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2013年12月 8日 (日)

ソチ五輪聖火が行く

  ソチ五輪聖火リレー前半のまとめです。聖火リレー公式チャンネルのビデオ日記の映像のため、各10分超のロングヴァージョンです。

 ギリシャでの採火に始まるこのリレーは、当然のことながら、例えば、ヤースナヤ・ポリャーナコストロマ―キージ島等々、ロシアの古都市・名所旧跡をめぐり、ロシアの伝統的な衣装をまとった人々の歓迎を受けております(宇宙に行った時ウラジオストクで日本人がリレーに参加した時くらいは日本のニュースで流れたかも)が、その辺はロシアに詳しい方にお任せして、シベリアおよび極東の騎馬民族関連?のところをピックアップしてみます。

28日目ナリヤン・マル(ヤマロ=ネネツ自治管区)
 ペチョラ川下流・北極圏の都市。ネネツ(旧称サモエド)の人々の歓迎を受け、馴鹿曳きの橇に乗る。聖火の後ろで円錐の天幕に出入りしている人がいておもしろい。出入り口、ああなってるんですな。煙で燻したり、ぴょんぴょん跳んだりするのもテュルクやモンゴルにも似たような風習あったよなぁ、と思わせる。街中は普通のロシアの都市と変わらない(モスクワより段違いに寒そうだけど)。

29日目サレハルド(ヤマロ=ネネツ自治管区)
 オビ川下流の都市。ぎりぎり北極圏には入らないのかな。太鼓と馴鹿と円錐の天幕はもはやお約束。

31日目ハンティ=マンシースク(ハンティ=マンシ自治管区)
 オビ川とイルティシ川の合流点にある都市。これだけ大きい都市だとハンティ色は無いに等しい。みんなでカチカチ鳴らしてるやつがそうなのかもしれないが、観光みやげ程度のもの。街中のそこここに「ユグラ」と書かれているのが見える。ロープウェイで登った山の麓にはマンモスの群が。

34日目ヤクーツク(サハ共和国)
 サハ共和国(旧称ヤクーチャ)の首都。レナ川の河港都市。サハはダイヤモンドの一大産地なので、ダイヤモンドがこれでもかとフィーチャーされている映像もあるが、音が無く犬の声だけが響く中、ダイヤモンドダストがサラサラ散っている場面が寒すぎる。でも犬は日本のシベリアン・ハスキーよりすらっとしてるのに普通の顔をしている。
 犬は全然寒そうでなくても気温は-30℃。頭にマンモスの牙を生やした人は「永久凍土皇帝」で、彼の国(氷の家の中)ではマンモスから魚からすべてが凍り付いている。聖火は犬ぞりの後はヤクート馬に乗る。聖火を運ぶ役の馬が実に賢そうでかわいい。

37日目エリゾヴォ(カムチャツカ半島)
 カムチャツカ半島アヴァチャ川下流の町。背後に見えるのはアヴァチャ火山だろうか。太鼓で歓迎してるのはイテリメンの人たちだろうと思うがどうだろう? 38日目のペトロパヴロフスク=カムチャツキーでは、聖火は海から上陸。コサックが剣舞で歓迎。

37日目アナディリ(チュコト自治管区)
 聖火リレーで最もモスクワから遠い地点に到達。ベーリング海に面したアナディリ湾にあるロシア最東部の都市。民族衣装で歓迎しているのはおそらくチュクチ(パレオアジア系民族)。映像はただただ寒そう。

46日目チタ(チタ州)
 バイカル湖から500kmくらい東にあり、シルカ川上流のインゴダ川にチタ川が合流する地点にある。コサック・ダンスと馬頭琴&ホーミーが一緒になって歓迎してるのはどうも呉越同舟臭がするんだが思い過ごしか。十字架の掲げられた広場には、ツァムの仮面(牛っぽい顔の人はヤマ(=閻魔大王)だったっけ?)を被った人もいるし。

47日目ウラン=ウデ(ブリャート共和国)
 バイカル湖の東南にあるブリャート=モンゴルの首都。旧称ヴェルフネウヂンスク。服装やら馬のちょんまげやら全くのモンゴル風で、しかも、観光客向けでなくハレの日には着てるんだろうな、という感じの着こなしぶり。駅前ではトゥグが掲げられていたが、ヤクの尻尾ではなく馬の尾の毛っぽかった。騎馬の一団がソチ五輪の幟を掲げてかぽかぽ走るのはなかなかいい。
 イヴォルギンスキー=ダッツァンでは、リレー走者はハタクを掛けられて寺院内で戦勝祈願(たぶん。中は映させてくれないので)。確かこの寺はゲルク派だった。

52日目アバカン(ハカス共和国)
 ハカス共和国の首都で、エニセイ川上流クラスノヤルスコエ=ダム湖の南岸にある。ハカス(旧称ミヌシンスク=タタール)は漢字で書けば黠戞斯で、『唐書』にも出てくる名前だが、それがそのまま保存されて今のハカスになったわけではないようだ。テュルク系の民族で、聖火をアイラグでお出迎え。街中はロシアの普通の街。

53日目クズル(トゥヴァ共和国)
 1944年に「自発的に」ソ連に加盟するまでは、傀儡とはいえ独立していたトゥヴァ(別名タンヌ=ウリャンハイ)の首都。モンゴルに合併するという話もあっただけあって(こういう書き方をすると、「元々モンゴルの一部だろ!」と熱烈なモンゴル支持者に怒られそうだが)完全にモンゴルのたたずまい。言葉はテュルク系というけれど。別映像エスノカルチャー=センター「アルドィン=ブラク」訪問ではホーミーも流れている。ウランバートルの郊外にもこれにそっくりのゲル村があったなぁ。

57日目ゴルノ=アルタイスク(アルタイ共和国)
 お馬が馬衣を着て聖火を運ぶ。楽器やら服装やらもモンゴル文化圏からは出た感じ。ゴルノ=アルタイスクはアルタイ共和国の首都。アルタイ人というのはテュルク系の幾つかの部族をまとめてそう総称することにしたというもので元々そういう民族がいたというわけではない。そうした部族の一つテレンギトなどは、『モンゴル史』「部族篇2」のテレングトと関係あるんではないかと思うんだがどうだろう?
 リフトで山登りするところで微かに口琴や低音ホーミーが聞こえるような気がする。アルタイと言えばパズィルィクで、スキト=シベリア文化風の格好をした女性が出てくるが、復元もしくはアレンジだよな。

 いまのところはこんなところ。今後もテュルク・モンゴル関係ありな所に行くかなー?

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