映画「怒りの戦場 CODE:PIRANHA」
2006年ロシア
監督:アンドレイ・カヴン
キャスト:
マズール…ヴラジーミル・マシコフ
オリガ…スヴェトラーナ・アントノヴァ
プローホル…イェヴゲーニー・ミロノフ
シニリガ…ヴィクトリヤ・イサコヴァ
おお、これぞロシアじゃ、冒頭からロシア全開!
原題「ピラニア狩り」。狩ってるつもりの側が次々と喰われちゃうんですね! ククク。
プロローグで起こる1974年の秘密施設での事故の尻ぬぐいをソ連崩壊後の今になってやらなければならなくなった。と、いうのも、国境の変更でこの周辺が中国領になることになったからだ。その任務に抜擢されたのがキリル・マズール海軍大佐。もう20年も特殊部隊で働き、今は教官をしている。
施設の処理をするのために彼の上司として一緒に行くことになった化学生物学者のオリガ・フメリニツカヤは結構ドジっ娘で、いきなりシャツのボタンをはめ忘れて登場。胸の谷間どころかブラジャーが丸見えである。
こういう始まり方だし、敵のボス(プローホル)がボレロに合わせてフェンシングをしてたり、彼の女が雌豹のような凶暴な美女だったり、よくあるストーリィかと思えば、そこはロシア。良い意味で期待を裏切ってはちゃはちゃになっていく(笑)。
そもそも始めっから、ああいう生物化学兵器を扱ってるヤバイ極秘施設に研究者の息子とはいえ子供が易々入って行けるわけないだろ、と突っ込むなかれ。ロシアだと充分ありそうなので困る。そのせいで事故が起り、しかも全てのタンパク質を分解するような危険な生物化学兵器が漏れたとわかっているのに、その危険を一番わかっているはずの女性研究者が、中の仲間を放っておけずに隔離壁を開けてしまうのもロシア的だなぁ、と思う。
さて、無事に施設を爆破してマズールが気がつくと、変な連中につかまって馬に積まれて妙な村に連れて行かれてしまった。そこは服装から生活のありようから全てが奇妙で、
「指三本で十字を切るようになっちゃあ、ロシアもおしまいだ!」
なんて言ってるヤツもいる。ラスコーリニキ(分離派、古儀式派)かよ。爆破の衝撃でタイムスリップ? はたまた革命前から人里離れて暮らしてきた隠れ里みたいな所? などと妄想しているうちに、ゲームが始まる。マズールら捕虜をわざと逃がして狩って遊ぼうというのだ。
敵のボス・プローホルが日本の漫画やアニメに出てくる敵役のロシア人そのもので見ていて微笑ましい気持ちになった。プラチナブロンドで筋肉隆々でクラシック音楽を聴きながら無感情に人を殺す。キザですね(笑)。
プローホルは40歳くらいのはずなんだが、日本刀を振り回すアニメっぽい絵柄のゲームやってるのはロシア人が見て普通なのかな? まぁ、ゲームはやめろと言われてるけど。
黒すぎるブラックジョークとか、口琴をしている隣でチェブラーシカの歌を口ずさんでいたりとか、怪獣のようなおばさん(←強い)が出てきたりとか、ごたまぜ感がロシアロシアしててよかった。正直、「指を三本…」の辺りでいったいどうなってしまうのかと呆然としたが、結局はテーマの中に収まってるのな。何かその辺りもロシアだなー、と。
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