映画「テール しっぽのある美女」
2012年ノルウェイ
監督:アレクサンデル・ノラス
キャスト:
ターレ…シリー・ライナモ
エルビス…エルランド・ノルボルド
レオ…ヨン・シグヴェ・スカルド
いわば、ノルウェイ版羽衣伝説のような異類結婚譚みたいな話なのだけれど、あまりの激しさにこれがノルウェイ流か、と息を飲む。
日本だったら、天女の羽衣を隠すだけだから、後に羽衣を見つけた天女はそれを身につけて天に普通に帰って行くだけだが、ここでは力の源である尻尾を麻酔もなしにちょん切ってしまうのである。その独占欲・執着心の強さ……言い換えれば、男の愛の深さに戦慄さえ覚えた。
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以下、ネタバレ気味なので、ワクワクどきどきスリラーとして楽しみたい人は読んではいけません。
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相手が好き過ぎて、相手を壊してしまう……。だからこそ出てくるあの最後の言葉は、身勝手じゃないの、とどうしても思ってしまう。まぁ、そこまで嫌わないで好意的に捉えてあげたとしても、子離れできない親みたいな気色の悪さ。精神的にクルたぐいのホラーだな。
でも、そんなちっせぇ人間には結局縛ることができず、内なる声に従い野生の仲間の元へ戻っていくターレの姿が救い。
そして、何よりも気に入ったのは、一見、無垢で無力な女の子に見えるターレが、野生の本能を剥き出しにして人を襲う時の表情の変貌ぶり。あれはすごい。
野生の熊やら虎やら飼ってる人は、ああいう一見可愛いんだけど一生飼ってもふとした時に出てくる狂暴な本能については、すごく共感するんじゃないかな、と思えた。
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