番1905年 第2楽章1月9日」
有名な階段のシーン。つーか、ショスタコーヴィチのほとんどの交響曲から引用されてたような。

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2008年9月 8日 (月)

映画「バトル・シューター」

バトル・シューター

1995年イラン
監督:ラスール・モラゴリプール
キャスト:
ワヒド…マスード・カラマティ
アリ…ファラッド・アスラニ

 この映画の公開時(1995年)にはイラン・イラク戦争(1980~1988年)が終結して10年も経っていないのに、若い世代にとって、それは既に遠い歴史上の出来事になり果ててしまっているのか。

 映画監督のワヒドは、イラン・イラク戦争の「英雄」ベールズの映画を撮っている。その音楽をアリに頼んだのだけれど、アリの書いた壮大な音楽がどうもそぐわないと感じる。
「シンプルなメロディをって頼んだのに……」
それはたぶん、ベールズはあの戦争の「英雄」なんて持ち上げられていて、若いアリはそれをストレートに受け取っているけれど、本当の前線を知っているらしい(映画の中でははっきりとは語られていない)ワヒドにとって、戦争の「英雄」ってそんなもんじゃない、自分の撮りたいベールズは偶像じゃなくて自分の知ってるベールズなんだ、という思いがあるから。
 そんな折、一通の手紙が届く。差出人はベールズだった。死者からの手紙だ……。

 心に引っかかるものがありながら、ワヒドはアリと共にロケ地に向かった。
 そこはかつての激戦地に再現したセットだった。エキストラは集まらないわ、爆発事故は起こすわで、撮影の先行きは暗い。なんだかなぁ、と思いながら長々と掘られた塹壕を歩いていくうちに、ワヒドは信じがたいものを目にする。

 ベールズであった。
Semenovs_footnotes
 結界を踏み越えるようなシーンはあるにはあるが、事象だけを淡々と描いて特に時空を越える原因とか原理を説明していないけれども、日本だったら霊能者が、
「霊が自分の死んだときはこうだったんだよ~って見せているんですね」
とか言い出しそうな話だ。アリが持ち込んだケイタイが現代(1990年代)に繋がって10年前に戦死した父が成人した娘と話しているし、なんだかイラン人のあの世観って、日本人に近いのかなぁ。

 そもそもゾロアスター教では大みそかに精霊フラワシになった先祖が子孫の様子を見に飛んでくる、という新年の一連の行事(ゾロアスター教の元旦は夏至)が日本に伝わって盂蘭盆会になったという説もあるくらいだから、ひょっとしたらそうなのかも。

 そんなオカルちっくな話なのに、塹壕が薬莢やら不発弾やら包帯?やら散乱し、壊れた車両がそこここに転がっていて粗大ゴミ捨て場みたいになっている様子がやけにリアルだなぁ。死体もゴミのように散らばってんの。イラン側は戦車も大砲ももう破壊し尽くされていて、ゴミのように転がったイラン兵のうち、息のある者をイラク兵が確かめつつ射殺して行っているのが見える。そしてイラク軍の戦車が……ってかなり後がない状況。

 また、登場人物の一人が
「トルコ語はやめろ。ペルシャ語で話せ!」
なんてたしなめられていてちょっと気になった。アゼルバイジャン人ですかね。アゼルバイジャンもなにげに分断国家だよな。モンゴル同様。イランでも彼ら少数民族の権利は制限されてたような気がするんだが、戦争となれば兵役はきっちり課されたんだな。いろいろと生々しい話だ。
 Safar be Chazabehが原題?これってペルシャ語? エンドクレジットが読めない文字で書いてあるって困るな~。
Semenovs_footnotes
 懐かしい人たちの死を見届け、どうにかこうにかして帰った現代には雪が降っていた。かつての激戦地だった荒野を白く雪が覆う。

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2008年9月 4日 (木)

映画「ミッション・イン・モスクワ」

ミッション・イン・モスクワ

2006年ロシア
監督:ヴァジム・シメリョフ
キャスト:
マックス…アンドレイ・メルズリキン
ボス…マクシム・スハノフ
クロルト…レオニート・ヤルモリニク
アンナ…オクサーナ・アキニシナ
マーチン…オレーク・シテファンコ
グリーシン…アンドレイ・イリイン
オリガ…アナスタシヤ・マケーヴァ

 わー、これきっとロシアのアイドル映画だ。ハリウッド映画のなんだか格好いいシーンを持ってきて「スタイリッシュな」映画作った、みたいな。スローモーションや早送りを使いすぎているので、私はアクションとは認めない(笑)。でもファンは喜ぶだろうな。だってグラビア誌のようにポーズとか画的に格好いいもんね。

 主人公の男は美形というよりは悪ガキって感じで元気いっぱいに走り回り、殴り合う。それよりもアンナ役の人がすごくかわいい。だってさ、「ウルフハウンド」のエレン姫なんだけどさ、「ウルフハウンド」で一番印象に残ってるシーンっていったら、この人の脱いだシーンだよ。あんなきゅっと上がったすごいおしり、正直、見たことない。一瞬我が目を疑った、あの時は(笑…でもホントだよ!)。足の筋肉が発達してるからなんだろうか。この映画じゃ脱いでないけど、かわいいですわな。

登場人物を紹介すると……
ボス:顔に大きな傷があって絶えず目をパチパチしている……ってビートたけしがモデル?(笑)頭は剃ってるんであってハゲじゃない。
マックス:主人公。スペツナズ崩れで命令より先に勝手に単独行動してしまうタイプ。腕っ節は強い。
クロルト:爆発物の専門家。以前、爆弾の処理に失敗して失明している。匂いかなんかかも知れないが、爆弾のありかをかぎつける一種の超能力を持っている。
アンナ:ハッカー。黒いジャーマンシェパードを飼っている。アメリカ国防総省のコンピュータを麻痺させ、国際手配になったことがあるとか何とか。
オリガ:ナイスバディーの心理学者。ボスの元妻。こんな美人、警察におるもんかな???
グリーシン:この案件を彼らから引き継ぐエリート。テロリストの思うつぼの人。

……とくればストーリィがだいたい想像できますよね? ええ、その通りなんです(笑)。

 まぁ、いいじゃないですか。ケイタイポチャンのシーンなんて思わず笑っちゃうし、マックスもたまには良いこと言うし、SIMカードの話なんかロシアらしいわ~とか、肩の力を抜いて楽しんで見た中にも発見ありで。
 べ、別にアキニシナがかわいいから全部許した訳じゃないんだからね!

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