映画「ロシアン・ブラザー」
1997年ロシア
監督: アレクセイ・バラバノフ
キャスト:
ダニーラ…セルゲイ・S・ボドロフ
ダニーラの兄…ヴィクトル・スホルコフ
スヴェータ…スヴェトラーナ・ピシミチェンコ
ケット…マリヤ・ジューコヴァ
ドイツ人…ユーリィ・クズネツォフ
普段ほにょほにょ~としてて癒し系の弟(ダニーラ)が実はものすごく強くて、懸命に自分を大きく見せようとでかい事ばっかり言ってる兄がいざって時には役立たずって、こういう兄弟いるいる。でも普通の生活では、本当の強さを発揮する機会ってないだろうから、要領の良い兄の方が世間的に評価されがち。映画の中でも、母親は兄を褒めちぎってる。
秋の長雨で湿っぽいサンクトペテルブルク…。でも手袋してコート着てスイカ食ってたりよくわからない季節感だな。陰気な街の雰囲気がまたいい。自分が住みたいとは思わないが(ピーテルファンごめんなさい)。
兄はサンクトペテルブルクで成功を収めているといわれてやってきたものの、端からダニーラに自分が請け負ったマフィアの大物殺しを押しつけたりして、どうもハッタリっぽいのだ。うーん、大丈夫かなダニーラ…とハラハラしたけど、心配は無用だった。スゲー格好いい。
これ、出てくる人皆憎めない感じでかわいいな。用心棒のくせにダニーラにぶっとばされて、犬みたいにピスピス鼻を鳴らしている警備員の兄ちゃんさえかわいい。見た目はコワモテだけど。
それでダニーラもかわいいんだけど、ちゃんと筋を通す男だ。弱きを助け強きをくじく正統派ヒーローっぽくもあるが、自分なりの正義とやらをはっきり持ってるわけでもなし、自分が何をやって良いのかよくわかってないようだ。親しくなった通称「ドイツ人」に
「人はなんのために生きるのか?」
なんて聞いてるし。
そんなんで、普通の人たちの世界をいいなぁって感じで見ているけれども、自分もそこに入っていこうとあがいたりしないし、ましてやねたんだりしない。素直な善いヤツなんだろうけど、善人というには暴力的だし、やり方が洗練されてるのはあれか、軍隊で鍛えられちゃったのか。本人は司令部で事務官してたって言ってるからはっきりとはわからないけど。そもそも軍隊で得た技術・知識なんか、普通に生活していく上で役に立たないんじゃないか。一番仕事を覚えられる若い時期に何年も徴兵って、職業軍人でやっていく人以外には害でしかないような気がするんだが…。
そうそう、本筋に関係あるのかないのか、ドイツ人の言う「ロシアの善はドイツの死」なんて諺?は笑った。戦争がなければ、ロシア人ってドイツ人割と好きじゃないかと思うんだが。好きっていうか、あこがれっていうか、勝手にライバル視して張り合ってるっていうかそんな感じの好き。ツンデレってやつですかね。
セルゲイ・ボドロフ(息子の方)主演の映画→「ベアーズ・キス」
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