『モンゴル史』部族篇3が我が家に着いた-!
「部族篇3」着いたー!
といってもまぁ、いつもと同じ表紙なんですが。
いやー、またギリギリですね。間に合って良かった。
さて、この「部族篇3」で取り上げられる部族は、チンギス=カンやその一族につかえたり、姻族となっている人がたくさんいますので、『モンゴル帝国史研究 正篇』でもかなりの部分が取り上げられていて、そのカヴァー 率は90%くらい?でしょうか。
じゃあ、ウチの「部族篇3」はいらないじゃん?と思われるでしょうが、そうでしょうか?
最も顕著な例ではナイマン。
『正篇』の考え方では、「イスタンブル写本」にあるような形から、不必要な記事が削除されて「テヘラン写本」のような形になった、ということで、「イスタンブル写本」から削除された(と考えられる)記事が最初に切り取られて挙げられています。
更に、固有名詞が他写本によって訂正されているのです。一応、色違いで示されているので、訂正されているのはわかるのですが、もともとの間違い具合がどの程度であったかは、これではわかりません。
ところがこの部分、人名がまったく同じように書かれていて、書写の際のミスとかそういう小さな問題ではないようなのです。
何の予断もなく、これを「イスタンブル写本」にある通りの順に読むと(ソ連版の底本は「タシケント写本」ですが、「イスタンブル写本」とほぼ同じなのは、本書欄外・脚注に示してある通り)、むしろ、「イスタンブル写本」にどこか他の資料からの新情報を差し込んだような印象を受けるのです。
「イスタンブル写本」から不要な情報を取り除いて整備したものが「テヘラン写本」なのか、「テヘラン写本」に新情報を挿入したのが「イスタンブル写本」なのか…。
記事内容の信憑性にかかわる問題です。
故意に印象操作したわけではないんでしょうけれど、『正篇』は論文という性格上、論を展開するために切ったり貼ったりした事によって結果的に印象操作されたような格好になってしまっているのです。
素のままの『モンゴル史』が見たいならペルシャ語原文を読むのが一番良いんでしょうけど、手っ取り早く日本語で未加工の素材を読みたい方、『正篇』を読んだ方にこそ是非、この「部族篇3」を見てもらえたらいいな、と思う次第に御座候。
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コメント
刊行できてよかったです
いつもギリギリですいません
チンギスハンが至るところに出てきて睨みを効かせているので、前の刊より緊張感漂う内容になっています
投稿: カノッサ | 2014年8月13日 (水) 09時19分
カノッサさん、15日もよろしくお願いします。
ところで、亀カードが入ってるって事は営業せえって事でしょうか(笑)。まぁ、これを「部族篇」に挟んでもしょうがないので、配るしかないんですが。
投稿: 雪豹 | 2014年8月13日 (水) 09時51分
買いに行きたい
・・・でも今日も仕事ーー;
投稿: 武藤 臼 | 2014年8月15日 (金) 06時50分
武藤 臼さん
例えばタングートの項の
リキ→力吉里塞、
アサ=キンクルス→落思城、
イリ=ガイ→寧夏
など前の版で調べ切れてなかったところが幾つか判明しています。
通販でもよろしかったら、群雄堂にメールをひとつ……。
投稿: 雪豹 | 2014年8月16日 (土) 01時33分
自分のとこにあるのはほとんど漢語資料なのですが、ひょとして西夏文字字典ひけば出て来るかな。
調べてみます。
早速メールしてみました。
1、2も買えるかな???
投稿: 武藤 臼 | 2014年8月16日 (土) 09時52分
あぁ、チャガンの氏族名・嵬名(ギウ・ミ)ってひょっとして黒いミ?と思いつつも調べようがなかったのでそのままにしてあったりと武藤さんに教えてもらえたらなー、と思った箇所が幾つかありました(汗)。
2はありますが、1は残ってるかな。
私の手元には1冊くらいはありますが…。
もっとも、1は歴史というよりは伝説(またはガーザーンのオレ伝説)ですので、2、3のような歴史らしい歴史ではありません。
投稿: 雪豹 | 2014年8月16日 (土) 10時20分
3冊とも届きました^^
>嵬名(ギウ・ミ)ってひょっとして黒いミ?
意外に難しい質問でした^^;
西夏文字で「嵬」「名」に相当する文字は、族名、名字専用の文字なんですね。
語源に相当する文字が残っているのなら同音異体字でありそうですが、近い字形で同じ音の字となると「牛」くらいしか見つかりませんでした。多分繋がりはないとはおもいます・・・が^^;
投稿: 武藤 臼 | 2014年8月24日 (日) 12時38分
ちゃんと調べると大変なんですね。
調べてくださってありがとうございます。
藤原から佐藤とか加藤とかができたみたいなもんですかねぇ? まあ、おもいつきですが。
投稿: 雪豹 | 2014年8月24日 (日) 14時32分