映画「懺悔」
1984年ソ連(グルジア)
監督:テンギズ・アブラゼ
キャスト:
ヴァルラム・アラヴィゼ/アベル・アラヴィゼ…アフタンディル・マハラゼ
グリコ…イア・ニニゼ
トルニケ…メラブ・ニニゼ
ケテヴァン・バラテリ…ゼイナブ・ボツヴァゼ
ニノ・バラテリ…ケテヴァン・アブラゼ
サンドロ・バラテリ…エディシェル・ギオルゴビアニ
ミヘイル・コリシェリ…カヒ・カヴサゼ
エレーネ・コリシェリ…ニノ・ザカリアゼ
オオカミ:ウサギさん、ウサギさん、どうしてそんなに慌てて走り回っているんだい?
ウサギ :オオカミ狩りが始まったんだ。
オオカミ:でも、きみはウサギだろ。逃げる必要はないじゃないか。
ウサギ :でも、僕がオオカミでないってどうやって証明すればいいんだい?
この作品中にも出てくるたとえ話であるが、そんな『スターリン・ジョーク』を地でいくような話。
常識的に考えてこうだろうということが通じない。……ウサギは逮捕されて強制労働収容所に送られてしまうのだ。
一人の偉大な市長が死んだ。葬儀には彼、ヴァルラムの死を悼む多くの人が訪れ、惜しまれつつ埋葬された。しかし、翌日、彼の遺体は自宅の庭に舞い戻っていたのだ!
驚いた遺族は、最初はこっそり埋葬しなおしたのだが、その翌日にまたもや自宅に戻ってきた遺体に、さすがに警察を呼ぶことにした。しかし墓を鉄柵で囲い鍵まで掛けたのに、遺体は三度戻ってきてしまうのだ。
この奇怪な事件が、偉大な指導者と呼ばれたヴァルラムの真の姿を明らかにしていく事になる。
結構リアルな話だよ、これ。
だってさ、逮捕されて二度と帰ってこれなかった人の消息って、残された家族は夢とか幻視で知るしかなかったんだもの、まさにこの映画の通りだよ。
もとの市の偉いさんだった(ヴァルラムの同僚かひょっとしたら上司かも)ミヘイルが
「できるだけたくさんの人を告発すれば、政府も異常事態に気づいて関係者を処罰してくれるに違いない!」
っていう話も、これだけ見るとえーって思うかもしれないけど『収容所群島』で見たことあるぞ。本当にあった話かどうかはわからないけれど、党の幹部が嘘の告発をして多くの人を陥れた理由として、そういう話は広く流布していたんだろうな。
ただ、グルジアは古いキリスト教国だから、善悪の判断基準をキリスト教に求めるのはわかるのだが、キリスト教徒でない自分から見ると、それを全部キリスト教に任せて丸投げしてしまっていいのだろうかと思ってしまう。
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