映画「アフガン」
2005年ロシア/フィンランド/ウクライナ
監督:フョードル・ボンダルチュク
キャスト:
リュートィ…アルトゥール・スモリヤニノフ
雀(ヴォロビヨフ)…アレクセイ・チャドフ
巨匠(ジョコンダ)…コンスタンチン・クリュコフ
チュグン…イヴァン・ココリン
リャーバ…ミハイル・エフラノフ
スタス…アルチョーム・ミハルコフ
ピノチェト…ソスラン・フィダロフ
セールィ…イヴァン・ニコラエフ
ディガラ…ミハイル・ポレチェンコフ
ホホル…フョードル・ボンダルチュク
クルバシ…アマドゥ・ママダコフ
白雪姫…イリーナ・ラフマノヴァ
原題「第9中隊」。日本語版予告編でソ連版「プラトーン
」って言ってるけど絶対ウソ。むしろ「トップガン
」だと思った。ただし、アフガニスタン派遣兵だから、最後に光り輝く未来は待ってないヴァージョンで。
だってさ、鬼軍曹ディガラいい人だよ。訓練生たちは他の教官はまともなのに頭のおかしいのに当たっちゃった、って愚痴っているけど、訓練で優しくしても本人のためにならない。ぬるい考えだと戦場に出たとたん死んじゃったりするわけだし、彼の言ってることはいちいち理にかなっているように聞こえた。さんざん義勇兵を募っておいて、ロクに訓練もしないで武器も行き渡らないまま前線に送り込んだヴォロシーロフやジダーノフの話(レニングラード封鎖)を読んだところだったので、なおさらそう思った。
三ヶ月の訓練の中にはアフガニスタンの歴史や民族から説き起こす地域住民との接し方の講義もあってなかなかためになった。内容もだが、ソ連・ロシアの東洋学者ってあんな感じだよな、と再認識する意味でも。日本の戦前の雑誌なんかを読んでると偲ばれる当時の満蒙研究の盛況ぶりもこういうことなんだよ。
厳しい訓練を終え、一人前の兵士として輸送機に乗り込む彼らを見送る鬼軍曹の目にも涙(?)でいい話だな~、となった次のシーン・アフガニスタンに到着するなり思いっきり突き落とすって酷いや。
後半は航空機爆発だの銃撃戦だの爆撃だの派手なシーンが見どころ。武器の横流しをにおわせるシーンもあるし、理不尽な事を命じる上官もいるけれども、前線の有り様はほぼ理想的で落ち度はない。見張り中に居眠りしちゃった兵士やついうっかり地雷を踏みそうになった兵士にもちゃんと指導していて、良い部隊じゃないの、と思った。
志願してアフガニスタンに行った人たちの話だし、空挺部隊ということだから、ソ連軍の中でも良い面を描いているんだろう。あるいは、軍は最善を尽くしたんだが、政治家がアホだったとでも言いたいのか。
でも、軍の中に裏切り者がいたから負けたとか、アメリカがアフガンゲリラに武器を支給したからとか、ああだこうだと言い訳するよりは、アフガニスタンは侵されざる土地だったのだ、正々堂々と戦ったが負けたという方がサバサバして後味はいい。こういう映画があってもいい。
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コメント
はじめまして。デジタル・クワルナフでこのhpを知り、興味を引かれておとずれました。映画の紹介、たのしいです。
先日読んだ世界史の本が、アッバース朝の衰退と西ローマ帝国の衰退を重ね合わせるように描いていました。アッバース朝にとってのトルコ人が、ローマ帝国にとってはゲルマン人だった・・・・・ふしぎなものです
投稿: だぶるえんだー | 2013年6月 9日 (日) 10時48分
はじめまして。コメントありがとうございます。
歴史は繰り返すとはいいますが、経過は結構複雑だったりしますので、読者のよく知っている歴史になぞらえて説明する事が多いので、そういう印象になるのかもしれませんね。
より深く知ろうというきっかけになるし、何より知ってる時代は見て楽しい!歴史もの映画がたくさん作られるようになるといいですね。
投稿: 雪豹 | 2013年6月10日 (月) 01時09分