ドキュメンタリー『チンギス・ハーンの源流 中国・内モンゴルを訪ねて』
監修:中国・内モンゴル自治区博物館
語り:緒川たまき
江戸東京博物館で開催されている『チンギス・ハーンとモンゴルの至宝展』と連動しているために歴史についても結構ふれられているが、全体的には内モンゴルの観光誘致番組っぽい内容。今の内モンゴルがチンギス・ハーンだらけな様子がわかっておもしろい。
風景面は少し物足りないような気もするが、もさもさなモンゴル馬が駆け回ってるのはかわいい。馬、ホントかわいいなぁ。あのもさもさしたかわいいヤツが世界を席巻する原動力になったなんて。
オルドスのチンギス・ハーン陵については、簡単にしか説明されていないから、観光目的の似非施設のように見えてしまうが、あれは本物の八白宮を収めた郭蘊成設計のものだろう。ちゃんとダルハトが守ってるってとこに感動した。モンゴルの様式と漢民族の様式(実は清の様式)の融合っていうチンギス・ハーン陵のモチーフは、「形式において民族的、内容において社会主義的」というような社会主義リアリズムの標語がちらとよぎってあまり良い気分はしないけれども、どういう形であれ伝統が受け継がれていくのはいいことだ。文化大革命の時のように失われてしまうよりは。
ダルハトの一人が自分はボーアルフーの子孫って言ってたから本物だ。ボーアルフーって誰?って一瞬思ったけど、ボオルチュだよな。中国のモンゴルものを見るとき、モンゴルの歴史上の人物の名前が漢字表記の漢字音をカタカナ書きをしているだけで、あんまりモンゴルの達人でない者(私です)には、ぴんと来ないことが多くて困る。これはまぁ、それほど難解なのはなくてだいたいわかって助かった。まぁ、最近は内モンゴルや中国の研究者も国際的になってきているから、日本での呼び方も使いこなせるんだろう。
一応、突厥も出てる。けど、内モンゴル宣伝番組のせいか、突厥の領域として示されていたのは東(北)突厥。西も入れて東ローマまで届く地図にして欲しいと思った。
余談だけれども、突厥の時代には唐という影響力のある国があったので、「あれ? これ正倉院の……」と日本人にもぴんと来る具体的な遺物があるのが突厥なのだよ。ぬふっ。
参考文献:
楊海英著『チンギス・ハーン祭祀―試みとしての歴史人類学的再構成』
八白宮にはチンギスの遺物といわれる物が大切に保存されていたが、どうして「八」白宮なのか、ダルハトとはどういう人なのか。歴史の切れた鎖を探っていくような話でおもしろい。役人の書いた「正史」と民衆の認識する歴史の違い、とか混ざり具合とか考えさせられる。
包慕萍著『モンゴルにおける都市建築史研究―遊牧と定住の重層都市フフホト』
フフホトを中心に発展する今の内モンゴルというくくりだと、やっぱりチンギス時代のモンゴルより、アルタン・ハーンから考えるとわかりやすいような気がする。
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