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2014年4月26日 (土)

映画「ザ・ナショナル・トレジャー ドラゴン神殿の秘宝」

ザ・ナショナル・トレジャー-ドラゴン神殿の秘宝- [DVD]

2013年ロシア
監督:ドミートリィ・コロプキン
キャスト:
キリル…アレクセイ・ヴォロヴィヨフ
グルナラ…エリヴィラ・イブラギモヴァ
ルステム…バイブラト・バトゥリン
アジム爺さん…セルゲイ・シャクロフ
イヴァン爺さん…セルゲイ・ニコネンコ
イヴァン雷帝/ママと劇を見てる人…ゴーシャ(ユーリィ)・クツェンコ
スユンビケ…アノラ・ハルマトヴァ

 西暦1552年、カザン陥落。カザン・ハン国の監国スユンビケはカザン・ハン国に代々伝わる秘宝をカバン湖の底に隠し、自らの死によってその秘密を封印した。

 そして現在。イケメンではあるがカッコだけ、ビビリでお調子者の若者キリルは、軍の新兵募集イベントで美人に目がくらみ、ついうっかり入隊してしまった。
「1年間の原子力潜水艦勤務ご当選! おめでとう!」
 もちろん、そんなのいやだから逃げ回っていたのだが、UFOオタクのフルスタリョフや謎の老人イヴァン、新兵の身体検査にいい加減うんざりしていた女医リューバらが引き起こす騒動に巻き込まれているうちになぜかスユンビケの秘宝の記された地図を手に入れてしまう。
 カザンがどこにあるかさえ知らないキリルだったが、スユンビケが隠したと言い伝えられる「カバン湖の秘宝」を探しにタタルスタンに向けて飛び立つのであった…。

「ヤロスラフ(邦題:バトル・キングダム)」のコロプキン監督作品ではあるものの、歴史というよりは伝説・言い伝えをベースにしたドタバタお馬鹿コメディ。
 イヴァン雷帝のカザン攻撃シーンはちょっと史劇っぽいし、カザンの観光案内みたいにもなっているし、スユンビケ関係の諸々(サッファ=ギレイの剣を使う所などなど)はこの辺の歴史好き心をくすぐってくれるし、まさに俺得コメディ。

 さすがに、
「いやいや、軍隊ってそんなに楽しい所じゃないだろ。特にあんたの国みたいに突然戦争始まっちゃう国の軍隊では」
って所はあるが、そういう突っ込みの余地さえ提供してくれていると考えるなら、実にサービス精神満点の映画だな、と(笑)。いや、現代の若者に軍隊に来てもらうのが大変だってのは、わかるんだけどさ。

 そして! 更なる俺得ポイント!!!
 古地図に書かれている文字で、フルスタリョフが宇宙文字とか言ってる文字に目が釘付けになった。ルーン文字?! 別の箇所では古代ブルガルの文字とか言ってるからたぶん突厥文字のつもりなんだろう。思わず一時停止ボタンを押す。巻き戻して押す!

……うーん。なんちゃって突厥文字だったか。北欧のルーン文字っぽくはあるが、そこまではわからないなぁ。
 でも、娯楽映画に突厥文字がネタ的に使われるようになるとは。メジャーになってきた証拠だな(はたしてそうかな? 笑)。

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2014年4月20日 (日)

映画「神聖ローマ、運命の日 オスマン帝国の進撃」

神聖ローマ、運命の日-オスマン帝国の進撃- [DVD]

2012年ポーランド/イタリア
監督:レンツォ・マルチネリ
キャスト:
修道士マルコ…F・マーレイ・エイブラハム
カラ・ムスタファ…エンリコ・ロー・ヴェルソ
ヤン・ソビェスキ…イエジー・スコリモフスキ
レオポルド1世…ピョートル・アダムチク
アブール…ヨルゴ・ヴォヤギス
ムラート・ギレイ…ハル・ヤマノウチ

 映画「神聖ローマ、運命の日 オスマン帝国の進撃 11 Settembre 1683」を大鴉さん、ユーミ・ザ・ヘラートさんと見てきましたぞ。

 1683年にオスマン朝の大宰相カラ・ムスタファ率いるオスマン軍がウィーンを攻撃したのだけれども、駆け付けたポーランドのヤン・ソビェスキ王の騎兵の援軍により破られる、というお話です。

