映画「暴走特急 シベリアン・エクスプレス」
2008年スペイン/ドイツ/UK/リトアニア
監督:ブラッド・アンダーソン
キャスト:
ジェシー…エミリー・モティマー
ロイ…ウディ・ハレルソン
カルロス…エドゥアルド・ノリエガ
グリンコ…ベン・キングズレー
コルザク…トーマス・クレッチマン
ロシア極東ウラジオストクで「ネズミ」、つまりヤクの売人が頭にナイフの刺さった死体で発見された。麻薬捜査官のグリンコは、これはタジク人のルクシャンの組織のものだと見当をつける。そこに麻薬はなく、持ち去られたものらしかった。
一方、鉄道マニアの夫ロイとカメラ好きの妻ジェシーは、北京から列車に乗りモスクワに向かった。ゲージの違う中ロ国境での時間のかかる台車の付け替え作業もロイには楽しい(後の方でディーゼル機関車を運転する羽目になってびびるどころか大喜び!みたいな場面も出てくる)。
ジェシーの方は、同室になったスペイン人カルロスと連れのアビーが気になっている。恋人同士なのだろうが、カルロスは盛んにジェシーにも色目を使ってくる。そのほかにもカルロスは土産にしては多すぎるマトリョーシカを持ち歩いていたり、いかにも怪しげである。
国際列車は麻薬の運び屋もよく利用するとかいうことで、犬を使った麻薬探しも行われている。トイレが壊れていると訴えても
「私は忙しいの!」←化粧してたくせに
とすごい剣幕で怒り出す車掌や、酒飲みな客と飲み明かしたりして、ロシアならではの旅情を味わう二人。
そしてイルクーツクで事件は起こる。
ロイは古い蒸気機関車がごろごろしているのに熱中しすぎて、列車に乗り遅れてしまうのだ。
……しかし、それはただ乗り遅れただけなのだろうか?
タジクでルクシャンって……それはルクスと同一語源で安禄山の「禄山」と同じ意味のアレですかー? 物語の中で何度も形を変えて光と影を対比する言葉や格言の類がたくさん出てくる。例えば、ロイにソ連は闇の帝国だったのだろうと言われたグリンコが、
「闇の中で生きるのと、光の中で死ぬのとどちらが良いか?」
と反問する場面がある。これもそれらの一つなのかもしれない。
とにかく、これ、旅行をしていたらものすごくありそうな話でとても恐い。親しくなった人に頼まれた荷物に麻薬が仕込まれてたとか実際にあるらしいし。金のために気軽に運び屋やる人もいるって言うけど。
ふとしたことで人を殺してしまったジェシーの、嘘をつくことによってだんだん追いつめられていく表情が真に迫っている。あんな顔してたら刑事にはバレバレだと思うんだが、それでもしぶとく切り抜けて(切り抜けてないかもしれないが)、ラストはやっぱり女は強いわ、恐いくらい……に、と妙に納得した。
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