映画「テロリストのゲーム」
2011年トルコ/ドイツ
監督:トルガ・オルネク
キャスト:
フィクレト…ティムチン・エセン
レイハン…メルテム・ジャンブル
ビュレント…サルプ・アクカヤ
ハルク…リザ・コジャオウル
ラシム…オザン・ビレン
ザイト…ウムト・クルト
イスタンブルでの自爆テロ。100人近い死者を出した強力な爆弾を使った犯行は、単独犯ではありえない。背後に大きな組織があるものと予想され、トルコ国家情報機構イスタンブル支局のフィクレト、レイハン、ビュレント、ハルクらのチームが即座に捜査にあたっていた。間もなく、自爆犯ハサン・ヌル=ハーンの遺言ともいえる動画とともに過激派アルワヒッドの犯行声明がインターネットに配信された。
同じ頃、アルワヒッドのドイツの細胞に潜入させていた「協力者」が消息を絶つ。
彼の最後の連絡によると、伝説的テロリスト、ザワスがフランクフルトに密入国して何かを計画しているらしい。また、その計画はイスタンブルの自爆テロとも関連し、トルコでは更に大規模なテロが計画されているようだ。
マルディン(トルコ)、シェクラン(北イラク)等々でアメリカやイギリスなどの情報機関も交えての捜査は進んでいく。
しかし、フランクフルトで再び爆破テロが起こり、一気に事態は緊迫していく。フィクレトが密かにアルワヒッドに潜入させていた大学生のラシムの重要性がトルコばかりかイギリスの情報機関(SIS)の関心を引くのだが、彼は普通の学生に過ぎず、任務の重さに押しつぶされそうになっていた。そんな折、彼の兄ザイトに自爆テロを行うようにと、ザワス直々の指令が下った。
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トルコ発、ハードな対テロ情報戦争もの。監督は元々ドキュメンタリーを撮っていた方で、「警察密着○○!」のような報道番組風カメラワークが臨場感を盛り上げる。
冒頭、「ラビリンス」というタイトル(原題)が流れると、あ、これは直球勝負でくる、と覚悟ができていい題名だとは思ったが、「ラビリンス」というのはこの一件にフィクレトらが付けたコード名でもある。日本の警察だと迷宮入りしそうなこういう縁起の悪い件名はつけないような気はするけど、どうなんですかねぇ?>関係者各位
アメリカのアジト急襲作戦では、テロリストが潰された虫のようにぐちゃっと倒れている上空からの暗視カメラの映像をイスタンブルのオフィスで見ていたり、駐イスタンブルの英国の情報機関のスチュワートが海千山千の情報機関員て感じで、それって「いかにも」だよなぁ、とは思った。
そういう英米の既成イメージに対し、トルコの情報機関についてはその類のイメージがない。と、いうか存在すら全く知らなかったのだけれど、ザルではNATOの一員として他の国が困るだろうし、オスマン朝の時代を考えれば、確かにその手の伝統はあるんだろうねぇ。
また、イスラム国としてイスラム過激派に対しての姿勢などは興味あるところ。この映画がトルコの情報機関の現実そのままかどうかは、当然、わからない訳だが、想像するよすがにはなるかもしれない。私はこれを見て、ある意味ホッとした。警察のやるべき事は、どこでも同じなんだね、と。
余談だが、ジャケットに描かれているのは、ルーメリ・ヒサールの近くにあり、ボスポラス海峡に架かるファティフ・スルタン・メフメト橋のようだ。ちゃんと内容を汲み取った良いイメージ・イラストだと思った。
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