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2013年5月 7日 (火)

映画「アレクサンドル~ネヴァ大戦~」

アレクサンドル~ネヴァ大戦~ [DVD]

2008年ロシア
監督:イーゴリ・カリョーノフ
キャスト:
アレクサンドル・ヤロスラーヴィチ…アントン・パンプシヌィ
アレクサンドラ・ブリャチスラヴナ…スヴェトラーナ・バクリナ
ラトミール…イーゴリ・ボトヴィン
ドミートリィ…パーヴェル・トルビネル
ヤシカ(道化)…ノダリ・ジャネリゼ
エリクXI世…ヴァレーリィ・クハレシン
モンゴルの使節…トゥングィシバイ・ジャマンクロフ

 わぁ、ノヴゴロド公アレクサンドルの所にバトゥの使者が年貢の取り立てに来てるゥ(喜)!
 エイゼンシュテインの「アレクサンドル・ネフスキー 」ではモンゴルの使者は中国人みたいな風体をしていて複雑な気分になったものだが、今度のは割と普通でテンション上がったぁ!
 しかし、この頃のバトゥの遣わした使節に対して交渉する余地なんてあったのかねぇ? これで年貢を待ってくれるなら、バトゥ、相当優しいハーンなんじゃないの? まぁ、サイン(良い)・ハーンって呼ばれるくらいだし、決して悪の大魔王ではない…ハズ(笑)。

 1240年、ネヴァ河畔で行われた「ネヴァ川の戦い」。この戦いでスウェーデン軍に勝利したアレクサンドルは、「ネフスキー」の名をもって呼ばれるようになる。
 セルゲイ・エイゼンシュテインの映画「アレクサンドル・ネフスキー 」は1242年の「氷上の戦い」をとりあげているが、こっちの映画は彼が「ネフスキー」と呼ばれるようになったそもそもの由来をテーマにしているというわけだ。
……というエポックメイキングな戦いだったとは言うものの、「大戦」って規模じゃないよなぁ。アレクサンドルの率いていた人数はかなり少なかったはず。邦題の「ネヴァ大戦」はちょいと盛り過ぎだ(笑)。

 とはいえ、堅苦しい歴史ものでなく、アクション主体、キャラ立ち良しの楽しい映画だった。ロシアの歴史に詳しくなくても問題なしと思うが、おもしろいだけに一つだけ気になった事を。

 私自身もロシアの歴史に詳しいわけではないのでどういう訳語が妥当だかわからないのだが、「クニャージ」を「公」、「バヤーリン」を「貴族」ではいかんのかな?
 たぶん大公(ヴェリーキー・クニャージ)=王様との理解で、公(クニャージ)を王子と訳しているのではないかと想像するのだが、クニャージェストヴォを「公国」って訳していながらクニャージを「王子」と訳しているのは非常な違和感がある。
 とりあえず、教科書や辞書で使うような用語と揃えてくれると、「楽しみながら勉強になりますよ~」ってロシア・ヲタク志願者にも布教しやすくなって助かるんだけどなー(笑)。

 例えば、アレクサンドルが「我々の神を裏切った」とか、「異教徒の戦い」と言う宗教観は、非キリスト教徒の我々にはかなり不思議だ。
 正教とカトリックって言ったって、同じキリスト教じゃん? キリスト教なら一神教なんだから、どんな宗派でも同じ神を信仰してるんじゃないの? バトゥなんかもキリスト教(ネストリウス派)の環境で育ってるような気もするし、それでも異教徒との戦いって言っちゃうの??? と思うけど、キリスト教の中の人はこういう感じなんだ、と、頭じゃなかなか理解できないような事が感覚的にわかる点も映画ならではのお勉強ができる、ためになるって大義名分ができるじゃん(笑)。

 竹書房とロシア映画って珍しいと組み合わせと思うが、今後もこういうおもしろいロシア映画を紹介してもらえたらいいな。その際、「ロシアを知る事典」あたりをちょちょっと引いて、ロシア史で一般的に使われているような用語に揃えてもらえるならなおハラショーなんだが…。

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