映画「ナイトウルフ」
2008年ノルウェイ
監督:クジエル・サンドバル
キャスト:
クリスティン…アンネケ・フォン・デル・リッペ
ラムザン…デヤン・クキック
アスラン…ラマザン・フセイニ
トーマス…クリスティアン・スコルメン
そこに真実はない。
外部の者からは容易に解き明かせない錯綜した事実があるだけ。
チェチェン問題についての番組放映中に出演者がいきなり番組をジャック。放送は中断される。しかし、主犯のラムザンが出演してたチェチェン支援団体の男性を射殺して放送の再開を要求。立てこもりの詳細が全世界に配信される。番組に出演していたノルウェイの外相を含め人質は14人。
テレビ局内のことなので犯人の様子も丸見え、犯人の素性もすぐに知れる(ノルウェイの警察が知っている範囲ではあるが)。ラムザンにはそれもすべて計算済みの様子。
ラムザンはカメラに向かって
「チェチェンに自由を!」
と叫び、逃亡用の飛行機と金を要求するが、それが本当の目的なのかどうかはよくわからない。番組の司会者で制作にも関わったクリスティンに情報を提供していた「ウルフ」の異名を持つチェチェン人アスランとラムザンとの間に色々と込み入った因縁がありそうだ。
一方、駐オスロのロシア大使館でもヴォローニン大使が本国のナゾの動きに苛立っていた……。
前振りがないスピーディーな展開で、交渉人が作戦の蚊帳の外のようだったり、ノルウェイ政府も手を出しかねている様子が非常にリアル。この手のハリウッド映画にありがちなスーパーマンもいない。
日本でテレビ局が占拠されたり、携帯動画でリアルタイムに現場の様子が放送されたりする事件があってもおかしくはないと思うのだが、日本を舞台にしたこの種の映画ってないよなぁ? 当のロシアを含めて他の国ではこういう劇場型の人質事件をモチーフにした映画・ドラマは多いというのに。日本でチェチェンといってもピンとこないからなのかなぁ? まぁ、日本のテレビに出て英語でべらべらしゃべられても、見てる方はぽかーんとしてしまうだけかもしれないけど。
ノルウェイ政府の人命優先で強硬手段を取りにくい様子が日本っぽくて、人質になっている外相がなんだか岡田に見えてきた。
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