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2010年10月 8日 (金)

映画「アルティメットウェポン」

Shadow_boxing アルティメットウェポン [DVD]

2005年ロシア
監督:アレクセイ・シドロフ
キャスト:
アルチョーム・コルチン…デニス・ニキフォロフ
ヴィクトリヤ(ヴィーカ)・エルマコヴァ…エレーナ・パノヴァ
ヴァリエフ…アンドレイ・パーニン
ネチャーエフ…ドミートリィ・シェフチェンコ
ズメイ…アレクサンドル・クズネツォフ
チモハ…パーヴェル・デレヴャンコ

 ロシア・ボクシング界の期待の星、アルチョーム・コルチンが世界ウェルター級の王座に挑戦することになった。

 アメリカ人のチャンピオン、パルマーがわざわざモスクワに乗り込んで来るにあたっては、何やら黒い金が動いたらしい。
 その金の出所であり、コルチンの後援者でもあるのが事業家のヴァリエフ。事業家として成功しているのだが、声は猛禽のようだし、なんだその色は、っていうような色シャツを着ているし、指でキツネの形を作って(パルマーがファラオの扮装をしてアヌビスに取り巻かれて入場したから)挑発したり、堅気のビジネスマンにしてはがらが悪い。

 しかし、そもそも喧嘩っ早くて無思慮なところがあるコルチンを見いだして支援しているのが彼だし、ボクシングの試合も興行だから、大金が動くのは当たり前だろうし……。いかさまを持ちかけられてもコルチンの勝利を信じて断っており、息子をかわいがる人間くさいところもあり、もともとボクシングをやってた人だから攻撃的なところがあるにしても味方だよな? ……なんて期待しながら見ると裏切られたり裏切られなかったり……(笑)。
 ヴァリエフが単純な悪役ではなく、複雑な人物に描かれているところがこの映画の先の読めなさの鍵だな。いい味出してる。

 それに比べると主人公はいかにも短絡的で思慮に欠けるように見える。でもヒーローはそうでなくっちゃいけない(笑)。
 バカっぽく見えても戦闘センスは恐ろしく良い。パルマーとの試合も迫力あるが、なによりも目が見えない状態で、拳銃を持ったガードマン数人を血だらけになりながらも拳一つで倒してしまうシーンは圧巻。まさにアルティメットウェポン。……このシーンがあるから、原題「シャドウ・ボクシング」からかけ離れていてもこの邦題で許す気になるってもんだ。

 続編の「アーマード・ソルジャー(シャドウ・ボクシング2リベンジ)」先に見てしまったので、どうせお馬鹿映画だろ、と舐めてかかって見て済みませんでした。ちゃんとしたアクション映画でおもしろかったよ。と、いうか二作目がグダグダ? まぁ、確かに、ヒロインが警察にどうあっても行きたがらなかったり、主人公が「金を出してくれないなら、あんたの銀行から力尽くで盗っちゃうぜ」っていうのはあまりにもぶっ飛んでる気はするが、不自然に感じないのは舞台がロシアだから?!

この映画の出演者が出ている他の映画:
デニス・ニキフォロフ→「タンカー・アタック」「限界戦線
アンドレイ・パーニン →「限界戦線」「カンダハル」

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2010年10月 6日 (水)

モンゴルの岩画・デジタル拓本

 整理しようしようと思って、もう何年も経ってしまったモンゴルの岩画がある。
 なんで放置してたかというと、こんな感じだからだ。

<写真av3(=0306200717)>
0306200717

 微妙すぎる。モノクロでプリントしたら、人間の目でも動物のカタチがわからないレベル。
 それでも岩画の本をいくつか見ているうちに、そういう冊子を自分でも作りたくなり、フォトショップで輪郭を切り出したらこんなのでも救えるかと思ってやってみた。

 とはいえマウスで画面上の輪郭をなぞっていては目や肩が死んでしまうので、とりあえず紙に印刷して鉛筆で書き書き。

<fig.av3-1>
Avf31

 このくらいの手間なら休みの日にちょこちょこっとやればすぐ完成だぜ。これをスキャナで取り込んでフォトショップで輪郭を描かせる。

<fig.av3-2>
Avf32

……負けてる。雨粒の当たった部分の濃さが鉛筆に勝ち、後ろ足のかかとの部分とか後ろ首とかが欠けてしまっている。これではイカンと思い、もう少し塗り足し、コントラストと濃度も考慮しつつスキャンしたのが<fig.av3-3>。

