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2014年8月20日 (水)

映画「フィンランド式残酷ショッピング・ツアー」

フィンランド式残酷ショッピング・ツアー

Fin1_22012年ロシア/フィンランド
監督:ミハイル・ブラシンスキー
キャスト:
ママ…タチアナ・コルガノーヴァ
息子…チモフェイ・イェレツキ―

 いいのか、これ?と心配になるブラック・ユーモア満載のホラー・コメディ。

 いや、本当にいいのか、これ?(笑)

 確かに、ロシアでは昔話やら映画でもフィン人は魔法使い扱いされてはいるが、これはそれどころではなくバケモノっつーか喰人鬼扱いなんだけど。

 まぁねぇ。例えば冬戦争の時にソ連兵に
「ヤツらバケモノだ!」
とか言われたらむしろ褒め言葉なので、フィンランド的にはOKなのかもしれないけどねー。
 フィンランドとロシア(ソ連)のあれこれを知っている人はクスリと(もしくは「しょうーがねーなー」と苦笑)する事請け合い。一服の清涼剤です(笑)。

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2014年8月16日 (土)

コミックマーケット86に参加しました

今回は朝からの参加しました。

Gunyuブースはこんな感じ。

来ていただいた方、ありがとうございました。
今回は暑いは暑いが、雲が発生するようなことはありませんでした。
3時ごろ撤収しましたが、飲み会まで時間があったので、水上バスで会場に向かうことにしました。

Suijo

しかし、どうなんでしょうねぇ。

「部族編4」はあるんでしょうかねぇ?
必要としてる人いるんですかねぇ?(弱気)。

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2014年8月14日 (木)

映画「ライジング・ロード 男たちの戦記」

ライジング・ロード 男たちの戦記

2009年サハ(ロシア)/モンゴル/アメリカ
監督:アンドレイ・ボリソフ
キャスト:
チンギス=ハン…エドゥアルド・オンダル
ジャムカ…オルギル・マハーン
ホエルン…ステパニダ・ボリソヴァ
ココチュ…イェフィム・ステパノフ
ボルテ…シュザンナ・オールジャク
イオアン修道士…ゲルノト・グリム
シェン・ミ・ヂェン…塗們
クチュルク・ハン…オレーク・タクタロフ
グルベスの護衛…ケイリー=ヒロユキ・タガワ(田川洋行)

 極めてサハ色の強いチンギス=カンの「ライジング・ロード」だった。

 原題は「チンギス=カンの秘密」で最後の方に『元朝秘史』が書かれる様子も出てくるが、『元朝秘史』をそのままなぞる話ではない。

 むしろ民間伝承の匂いがして、個人的にはその点がすごく気に入った。
 『元朝秘史』は書かれた当時の人たちには共感できる話だったのだろうが、後世の人間から見ると価値観の変化でどうしても「ええー?」ってところがある。そういうところが解釈し直されているのだ。
 口承だと、語り手によって当代風にこういう改変が為されることはよくある。
 確かに、ベクテルやタイチャルを殺した理由は、この方が納得できるかもしれない。
 やっぱり、食い物の恨みで兄弟を殺しちゃうのって、やっぱりどうかと思うんだろう。

 トオリル=ハン(オン=ハン)やココチュ(テプ=テングリ)も悪人に描かれてはいない。
 この二人、風貌からしてすっごく良い人っぽくて、『元朝秘史』のイメージとは大きく異なるんだけど、これも良いかな。彼らが殺されなければならなかったのも、テングリの思し召し的になってる。
 ……まぁ、俳優の風貌が私好みだったってのがいいね!と思った大きな理由かもしれない(笑)。トオリル役の人は谷啓が出ているのかと。

 クライマックスが対ナイマン戦になっているのも新鮮。
 確かに、テムジンのモンゴル統一事業で最も重要な戦いだったと思われるのだけれど、他作品でメインに描かれる事はなかったように思う。

