Lexicon2013に参加します
さてさて、歴史魂(Lexicon)2013の原稿を提出しましたよ~。
「2013年5月5日コミティア104にて発行!」ということで、皆さん今年はどんなお話を書かれるのか楽しみです。
かくいう自分は暗いというか、重いというか、お祭りなのに何かどうもすみません、ってお話しで申し訳ないです。
でも、この話は『モンゴル史』部族篇翻訳プロジェクト(ぉぃぉぃ)上、避けては通れないので赦してください。
で、どのくらい暗いかっていうと、クラシック音楽で最もネクラといわれる作曲家ショスタコーヴィチの交響曲の中でも特に暗黒な「交響曲第七番 レニングラード」をテーマ曲として使わなければならないほどに…って失礼な!
レニングラード封鎖/レニングラード包囲戦に関連した一エピソードでして、独ソ戦のこと良く知りもしないくせに、しかもよく知らない人を語り手にしてこんな事書いちゃっていいのかよーーーと思わないでもないけど、そこはまぁ、対独戦勝記念日(5月9日)も近い、ということでひとつ。
以下の資料を参考にしました。
レニングラード封鎖: 飢餓と非情の都市1941-44 [単行本]
マイケル・ジョーンズ著
松本幸重訳
(白水社)
帯には死者100万人と書いてありますが、封鎖体験者の実感ではもっと多いだろうと言われてます。ちなみに、太平洋戦争での日本の死者は300万人と言われていますが、それは戦死を含めての話ですね。
ネットを駆使して引用部分もロシア語原文から訳しているので、重訳特有のおかしな言い回しがない読みやすい翻訳でした。
開戦前後のソ連側のごたごた、レニングラードが包囲される経緯はこちらで。
攻防900日〈上〉―包囲されたレニングラード (ハヤカワ・ノンフィクション・マスターピース) [単行本]
攻防900日〈下〉―包囲されたレニングラード (ハヤカワ・ノンフィクション・マスターピース) [単行本]
ハリソン・E・ソールズベリー著
大沢 正訳
(早川書房)
開戦直前のドイツの不審な動きをちゃんと評価できなかったソ連首脳部(というかスターリン)の思い込みやレニングラード戦線の戦闘の推移はこちらに書かれているので、『レニングラード封鎖』では、さらっと触れられている程度。
1941~1944年のレニングラード (封鎖・飢餓・人間) [単行本]
アレーシ・アダーモビチ/ダニール・グラーニン著
宮下とも子ほか訳
(新時代社)
アレーシ・アダーモヴィチは、みんなのトラウマ映画「炎628(来たりて見よ)」の原作・脚本の人ですね。上のふたつの本にもたびたび引用されている具体的な封鎖体験者の話です。こういうのさえ触れてはいけない時代もあるというのは、今の感覚からすると理解しがたい感じですけど、ソ連ってそういう国だったんです。
大祖国戦争 [DVD]
1965年ソ連
監督:ロマン・カルメン
そういうわけで、レニングラードの飢餓もさらっと触れられている程度です。この監督のロマン・カルメンはいかにもソ連のプロパガンダ映画って感じの「ニュルンベルグ裁判~人民の裁き」を監督した人ですが、レニングラード封鎖についてのドキュメンタリー映画を撮ろうとしたけど駄目だったかなんとか。
これは規制がゆるくなった時期の映画ですし実際の映像なので、レニングラード封鎖のシーンを目を皿のようにして見てみると、すごく参考になります。
パンの配給のシーンなんて、まだ125gの時期ではないようですが、新聞紙にのっけたパンがびしゃびしゃで、半分は文字通り水で水増しされてたというのの実物を見る事ができます。「生命の道」ラドガ湖氷上道路も地平線?が見て取れるほど真っ平らな様が映っています。
ショスタコーヴィチの交響曲第七番は、Amazonでサンプルが聴けますが、例の繰り返しの箇所ではないのでピンと来るかどうか?