 溜めに溜めて満を持して登場するポーランド王ヤン・ソビェスキがやけにカッコ良く、私はコイツが主人公かぁ!と思ったのですが、他のお二方は出番が遅すぎやしないか?と言うご意見でした。
 おいしいところを全部持って行ったし、実にカッコ良いオヤジで、うん、さすがポーランド映画だ、と独りごちていたんですが(笑)。

 あと、カラ・ムスタファも血に飢えたイスラム狂信者って描かれ方じゃなかったので自然に見られてよかったです。この人自身もステキなお髭ぶりで気に入ったんですが、彼の乗馬が非常に特徴的で、皆で「黒王号?(『北斗の拳』のラオウの馬)」と言い合ったんですが、あのふっさふさの距毛は何の種類の馬なんでしょうね? シャイア―にしちゃ小さい気もするし、アラブじゃないし。非常に美しいお馬さんでした。この美人さん以外にも全編を通していろいろな馬が活躍していて、その美しい姿態を眺めているだけでも楽しい。でも、やられちゃうんだよなぁ。マキビシ撒かれた陣地に突進していくあの突撃は位置関係も戦術的意味もよくわからないです。お馬さんが痛い思いをしただけ。無視してほっときゃいいじゃないっすか(笑)。ああいう陣を張ってる敵はこっちに攻めてこない訳なんだし。

 それで結局、主人公の修道士マルコとカラ・ムスタファの信仰がわかりあえたでもなく、どっちかが間違っていると決めつけるでもなく、かといって、正義は一つではない、と主張するでもないような?
「真実の光はひとつだけだ!」
とマルコはカラ・ムスタファと論争するんだけれど、キリスト教の神とイスラム教の神って、そもそも同じものじゃん……キリスト教徒でもイスラム教徒でもない人間から見ると、どうしても頭をひねってしまいます。そして、狼の牙のエピソードも淡々と終わってました。伏線張りまくりなのでもっと盛り上がるのかと思ってたけど……最後のシーンで密かに効いてるのかな? どうかな?

 自分的には今話題のクリミアのハン、ムラート・ギレイがカラ・ムスタファの軍に合流してきた時に、来たァ!と思ったんですが、出て来ただけでした。もっと活躍すれば良かったのに~。

 そして夜は、コンヤでオスマントルコ・ケバブやらサチュ・カブルマやらのトルコ料理を食べて歴史談義に花を咲かせましたとさ。

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2014年4月13日 (日)

映画「ウォー・オブ・ザ・デッド」

ウォー・オブ・ザ・デッド [DVD]

2011年リトアニア/アメリカ/イタリア
監督:マルコ・マキラークソ
キャスト:
ストーン…アンドリュー・ティアナン
ニエミ…ヨウコ・アホラ
コーリャ…サムエル・ヴァウラモ

 1941年、フィンランド・ソ連国境。フィンランド軍のある小隊がソ連のシェルターを破壊する任務を帯びて敵地の森を進んでいた。
この小隊、ちょっと変わっていた。
「ソ連の残虐行為をフィルムに収めるため」アメリカ人ジャーナリストと米軍兵士が加わっていたのだ。

 実はこのアメリカ人、どこからか嗅ぎつけて知っていたのだ、このシェルターがソ連のものではなく国境変更以前はナチスのもので、ロシア人捕虜を使って「不死兵士」を作り出す実験を行っていたことを。

 惨劇は突如として襲いかかる。敵は撃てば死ぬもの、と信じて疑わない兵士たちは、次々と不死身の敵の毒牙にかかっていく。そして噛まれた者もまた…。

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

 旧ソ連発こういうホラーを待っていた!
 ずばっとド真ん中に来た直球のゾンビ映画だけれど、あいつらならばやりかねん…というかここではナチスだが、倫理なし人権なしの実験いかにもやってそう、そしてすごいことやってる割に管理がずさんそうなイメージで、ひょっとしたらこういうことあるかも…と思わせるリアリティーがとても心地よい。

 なんで読んだか忘れたが、昔ソ連の科学者が、死んだ人の血をけが人に輸血するにはどうしたらいいか、なんて研究してて、何気なく科学雑誌に発表したら、西側で大騒ぎになったなんて話があったとか。

 まじめな研究でも価値観の違いで、他国では異様に見えたり、極秘開発が不完全に漏れ伝わったり、ドイツのような状況で記録が失われてしまうと、実はあれはこうだったんではないか、とか実験が中止されたのは、何か制御できない酷くまずいことが起こったのではないか、との憶測を呼び、ホラーじみた話がまことしやかに語られていくのはよくあることで、しかもそういう話こそがおもしろかったりする。