<fig.av3-3>
Avf011

 ぬふふ。キリンっぽくてかわいい。
……などとニタニタしている暇はない。ふぉとしょに再登場してもらって、輪郭を取り出す。

<fig.av3-4>
Avf34

 よしよし、うまくできた。図形の周りに墨(インク)をどばっと流し込む。

<fig.av3-5>
Avf36

 まさに拓本。階調を反転。

<fig.av3-6>
Avf37

 岩画の本に出てるような図形ができてきた。中のもにょもにょが残っているので、マウスを使ってシコシコ消す。

<fig.av3-7>
Avf38

 マウスで微妙なタッチは無理。なので、消した部分がやっぱりなんか不自然だなぁ……。fig.av3-6の方が素材そのままの感じでいいかな?

 どうです? ディジタル拓本といいつつ、とっても手作業なところが(笑)。簡単にできるぜ、と思って始めても、やってみると結構細かい作業で時間掛かるっていうのはいつものことですな。

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2010年10月 4日 (月)

映画「日陽はしづかに発酵し・・・」

Dni_zatmeniya

日陽はしづかに発酵し・・・ [DVD]

1988年ソ連
監督:アレクサンドル・ソクーロフ
キャスト:
マリャーノフ…アレクセイ・アナニシノフ
ヴェチェロフスキー…エスケンデル・ウマーロフ
マリャーノフの姉…イリーナ・ソコロヴァ
スネゴヴォイ…ウラジーミル・ザマンスキー

 今年(2010年)の夏はとてつもなく暑かった…。
 舞台となっているトルクメニスタンの風景とこの映画の独特の色調は、あの暑さとやり場のないイライラを思い出させる。
 めまいがするほどの暑さだけでもやる気が失せるというのに、仕事に取り掛かろうとすると頼んだ覚えのない宅配が届いたり、どうでもいい繰り言の電話がしつこくかかってきたり、何かとお騒がせな姉が泊まりがけで尋ねてきたりしたら…。

 私だったら怒り沸騰、やけ食いするかふて寝するか、夕日に向かって走るか…到底根気のいる作業なんてやってられないだろうが、主人公のマリャーノフは半裸で汗を流しながらもガシャガシャとタイプを打って論文の作成に取り組む。…少なくとも取り組もうと試みる。

 まぁ、この程度の「妨害」だったら、気の持ちよう。
「馬鹿ばっかり!」
と世間様を罵ったり呪ったり、ごく普通の日常の範囲内で誰にでもある話。

 ところがマリャーノフの場合はそれだけでは済まないのだ。
◎次々襲い来る「妨害」にもめげず、なおも論文の作成に励んでいると、隣人が死ぬ。
→それは結局は自殺なのだが、殺人容疑をかけられ刑事に絡まれる。
◎玄関口に見知らぬ子供が行き倒れている。
→介抱してみれば、これがいかにも小生意気な餓鬼で居候させろと屁理屈をこねる。
◎強盗、しかも面倒くさい説教強盗が押し入ってきて大捕物になる…等々「妨害」はエスカレート。

 揚げ句の果てには超常現象としか言いようのないことが起こる。ところが、それに対する周囲の人たちの反応は非常に不可解…誰も彼もが明らかに常軌を逸した奇怪な現象など目もくれず、マリャーノフにちょっかいを出して邪魔することにばかり熱心なのだ。
 ここまで不条理だとこれはもう偶然ではないのではないだろうか。何者かの意思が働いているとしか思えなくなってくる。
 これはいったいどういうことなのか…。

 何かしようとすると邪魔が入るんだよなぁ、とか
 こうなるんではないかと思って準備万端何備えておくとそのことは起こらず、逆にこうなるこうなると言ってもどうせ起こらないんだろ、と備えを怠っている時にそのことが起こったりして、誰か見てるんじゃないか、と常日頃感じている人には、この映画を見てみる事をお薦めする。

 大いなる意思が働いているのかもしれませんぞ?

ソクーロフ監督作品:「エルミタージュ幻想」「太陽

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