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2012年2月23日 (木)

映画「新トレマーズ -モンゴリアン・デス・ワームの巣窟-」

新トレマーズ -モンゴリアン・デス・ワームの巣窟-

2010年アメリカ
監督:スティーヴン・R・モンロー
キャスト:
ダニール…ショーン・パトリック・フラナリー
パトリック…ドリュー・ウォーターズ

 UMAの中でも人気の高いモンゴリアン・デス・ワーム(オルゴイ・ホルホイ)さんが、悪い人間どもを懲らしめる楽しいテレビ映画です。原題はそのものずばり「モンゴリアン・デス・ワーム」。

 本来「トレマーズ」とは関係ありませんので、トレマーズのように土中をボコボコボコっと爆走してくるシーンはないのですが、幼虫らしい皮膚の質感とイヤな照り(笑)が本当にこういうのいそうに出来ていて気に入りました。
 最初からクリーチャー出てますし、イヤなヤツは頭からバクっと喰ってくれますし、モンゴリアン・デス・ワームさんがもこもこ這ってくる姿は怖いよりかわいい……。でも虫嫌いの人がこのサイズ(1.5mくらいかな)のイモムシが這ってくるのを見たら、モニタ越しでも「ギャー」とか叫んでしまうかも……。

 おそらくものすごい低予算で作られたんだろうと思いますが、UMA好きが嬉々として「俺の考えるモンゴリアン・デス・ワームはこうだあ!」と言ってるようなほほえましい映画です。ただし、チンギス=ハンの墓守とかの設定は全くのデタラメですので信じないように(これ見て信じる人もいないと思いますが念のため)。

 まぁ、B級映画にしてはちょっとお色気が足りない気もしますが、お茶の間で家族そろって見ても大丈夫、B級映画好きや怪獣好き、動いているモンゴリアン・デス・ワームさんを見てみたい方にオススメです。

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2012年2月22日 (水)

映画「カンダハル」

カンダハル~怒りの大脱出~

2010年ロシア
監督:アンドレイ・カヴン
キャスト:
ヴラジーミル・カルパトフ機長…アレクサンドル・バルエフ
セリョーガ(副操縦士)…ヴラジーミル・マシコフ
ゴトフ…アンドレイ・パーニン
ヴィテク…アレクサンドル・ゴルベフ
ヴァクレンコ…ボグダン・ベニュク

 「カンダハル 怒りの大脱出」なんて副題が付いているし、「レッド・ガントレッドアンティキラー)」のシャマン役アレクサンドル・バルエフ、「怒りの戦場 CODE:PIRANHA」のマズールすなわちピラニア役ヴラジーミル・マシコフ、「限界戦線(最後の装甲列車)」のレソルブ役アンドレイ・パーニンと武闘派そろい踏みなのでどんなロシア版「怒りのアフガン」かと思ってしまうが、バトルアクションではない。力を使っての戦闘はほとんどないが、言葉は通じない、相手はタリバン、機長とクルーたちの間にも現状認識に微妙な差があるてな訳で
「あっ、これは殺られる」
と身構える場面の連続。その次から次へと襲いかかる最悪の場面をなんとか切り抜けていく。日本人が紛争地域で拉致される事件もある中、実際の事件をもとにしているこの映画は参考になる……かどうかは微妙。ロシア政府も動いてはいるのだろうが、結局は自分の力で帰って来いって事だもんなぁ。

 1995年に実際あった事件だというが、その頃のアフガニスタンだったら、ソ連のアフガン侵攻の記憶は生々しいだろう。群衆がロシア機めがけて棒きれを持って殺到するシーンはそういう事なんだろうけど、言葉ではっきりとは説明されない。ソ連の傀儡と見なされたナジブラ元大統領が処刑されたのは確か1996年だったし、民間機とはいえ武器弾薬の類を運んでいたのだから雰囲気的にも非常にまずい。

 一方、クルーを捕まえた空軍司令官アデルはソ連で訓練を受けた人物らしく機長と旧知の間柄でロシア語をしゃべる。国外(ロシアか)のマスメディアの取材を許しているし、兵士に飛行訓練をしろとたびたび要求されているから基本的には殺す気はないのだろうとは思われるのだが、協力させるための詭弁かも知れず、一年以上こんな状態でいれば神経がすり減ってくる。

