映画「道中の点検」
1971年ソ連
監督:アレクセイ・ゲルマン
キャスト:
ロコトコフ…ロラン・ブィコフ
ペトゥシコフ…アナトーリィ・ソロニツィン
ラザレフ…ヴラジーミル・ザマンスキー
ソロミン…オレーク・ボリソフ
どんなに憎い敵でも、戦いが終われば寛容に扱うばかりでなく健闘をたたえる一方、身内から出た裏切り者は、これ以上ない卑劣漢に描きろくでもない死に方をさせる。
別に「人民の敵」を叩きに叩いたスターリン時代のソ連に限ったことでなく、今のロシアでも、ロシアに限らず日本の映画でもこういう傾向はある。
主人公の一人ラザレフは独ソ戦の初期、ドイツ軍の怒涛の進撃に巻き込まれ、捉えられて捕虜になったものの、やっぱり自分の生まれた国の陣営で戦おうとソ連のパルチザンに投降した人物である。日々ドイツ軍占領下の故郷の惨状を目にしながら社会主義の祖国・ソ連のために戦ってきたパルチザン連中から見たら、八つ裂きにして細切れに切り刻んでやりたいくらいの裏切り者である。
「行ったり来たり裏切るのが好きなんだな」
と皮肉を言われたり、彼を仲間の元に連行していった少年兵が
「なぜ即座に射殺してしまわなかったのか」
となじられたりしているのを耳にしても淡々としているので、一見、よくあるヒーローものの主人公のように不屈の闘志と揺るぎない意思を持つ強い男に見えるのだけれど、そんなことはなく、ごくごく普通の人とわかった時は、してやられたというか、騙されたというか、そういうところでどんでん返しか!と新鮮だった。…あ、これってネタばれかも。
というわけで、新鮮な気持ちで見たい人はここから先を読んではいけません!
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