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2013年12月21日 (土)

映画「故郷よ」

故郷よ [DVD]

2011年フランス/ウクライナ/ポーランド/ドイツ
監督:ミハル・ボガニム
キャスト:
アーニャ…オリガ・キュリレンコ
ヴァレーロ…イリヤ-・ヨシフォフ
アレクセイ…アンジェイ・ヒラ
ディミートリィ…セルゲイ・ストレリニコフ

 甘く懐かしい過去。それは多分に記憶の中に美化されているのであろうけれど、失われて二度と戻ることはないという現実の前に、なおのこと求めずにはいられない。

 見たこともない巨大津波が押し寄せたり、原発の爆発する様を目の当たりにすれば、たとえそれがテレビ越しであったにせよ、本能的に命の危険を感じて逃げなければ、という心構えができるであろうが、そうした物が全くないまま慣れ親しんだ故郷を離れろといわれても、到底納得できるものではないだろう。チェルノブイリ原発事故のあったソ連時代ならなおさらの秘密主義で、何が起こったか伏せられたままただただ避難しろと言われたわけだ。避難すべき人たちが事態の深刻さを正しく理解できるまで情報を開示し、避難する必要性を自分の事として納得するまで説明する大切さを改めて思う。

 今この映画を見る我々は、どんなに深刻な事故であったか知っているから、避難の際家畜を射殺していった行政の非情さも、それも一つの判断、と思えなくもないが(放置して餓死するに任せるのとどっちが残酷なのか)、当時の飼い主にしてみたらあまりにも横暴と思えるよな。防護服を着た連中がぞろぞろやって来たって意味がわからない。だって、相対している自分たちは普段通りの格好で、それでいて別に危ないとも思えないのだから。

 たぶん意識的だと思うが、刺激的な映像は極力避けられている。原発事故を暗示させるのは、川に浮かんだ魚くらいのもの。病院のシーンでも消火に当たって致死量の放射線を浴びた人たちが画面に映ることはない。アーニャもチェルノブイリ観光に来る人は奇形の動物を期待している、とか言っているがそういう目に見えてヤバイ物は何もない。ただ広大な廃墟があるだけ。

「百万本のバラ」って1980年代に流行ったんだっけ? 色味も昔のアグファっぽくてソ連時代はこうだったなぁ、という雰囲気が味わえた。

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