映画「マックス・マヌス ナチスが最も恐れた男」
2008年ノルウェイ
監督:エスペン・サンバルグ、ヨアキム・レニング
キャスト:
マックス・マヌス …アクセル・ヘニー
グレガス・グラム …ニコライ・クレーヴェ・ブロック
1940年3月。マックス・マヌスはフィンランドとソ連との戦争(いわゆる冬戦争)の最前線にいた。それは厳寒の中で戦われた過酷な戦争であったが、マックスはたびたびこの時の事を思い出す。あの頃はよかった、と。
同年6月には、マックスはナチス・ドイツに占領されたノルウェイの首都オスローにいた。
もちろんマックスも黙ってはいられない。志を同じくする仲間たちとナチスと戦うことを決意するのだが、ビラやら壁新聞を配るという、ほとんど学生のサークル活動のノリ。
隙だらけで慎重さに欠けるマックスたちは、ナチスに泳がされているということに気づかない。次第に大胆になって爆発物を入手した所を狙われてがさ入れを受けてしまう。
動かしようのないテロルの物証が手元にあり、言い逃れできないと悟ったマックスは、窓から飛び降りて大けがをして捕獲されてしまう。
とまあ、これが伝説の始まりとなるわけだが、常に敵が見えない状態、自分を逃がしてくれた普通の市民までもが巻き添えになっていく、もしくは市民に垂れ込まれて(シーンとしてははっきりそういうのはなかったが)仲間が死んでいく、という敵味方が見えにくい状態は、次第にマックスの心を蝕んでいく。
「フィンランド戦線は敵味方がわかりやすくてよかった」
と、マックスは弱音をはくのだ。
マックスはイギリスで軍事訓練を受けていたり、武器やらの支援も受けていて、今風に言えば「外国勢力の支援を受けたテロリスト」。多くの民間人も巻き添えになっている。
だが、ドイツに占領されたノルウェイの側から見れば祖国解放のためのパルチザンであり愛国的行為である。
この辺、紙一重というより、同じ事象の観測点による違いにすぎない、という点を描いていて、現在のテロの位置づけの難しさをも思い起こさせる。そして、敵味方がマックスを伝説のパルチザン扱いするのと反比例して、マックスがすさんでいくさまに説得力を持たせている。戦争が終わって酒びたりになったとしても、もういいんだよ、これからはずっと甘えてていいんだよ、と許したくなるのだ。
最後のシーンが何とも印象的。自由の到来を祝うノルウェイ国民の歓喜の声は、マックスの心を少しは和らげることが出来たのだろうか……。
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※おまけ・冬期オリンピックネタ:
劇中に出てくるホーコンⅦ世は、八甲田山雪中行軍遭難事件に心を痛め、明治天皇にスキーを贈ったことがあるそうである。さすがノルディック・スキーの国。
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