 そういう都市伝説好き・怖い話し好きのツボを気持ちよく刺激してくれる話作りがすっとアクションに入り込ませてくれるんだなぁ。

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2014年4月 5日 (土)

映画「ナチス・ホロコーストの戦慄」

ナチス・ホロコーストの戦慄 [DVD]

2005年リトアニア/UK
監督:アルギマンタス・プイパ
キャスト:
教授…ヴァレンチナス・マサルスキス
ホッペ所長…スティーヴン・バーコフ
カズロウスキ…リューボミラス・ラウセビチャス

 その収容所は「神々のいる森」と呼ばれる森を切り開いて建てられた。木を切り抜根し整地する作業はポーランド人捕虜たちの手で行われたが、過酷な作業の過程でほとんどの捕虜が死んだという。

 この収容所にドイツが占領したリトアニアからの政治犯が送られてきた。その中にいたのが、大学教授で詩人でもある主人公。

 突然の逮捕。学生たちを反ドイツ扇動したという理由だが、本人は政治活動をしていたわけではないから全く身に覚えがない。
 家族には
「すぐに(夕食くらいには)帰るよ」
と言ったまま、収容所送りになってしまう。

 持ち物は全部没収され(金歯まで調べられる)、裸に剥かれて洗われて、サイズさえ合ってない囚人服を着せられる。

 昨日まで大学の教授だったのに、今日は肉体労働。寝床は虱やら噛む虫だらけだし、特権を持った囚人たちに年がら年中暴力をふるわれる。

 お茶の間に流れるTVだと、自主規制やらなんやらですべてがマイルドになっている日本からしたら、この映画はかなり生々しい。生理的嫌悪感を覚える人がいるかもしれない、と思えた。

「おまえは今日死ね、俺は明日だ」
という収容所の掟が教授の口から出てきた時は、それってソ連のラーゲリで言われていたフレーズだよなぁ、ドイツの収容所の話に出てくるとはこれはいったい…? と序盤で引っ掛かるものがあったが、案の定、ソ連軍による解放後、収容所の体験を克明に記した教授の著書『神々のいる森』は作家協会で大激論を巻き起こし、出版できなくなってしまう。戯曲も上映禁止になり、劇団員も解散させられてしまうのだ。

 大祖国戦争のことなら、ナチスの暴虐を暴き、赤軍の勝利を描くんだから、共産党の推薦を受けてもいいじゃないかと思われるかもしれないが、この辺の機微がいかにもソ連なんだなぁ。ソ連をリアルタイムで知らない世代にはなかなかわかりにくい感覚なのかもしれないなぁ、と思ったりもする。
 でも、そもそも映画の主人公からして劇団員に収容所の生活がどんなものだったか理解した演技ができずにイライラしてる。同じ戦争を生き延びたソ連人だというのに。我々はせいぜい頭で理解することができるくらいのものなのかもしれないな。

 リトアニアの作家バリス・スルオガ(1896-1947)の『神々のいる森』をめぐるエピソードを下敷きにしており、映画の最後では、失意の教授を収容所の囚人(たぶん亡者)たちが、
「俺たちは闇に葬られる」
「本が出版されないのは残念だ」
と見送るのだが、『神々のいる森』はスルオガの死後10年を経て出版されている。

 つまり、スターリン批判の後に、ということだ。

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2014年4月 3日 (木)

映画「戦火の馬」

戦火の馬 [DVD]

2011年アメリカ
監督:スティーヴン・スピルバーグ
キャスト:
アルバート・ナラコット…ジェレミー・アーヴァイン
テッド・ナラコット…ピーター・ムーラン
ローズ・ナラコット…エミリー・ワトソン

 「軍馬物語」とか「軍馬の一生」といった類の題名を付けたくなる、第一次大戦で兵隊に取られたサラブレッドの物語。
 徴発された農耕馬が戦地で徴兵された飼い主に出会って、うれしそうに甘えてきた、という話は日本でもありますね。

 動物ものは卑怯だ(涙腺的に)と思いつつ、騎兵隊が戦争で果たす役割がなくなり、それ用の馬も用済みになってドロドロになって大砲を引く使い捨ての道具になっていく様がなかなか意味深。
 騎馬民族ファンとしてはその辺他人事とは思えず、ウームと複雑な気分になったものです。

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