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2010年3月 9日 (火)

映画「ナイトウルフ」

ナイト・ウルフ 武装襲撃 [DVD]

2008年ノルウェイ
監督:クジエル・サンドバル
キャスト:
クリスティン…アンネケ・フォン・デル・リッペ
ラムザン…デヤン・クキック
アスラン…ラマザン・フセイニ
トーマス…クリスティアン・スコルメン

 そこに真実はない。
 外部の者からは容易に解き明かせない錯綜した事実があるだけ。

 チェチェン問題についての番組放映中に出演者がいきなり番組をジャック。放送は中断される。しかし、主犯のラムザンが出演してたチェチェン支援団体の男性を射殺して放送の再開を要求。立てこもりの詳細が全世界に配信される。番組に出演していたノルウェイの外相を含め人質は14人。
 テレビ局内のことなので犯人の様子も丸見え、犯人の素性もすぐに知れる(ノルウェイの警察が知っている範囲ではあるが)。ラムザンにはそれもすべて計算済みの様子。
 ラムザンはカメラに向かって
「チェチェンに自由を!」
と叫び、逃亡用の飛行機と金を要求するが、それが本当の目的なのかどうかはよくわからない。番組の司会者で制作にも関わったクリスティンに情報を提供していた「ウルフ」の異名を持つチェチェン人アスランとラムザンとの間に色々と込み入った因縁がありそうだ。

 一方、駐オスロのロシア大使館でもヴォローニン大使が本国のナゾの動きに苛立っていた……。

 前振りがないスピーディーな展開で、交渉人が作戦の蚊帳の外のようだったり、ノルウェイ政府も手を出しかねている様子が非常にリアル。この手のハリウッド映画にありがちなスーパーマンもいない。
 日本でテレビ局が占拠されたり、携帯動画でリアルタイムに現場の様子が放送されたりする事件があってもおかしくはないと思うのだが、日本を舞台にしたこの種の映画ってないよなぁ? 当のロシアを含めて他の国ではこういう劇場型の人質事件をモチーフにした映画・ドラマは多いというのに。日本でチェチェンといってもピンとこないからなのかなぁ? まぁ、日本のテレビに出て英語でべらべらしゃべられても、見てる方はぽかーんとしてしまうだけかもしれないけど。

 ノルウェイ政府の人命優先で強硬手段を取りにくい様子が日本っぽくて、人質になっている外相がなんだか岡田に見えてきた。

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2010年3月 7日 (日)

映画「暴走特急 シベリアン・エクスプレス」

暴走特急 シベリアン・エクスプレス [DVD]

2008年スペイン/ドイツ/UK/リトアニア
監督:ブラッド・アンダーソン
キャスト:
ジェシー…エミリー・モティマー
ロイ…ウディ・ハレルソン
カルロス…エドゥアルド・ノリエガ
グリンコ…ベン・キングズレー
コルザク…トーマス・クレッチマン

 ロシア極東ウラジオストクで「ネズミ」、つまりヤクの売人が頭にナイフの刺さった死体で発見された。麻薬捜査官のグリンコは、これはタジク人のルクシャンの組織のものだと見当をつける。そこに麻薬はなく、持ち去られたものらしかった。

 一方、鉄道マニアの夫ロイとカメラ好きの妻ジェシーは、北京から列車に乗りモスクワに向かった。ゲージの違う中ロ国境での時間のかかる台車の付け替え作業もロイには楽しい(後の方でディーゼル機関車を運転する羽目になってびびるどころか大喜び!みたいな場面も出てくる)。
 ジェシーの方は、同室になったスペイン人カルロスと連れのアビーが気になっている。恋人同士なのだろうが、カルロスは盛んにジェシーにも色目を使ってくる。そのほかにもカルロスは土産にしては多すぎるマトリョーシカを持ち歩いていたり、いかにも怪しげである。
 国際列車は麻薬の運び屋もよく利用するとかいうことで、犬を使った麻薬探しも行われている。トイレが壊れていると訴えても
「私は忙しいの!」←化粧してたくせに
とすごい剣幕で怒り出す車掌や、酒飲みな客と飲み明かしたりして、ロシアならではの旅情を味わう二人。

 そしてイルクーツクで事件は起こる。
 ロイは古い蒸気機関車がごろごろしているのに熱中しすぎて、列車に乗り遅れてしまうのだ。
 ……しかし、それはただ乗り遅れただけなのだろうか?