これ(ベルナルド・ハイティンク指揮ロンドン響)を聴きながら作業してましたが、古いのでもう売ってないようですね。
ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー指揮ソビエト国立文化省交響楽団のはちょっとイメージが違う(大仰すぎる)と思いました。CDでちまちま聴いているせいで、今回のお話のように淡々とした私的な印象になったのかもしれないので、むしろ、ロジェストヴェンスキー版の方が「らしい」のかも。
ルドルフ・バルシャイ指揮ケルン放送交響楽団のショスタコーヴィチ交響曲全集に収録の七番の方が今回のお話しのBGM向きかもしれません。
七番はショスタコーヴィチの交響曲の中で最も重厚長大ですが有名でもありますのでこの辺でお好みのを探してみてください。
驚くべきショスタコーヴィチ [単行本]
ソフィヤ・ヘーントワ著
亀山郁夫訳
(筑摩書房)
ショスタコーヴィチの交響曲第七番については、あまりにも有名な話で上記『レニングラード封鎖』『攻防900日
』にも出ていますが、この本でも一章をさかれています。ショスタコーヴィチは半ば強制的にクィブィシェフに疎開させられたのだけれど、やっぱり残った人たちに対する引け目みたいなのを感じたんだろうなぁ、というのがひしひしと伝わってきます。
3.11の震災の時と同じで、食糧の補給が困難な所には余計な人員はいない方が助かるっていうのは、合理的に考えるとそうなんだけど、心情的にはどうしても後ろめたさは残りますわな。残るべきか、去るべきか。一人一人のこういった引き裂かれる思いをすべて引き受け、未来永劫恨まれる覚悟で地方の首長なり国なりが強制的に退去させることも必要な時もあるのかもしれません。
ショスタコーヴィチの証言 (中公文庫) [文庫]
ソロモン・ヴォルコフ著
水野忠夫訳(
(中公文庫)
『レニングラード封鎖』に無条件に引用されていて「へっ?」と思わないでもないのだけれど、まぁ、一応挙げておきましょう。
業界人ぶって「某先生はあそこで何した」「どこそこでこう言った」などと高名な人について本当に自分で見聞きしたのか伝聞なのかよくわからないことを得意げに話す人がいますが、そういうニオイが多分にする本です。ショスタコーヴィチにはそういう都市伝説がある、という程度のお話。
イラン系の言語についてはこのあたりを参考にしました。
ペルシア語が結んだ世界― (スラブ・ユーラシア叢書) [単行本]
森本一夫編著(北海道大学出版会)
世界の言語ガイドブック〈2〉アジア・アフリカ地域 [単行本]
東京外国語大学語学研究所編(三省堂)
中央ユーラシアを知る事典 [単行本]
小松久男/梅村坦/宇山智彦/帯谷知可/堀川徹 編集
総合研究開発機構(NIRA)編集協力
(平凡社)
人名の表記方法はこれにならって統一しようと試みたんですが、結局そうなってないですね…。いったい何をもって「普通」とするのかサッパリわからないです。自分たちの間では、フビライでもクビライでも好きなように呼んで通じちゃうんで不自由しないんですが、Lexiconのコンセプトって「その時代にはじめて接する人」向けに書くってことだから、なるべく誰にでも聞き覚えのある表記にしたいわけです……が。
В краю гор, садов и виноградников
セルゲイ・アルテュノフ/ヴェニアミン・コブィチェフ著
『中央ユーラシアを知る事典』をみればたいていのことは載っているんですが、やはりスペースは有限なので肝心なところ(つまりモンゴル時代)がすぽっと抜けていたりするので、カフカスの民族についてはこれを参考にしました。ソ連時代の外国人向けのリーダーですが(1987年出版)、わかり易いだけでなく詳しいのです。
「ソ連の民族についてのお話」と言うシリーズの一冊らしいけれど他の見たことないな-。シベリアのはないのかな。
…並べてみると、いったい何のことやらって感じかもしれませんが、こういう感じのお話です。できるのが楽しみな反面、自分のとこだけ浮いてたら(むしろ沈んでるかも)はずかしいなぁ。
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コメント
その辺の資料かき集めてるな~と思ったら、そういうつながりがあるんですね>レニングラード包囲とモンゴル部族(というかロシアとモンゴルさん)
ところで「中央ユーラシアを知る事典」の表紙がサムネイルでパタリロの表紙に見えたわ・た・し
投稿: マルコ | 2013年4月 1日 (月) 08時16分
ロシア・ソ連の東洋学の総本山なので>レニングラード
「ティムールの墓を開けたら戦争が起こる」って言い伝えを殊更無視して墓を開けた連中の総本山なので、独ソ戦と中央アジアの歴史は関係あるっちゃーあるわけです。
パタリロ、わかります。下ぶくれで切れ長の目って美男美女の条件ですよね、時代によっては。
投稿: 雪豹 | 2013年4月 1日 (月) 09時30分