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2010年5月31日 (月)

映画「ファイアー・アンド・ソード」

ファイアー・アンド・ソード [DVD]

1999年ポーランド
監督:イェジー・ホフマン
キャスト:
ヤン・スクルジェトゥスキ…ミハウ・ジェブロフスキ
ヘレナ…イザベラ・スコルプコ
ボフン…アレクサンドル・ドモガロフ
ザグロバ…クシュシュトフ・コヴァレフスキ
ポドビピェンタ…ヴィクトル・ズボロフスキ
フメリニツキ…ボグダン・ストゥプカ

 1647年のとある日。
 異常気象で荒廃するウクライナを行くヤンと一団のポーランドの騎士たち。たまたま、タタール人の格好をした連中に襲われていた一人の男を助ける。実はこの男、ボフダン・フメリニツキという。自主独立を唱えてポーランドの支配に反抗するコサックの指導者であった。戦がうまく人望もあり、ポーランド正規軍に対抗するためには異教徒であるクリムのハンと手を組むことも厭わない。ポーランドにとっては反逆者であるフメリニツキを捕らえるよう命令が出ていたのだが、クリミア帰りのヤンはそのことを知らなかったのだ。

 その後ヤンは水たまりにはまって身動きのとれなくなっていた名門クルテビチ家の女たちの車を助けたことをきっかけに、公女ヘレナに一目惚れ。彼女はボフンと結婚の約束をさせられていたが、本当は嫌だったらしくヤンとの結婚を喜んで受け入れる。ボフンはヤンを深く恨み、ヘレナを取り返すことに執念を燃やすことになる。

 とはいえ、もともとは3時間くらいの映画(エクステンデッド版ではTV四話分204分)のダイジェスト版なので、ヘレナ関連のエピソードがばっさり切られているらしく、ストーリィは歴史的事実を追うのがやっとといった感じ。
 恐ろしく重い剣を軽々と振り回し敵の首を一度に三つ切り落とすまではと禁欲を誓っている長身のポドビピェンタ、酒と食べ物に目がなく気さくで陽気な太めのザグロバ、調子良くっていつの間にかどこにでも潜り込んでいる従者ゼンジャン等々、ヤンの取り巻きの愉快な連中が活躍する場面も少なめかも。

 コサックの連中が話しているのはウクライナ語かな? ボイス・オーバーでポーランド語があてられているが、これってなくてもわかるんじゃないのか、と思ってしまった。クリムのハンがしゃべっているのはトルコ語っぽくて明らかに違う言葉だが、ポーランド人とコサックの話している言葉って、門外漢には大して違って聞こえないんだけど。
 でもこの辺の話し言葉へのこだわり、コサックとポーランド貴族の服装の違いや戦い方の違いには綿密な時代考証がなされている事がうかがえる。このダイジェスト版では戦闘シーンが一番の見所。城攻めに出てきた動く砲台みたいなのは、ロシア語でいうグリャイ・ゴロドだろうか。土嚢をぶらぶらぶら下げて、敵の砲弾をそれで食い止める。あんな攻城兵器があるんだな。まぁ、結局はヤンたちが地下道を伝って爆薬を仕掛けて爆破してしまうんだけど。

 タイトルの「Ogniem i mieczem(炎と剣とともに)」という文字がばばーんと出てくるところといい人物の描き方といい、この映画、ボフダン・フメリニツキが主人公のような気がするんだけれど、えっ、ポーランド映画なのにフメリニツキが格好良いぞ???とちょっと意外な気がした。
 でも、この長く続いた戦いでクリミアもポーランドも疲弊して、結局はロシアが漁夫の利…ってナレーションで終わるのはポーランドっぽいかもしれない

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