Semenovs_footnotes

 タジクでルクシャンって……それはルクスと同一語源で安禄山の「禄山」と同じ意味のアレですかー? 物語の中で何度も形を変えて光と影を対比する言葉や格言の類がたくさん出てくる。例えば、ロイにソ連は闇の帝国だったのだろうと言われたグリンコが、
「闇の中で生きるのと、光の中で死ぬのとどちらが良いか?」
と反問する場面がある。これもそれらの一つなのかもしれない。

 とにかく、これ、旅行をしていたらものすごくありそうな話でとても恐い。親しくなった人に頼まれた荷物に麻薬が仕込まれてたとか実際にあるらしいし。金のために気軽に運び屋やる人もいるって言うけど。
 ふとしたことで人を殺してしまったジェシーの、嘘をつくことによってだんだん追いつめられていく表情が真に迫っている。あんな顔してたら刑事にはバレバレだと思うんだが、それでもしぶとく切り抜けて(切り抜けてないかもしれないが)、ラストはやっぱり女は強いわ、恐いくらい……に、と妙に納得した。


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2010年3月 5日 (金)

映画「S.A.D. 米国特殊部隊」

S.A.D 米国特殊部隊

2009年アメリカ
監督:ゲーリー・ジョーンズ
キャスト:
ダミアン…ポール・ローガン
アレクサ…C.B. スペンサー
ライリー…マーティン・コーヴ
ドラゴミール…アンドリュー・ディヴォフ
マッカーサー…ロベルト・ダヴィ

 1980年代にKGBが編み出したという実践的格闘技バリスティカ。それは、登場人物の一人、アレクサの言葉によれば「銃を持ってカンフーをやる感じ?」。映像ではまさにその通り。アメリカに亡命したKGB要員によってCIAに伝えられたバリスティカを継承するダミアンによれば、「一生かけて磨く技」。

 ダミアン役のポール・ローガンは、見せ場のはずのバリスティカを使う場面ではその体格と動きを生かし切っていない印象を受けた。自宅で修行している所ではアリか?と思ったんだがなぁ。VFXを駆使してアクションを派手に見せようとしているのが仇になったか。いくら何でも飛んでくる弾をよけたり、放った弾が銃にすぽっとはまるっていうのは興ざめかな。手で装填しろよ。
 むしろ、中国のダムに潜入したときの中国人警備員の方がリアルに強そうだった。

 ストーリィは驚異的新兵器マイクロパルス爆弾を手に入れたテロ組織「真実の手」を追って、CIAの特殊部隊S.A.D.のエージェント・ダミアンがロシアに中国に飛び回り、プーチンの熱烈な支持者にして「真実の手」の首謀者であるドラゴミール(もとKGBで当然バリスティカの使い手)と対決する、というもの。しかし、本当の敵はCIA内におり、マイクロパルス爆弾はアメリカ国内に持ち込まれている。国内の案件にはCIAは関われないことになっているので、ダミアンや彼のボスのライリーは担当を外され…というしごくオーソドックスなもの。そもそも、トレーラーがものすごいネタバレだ。ヤレヤレ、後に見て良かった。

 もっとも、見所はバリスティカだから、ネタバレしても大きな問題ではないともいえる。そういうものが実在するのかどうか知らずに感想を言ってしまうのもどうかと思うが、銃を寝かせて持つというのはロシアっぽい。でも、物語上の格闘技かもしれんなー。ロシア語のバリスチカは英語のballisticの意味だし、何しろ二丁拳銃っていうのが引っかかる。どうしても「男たちの挽歌」シリーズのチョウ・ユンファを思い出す。動きがなーんか曲芸っぽいんだよなぁ。これに比べたら「特殊部隊S.V.R.」のトラベラーの方がリアリティがあるってどうよ?

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