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2011年4月24日 (日)

ラシード=アッディーン『集史』「グユク=ハン紀」第二部(3/7)

 アリーの信奉者で名前をシラとかいう大酒飲みでろくでなくしのサマルカンド人がファティマ=ハトゥンを、彼女がクデンに魔法をかけたせいで彼が病気になったと中傷した。クデンは病気が重くなったので自分の兄弟グユク=ハンに、病気の発作はファティマ=ハトゥンの魔法の結果であり、もし何かあったら(注13)、彼が彼女を処罰するよう(頼むために)急使を送った。これを追うようにクデン死去の知らせが届いた。チンカイが再びその話と(クデンの)依頼を引き出して俎上に載せた。グユク=ハンが登位したとき、最初の仕事としてファティマへの尋問を行い、彼女が棒による拷問によって自白した後で、彼女の(身体の)上と下の穴を縫い合わせ、それをフェルトで包んで水に投げ捨てた。彼女のとりまき(注14)は、死の縁に立っていた。グユク=ハンの死後、アリ・ホヂャ・イミリは、先に述べたアリーの信奉者シラを同じような罪で中傷し、彼がホヂャ=オグルに魔法を教えたと言った。シラも投獄され、拷問とあらゆる困難な要求のために人生に見切りを付けた。彼もまたしてもいない罪を自白し、全く同じように水に投げ捨てられ、彼の妻と子供たちは剣に委ねられた。ハン位の玉座が平穏にメングゥ=カァンの幸運の星のもとで高められた後、ビシバリクの境に封ぜられていたブルンギタイが連れて来られ、その後、彼の側近になっていたアリ・ホヂャを召喚する急使が送られた。誰か他の人が彼を同じような犯罪で告訴したのである。メングゥ=カァンは、彼を左から右から、彼の身体が全部細かいかけらに砕かれるまで打つよう命じた。彼の身にはこのような苦痛がふりかかり、彼の妻と子供たちは奴隷身分に貶められた。

口承詩

もし、汝が(誰かに)悪事をなしたなら、災いを恐れよ。
生ける者すべてに必ずや報いがあるのだから。

 トゥラキナ=ハトゥンとその友にまつわる出来事のうち[ここに]取り上げられたのは、ごく一部である。今や我々はグユク=ハンの即位に着手し、これについて詳細に物語ろう、もし全能の神が思し召すなら。

 

                        ★゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。・゜゜・。。・゜

 

原註:

(注13)すなわち、もし彼が死んだら。

(注14)彼女と関係のある人すべて。

翻訳メモ:

・実際のクデン(コデン)の死はグユクの死後なので、この逸話は全くの事実というわけではないようだ。ドーソン『モンゴル帝国史2』p.256、杉山正明「草堂寺闊端太子令旨碑の訳注」「東西文献によるコデン王家の系譜」『モンゴル帝国と大元ウルス』参照。

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