 グルベスが偉そうなのがまたツボ。
 ナイマンを取り仕切ってる女帝風に描かれていてステキ。女帝風っていうか、ツァリーツァ(女帝)って呼ばれてるもんな。片割れのタヤン=ハンがどうでも良い殺され方でその他大勢扱い(笑)。
 いや、『元朝秘史』に書かれているとおりだけどね
(ただし、『秘史』ではグルベスはタヤン=ハンの母。妻となっているのは『集史』の方)。

 キリスト教の修道士がテングリの天命を説いていたり、みんなで輪になってぐるぐる回ってたり、荒涼とした大雪原の騎馬戦シーンなんかはモンゴルというよりはサハ(ヤクーチャ)だよなー、と思う。
 象徴的に何度か出てくる広い水面も、蒼き狼が渡ってきた「海(テンギス)」のイメージなのかもしれないが、どう見ても北海(バイカル湖)でなくて北極海。

 鹿石、ヘレクスール(ストーンサークルみたいなもの)、石人君が妙にフィーチャーされているもサハ的なのかもしれない。見た事あるような石人君が出て来て私的にはニヤニヤものなんだけど、「先祖のもの」と強調し過ぎかもしれないね(笑)。
 鹿石と石人じゃ時代が違くないか?と思うし、ヘレクスールは渦巻いてないぞ?とも思うんだが、今の人はあれをこういう風に解釈している(解釈したい)のかな?と考えると興味深い。

 そして、もっともサハっぽく感じたのは、圧巻の戦闘シーン。

 え? 群れをなして迫ってくる、あのちびこくてモッフモッフした可愛い生き物は何だって?
 馬です! 犬じゃありません(笑)。

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2014年8月13日 (水)

『モンゴル史』部族篇3が我が家に着いた-!

 「部族篇3」着いたー!

Buzoku3

 といってもまぁ、いつもと同じ表紙なんですが。

 いやー、またギリギリですね。間に合って良かった。
 
 

 さて、この「部族篇3」で取り上げられる部族は、チンギス=カンやその一族につかえたり、姻族となっている人がたくさんいますので、『モンゴル帝国史研究 正篇』でもかなりの部分が取り上げられていて、そのカヴァー 率は90%くらい?でしょうか。

 じゃあ、ウチの「部族篇3」はいらないじゃん?と思われるでしょうが、そうでしょうか?

 最も顕著な例ではナイマン。

 『正篇』の考え方では、「イスタンブル写本」にあるような形から、不必要な記事が削除されて「テヘラン写本」のような形になった、ということで、「イスタンブル写本」から削除された(と考えられる)記事が最初に切り取られて挙げられています。
 更に、固有名詞が他写本によって訂正されているのです。一応、色違いで示されているので、訂正されているのはわかるのですが、もともとの間違い具合がどの程度であったかは、これではわかりません。

 ところがこの部分、人名がまったく同じように書かれていて、書写の際のミスとかそういう小さな問題ではないようなのです。
 何の予断もなく、これを「イスタンブル写本」にある通りの順に読むと(ソ連版の底本は「タシケント写本」ですが、「イスタンブル写本」とほぼ同じなのは、本書欄外・脚注に示してある通り)、むしろ、「イスタンブル写本」にどこか他の資料からの新情報を差し込んだような印象を受けるのです。

 「イスタンブル写本」から不要な情報を取り除いて整備したものが「テヘラン写本」なのか、「テヘラン写本」に新情報を挿入したのが「イスタンブル写本」なのか…。

 記事内容の信憑性にかかわる問題です。

 故意に印象操作したわけではないんでしょうけれど、『正篇』は論文という性格上、論を展開するために切ったり貼ったりした事によって結果的に印象操作されたような格好になってしまっているのです。

 素のままの『モンゴル史』が見たいならペルシャ語原文を読むのが一番良いんでしょうけど、手っ取り早く日本語で未加工の素材を読みたい方、『正篇』を読んだ方にこそ是非、この「部族篇3」を見てもらえたらいいな、と思う次第に御座候。

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