 そんなこんなの困難の果てにイリューシンIl-76 という巨大な輸送機を使ってカンダハルを脱出するというほとんどあり得ないような結末を迎える。

 Il-76が大空を行くラストシーンでは、「ヴォーリャ(воля)」というロシア語の単語が思わず知らず浮かんだ。

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2012年2月16日 (木)

映画「バトル・キングダム」

バトル・キングダム 宿命の戦士たち

2010年ロシア
監督:ドミートリィ・コロプキン
キャスト:
ヤロスラフ…アレクサンドル・イヴァシケヴィチ
ライダ…スヴェトラーナ・チュイキナ
ハラルド…アレクセイ・クラフチェンコ
チュリロ…ヴァレーリィ・ゾロトゥヒン
ヴェンド…パーヴェル・フルリョフ

 主人公のヤロスラフは、キエフ公国のヴラジーミル大公(太陽公)の息子で、幼くして公(クニャージ)としてキエフから北に遠く離れたロストフに派遣されていた。
 キエフの支配下にあるとはいっても、ロストフの町から一歩出れば盗賊が人間を掠って奴隷として売り飛ばすなど跳梁跋扈しており、土地の住人もロストフの支配を嫌い貢税(ダーニ)も納めていない。成長したヤロスラフはこの無法地帯に秩序を打ち立てようと従士団やヴァリャーグと呼ばれる傭兵部隊を率いて戦っている。
 しかしどうもアルダンという盗賊にはロストフ内部に協力者がいるらしい。あるとき、アルダンと戦い掠われた熊族の娘・ライダを助けるのだが、熊族の領域に踏み込んだヤロスラフは熊族の捕虜になってしまう……。

 キリスト教受容直後、11世紀はじめの古代ルーシの物語。
 冒頭に歴史背景の解説もあるし、キエフ「公国」が現代の我々の考える「国」とは違うこういうものだ、と映像で見る事ができておもしろかった。ロストフの町なんか、今でもロシアの田舎にこんな作りの家ある~という部分もありつつも、当時の大きな町であるという感じが非常にリアル。古代の深い森の描写も美しい。
 ヴァリャーグの傭兵隊長役がアレクセイ・クラフチェンコで、盗賊どもに「ベルゼルクだ!」なんて言われてるのもいかにもって感じだし(笑)。

 ヤロスラフやロストフ民が熊族を野蛮人とか言っている箇所では、「熊はおまえだ!」と突っ込みつつ見た(笑)。まぁ、ロシアという概念も民族という概念もない時代の話なので、同じスラヴ系でも町の人から見るとまだ部族的なつながりの残っている人たちはそういう感じなんだろうか。それとも、この熊族の墓地って樹上墓だしシメで先住民呼ばわりしているから、フィン=ウグル系を想定しているんだろうか?
 それにしてはこの森の民・熊族の信仰しているのがキリスト教以前の古代ルーシの神々のうち雷霆神ペルーンと並んで有名な家畜神ヴェーレス(ヴォロース)なんだよな。熊族がこの神を祭る神殿には神像はなかったが、すばらしく大きな熊がヴェーレスの化身として現れる。熊を森の主・神と考えるのは何もスラヴ系に限らないけど、やっぱりヴェーレスって聞くとスラヴって感じがする。

 この映画のヤロスラフは異教徒に無理矢理キリスト教を押しつけるような人ではなく、人間にはいろいろあってそれで良い、と考えているように描かれているけど、そもそもキエフにあったペルーンやヴェーレスの神像を侮辱して破棄させたのってこの人の父・ヴラジーミル太陽公じゃなかったっけ?  ヴェーレスが本当はどんな形をしていたのかよくわからないのは、ヴラジーミル大公が徹底的に破壊し尽くしたからだったような……。

 賢明な人は多様性を認めるって辺りはソ連崩壊やらチェチェン紛争の影響であって、実際のヤロスラフまたは年代記に描かれたヤロスラフ・ムードルィ(賢公)とは違っているのかもしれないけれど、古代ルーシの雰囲気を味わえる楽しい映画だった。

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