« 映画「フィンランド式残酷ショッピング・ツアー」 | トップページ | 映画「モスクワ・コード」 »

2014年9月 6日 (土)

映画「セデック・バレ」

セデック・バレ 第一部:太陽旗/第二部:虹の橋

2011年台湾
監督:魏徳聖
キャスト:
モーナ・ルダオ…林慶台
モーナ・ルダオ(青年期)…大慶
タイモ・ワリス…馬志翔
オビン・タダオ(高山花子)…徐若瑄
オビン・ナウイ(河野花子)…羅美鈴
マホン・モーナ…温嵐
モーナの父…曽秋勝
小島源治…安藤政信
鎌田弥彦…河原さぶ

 カーマイン(洋紅)色の桜の分布は非常に特殊であるという。

 沖縄の寒緋桜はその仲間。1~2月に咲くのは毎年の桜前線報道でお馴染みだ。

 このカーマインの桜、台湾にも分布しているのだが、淡い桃色の花びらが一枚ずつひらひら散るソメイヨシノを見慣れた目から見ると背の高いボケのよう。

 映画の中では「これが桜か?」と疑う日本人はあまりおらず、抵抗なく「桜」と受け入れていたが、花がまるごとぼたっと落ちるのはあまり桜っぽくない。

 ふと、ツバキの花がぼたっと落ちる様子を首が落ちるようだと嫌って武家は庭に植えなかったなんて話しを思い出した。首がばんばん飛ぶ映画だからね。

:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+

 台湾は1895(明治28)年に清から日本に割譲されたが、そんな事は現地の人間にはあずかり知らぬ所。若き頭目モーナ・ルダオの属するセデック族も、自分たちの伝統的な狩り場に勝手に入ってきた日本人を殺すなどして従来通りの生活を守り続けていたが、それを「野蛮」と考え問題視した日本軍の本格的な攻撃に抗しきれず、日本の直接支配下に入った。それから30年あまり。

 1930(昭和5)年、セデック族の住地の中心・霧社は、森が切り開かれてすっかり日本風の町となっていた。日本語教育も行われ、日本の警察官になる者もいたが、セデックを「生蕃、蕃人」と呼んで蔑む日本人も多かった。日頃から暴力をふるって恨みを買っていた警察官・吉村が、婚礼の席で進められた酒を嫌がって相手を殴った事をきっかけに、運動会に集まった日本人を皆殺しにする事件に発展する。

:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+

 これ、R指定かかってるのかな。首狩りもNHK大河ドラマ『黄金の日々』だったか、信長が無礼を働いた足軽の首をすぽーんとふっ飛ばすシーンがあったけど、その程度。首実検もしてたし、日本でいえば戦国時代の野武士軍団が近代兵器相手に戦っているような感じだったな。

 モーナたちと対立していたセデックの他部族に銃を持たせてぶつけるあたりは、西南の役で正規軍が士族の西郷軍にやられっぱなしなところを、士族出身の警察官に刀だけ持たせて突撃させたのを連想させる。隘路にひしめく警察・日本兵を銃で撃ち下ろすシーンなんて田原坂かと。で、鎌田司令官は鹿児島出身だから、最後にああいうことを言ったのかな、なんて妄想した。

 そういった事で、台湾の映画だけれども、日本の大河ドラマを見ているよう。

 また、セデックの風俗も歴史好きには興味深いところ。二人で一緒に一つの杯を飲むのって、スキタイの黄金の装飾品にそういう有名なのあったよね。霧の深い峻険な地形といい、口琴がびょんびょんいってるのといい、雲南に似てておもしろい。

|

« 映画「フィンランド式残酷ショッピング・ツアー」 | トップページ | 映画「モスクワ・コード」 »

映画・テレビ」カテゴリの記事

歴史」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 映画「セデック・バレ」:

« 映画「フィンランド式残酷ショッピング・ツアー」 | トップページ | 映画「モスクワ・コード」 »