ドラマ「スモレンスクからの脱獄」
2010年ウクライナ
監督:セルゲイ・チェカロフ
キャスト:
ピカソ(ウマエフ)…キリル・ルプツォフ
親父…ヴィクトル・ソロヴィヨフ
シュトーポル…ミハイル・タラブキン
クロート…アンドレイ・フロロフ
スィチ…アレクセイ・ロンギン
ムーサ…ムフタル・グセンガジエフ
パラーチ…アレクセイ・ドミトリエフ
ルィチギン…ヴィターリィ・キシェンコ
アルヒープ…ヴラジーミル・トロコンニコフ
1941年9月、独ソ戦開戦後のソ連。ある使い捨ての任務に駆り出されたものの、途中ドイツ軍の襲撃に遭ってからくも難を逃れた七人の脱獄囚たち。彼らはその中の一人、ウマエフ(あだ名はピカソ)の叔母さんの住む地図にも載っていない小さな村に潜伏した。おかみさんたちや村の長老アルヒープは、ウマエフの連れて来たこの連中が生粋のならず者で本物の刑事犯だということに薄々勘づいている。しかし、彼らをもてなし、受け入れる。まぁ、戦争に男手を取られていろいろ困っていた所にちょうど良い、というのもあってかみんな大喜び。娘の一人などは彼らの中の一人・クロートと恋仲になって結婚してしまう程。
ところが、この村に突然ドイツ兵がやってくる。社会主義のためでも祖国のためでもない、自分の愛する女のために、ひとときの人間らしい暮らしを与えてくれた村人たちのために、ならず者たちは戦うことを決意する。
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冒頭でジューコフに怒られているのはゴリコフ将軍だろうか。しかし、ジューコフがこんなに偉そうな口をゴリコフに対してきいていいもんなのかねぇ? スターリンならともかく。
その点、そこまでジューコフのこと研究してないからなんとも言えないけど、最近はこういうイメージなのか。まぁ、ウクライナのTVドラマだし、タブーがなくなったのでいろんなジューコフ像があるんだろう。
七人のならず者という時点でああアレだ、と勘づくのだけれど、上記ジューコフの件といい、NKVD将校ルィチギンの描き方といい、21世紀の旧ソ連風味付けがとてもおもしろかった。
自分的には「おまえら全員ぶっ殺してやる」というメッセージ的に、ドイツ兵の人数分だけ墓穴を掘ってあるシーンが気に入った。これマフィアのやり口だろ、と。世間には余計者扱いされてるけど、本当は良い人、みたいなぬるい設定ではなく、本当の悪党なんだからねって釘を刺しているみたい。ツ、ツンデレ?(笑)
原題は「疥癬かきの羊」。ロシア語のことわざでは「腐ったリンゴ」みたいな意味合いに使うけど、疥癬かきのなんとか(主に馬)っていうのは昔話や英雄叙事詩の定型の言い回しを思い出す。世間ではそういう見てくれの悪い病気持ちの馬なんか売りものにもならない厄介者扱いだけれども、本当は千里を駆ける駿馬であって、英雄にだけはその本性をあらわにする。もちろん、キリスト教的に迷える子羊たちが正しい道に導かれていく、という意味もかけているのは各話の最初にあるとおり。
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