ドラマ「レッド・スナイパー ―独ソ最終決戦―」
2004年ロシア
監督:ヴャチェスラフ・ニキフォロフ
キャスト:
オリガ・ポズネーエヴァ…ヴィクトリヤ・トルストガノヴァ
コーリャ・マラホフ…アレクセイ・チャドフ
リョーシャ・マリューチン…ヴラジーミル・ヤグルィチ
イヴァン・ベッソーノフ…アレクサンドル・パシュチン
イノゼムツェフ少佐…アンドレイ・ゴルベフ
シュリギン…アナトーリィ・コット
プローホル…アナトーリィ・グーシン
エゴーロフ…ニコライ・チジャイキン
コースチャ・ゴレロフ…ロマン・ポドリャコ
4話完結のTVシリーズ。原題「無名の丘にて」。
1944年秋、ベラルーシ西部国境89高地(丘)を巡るソ連とドイツの戦闘をスナイパー同士の戦いを通して描く。
ブログを始めた本当に初期に感想を書いたが、このたびドライブを更新して見られるようになったので喜んでみてみたら、兵士の日々の暮らしが丁寧に描かれていて感心した。
例えば、新聞が大人気な訳とか、足に布巻いてる様子とか、ソ連の兵隊ってそうだよなー、あるあるってな感じで。
劇中聞こえてくる音楽も懐かしい物ばかり。この辺、テレビの視聴者を意識しているのかとも思えるが、劇場公開の映画にも負けない質の高さ。
もちろん、敵を狙撃する瞬間=自分が殺られる瞬間になりうるエース・スナイパー同士の駆け引きが一番の見どころ。
ところで、主人公のオリガの銃とドイツ側のエースの銃の発射音が若干違い、他の所がリアル志向なのでこれも考証されてるのかな?と思うけど、ミリヲタじゃないのでそこまではわからない。詳しい人に聞いてみたいところ。
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ソ連側の指揮官や情報を漏らす恐れのあるドイツ人捕虜を的確に射殺してきたドイツのエース・スナイパー。すぐ目の前にある国境線を越え、89高地を占領するにはドイツ軍の配備の状況を的確に把握していなければならないが、このたった一人のスナイパーのせいでままならない。
このエースに対抗するために新たに派遣されてきた切り札がオリガ・ポズネーエヴァ。赴任途中で出くわした戦闘でも、鐘楼上からソ連兵を苦しめていたドイツ軍スナイパーを的確な射撃で倒し、形勢を逆転させたほどの凄腕。射撃の元チャンピオンでもある。
オリガはちょうど傷が治って自分の部隊に帰るベッソーノフ伍長と一緒のトラックに乗せてもらう事になったが、そこで乗り合わせたのが前科持ちでロマの女に魔法を掛けてもらったので絶対死なないなどと言っているお調子者のコーリャ・マラホフと有能な将校マリューチン。マリューチンは数々の勇敢な行動を評価され、偵察部隊の隊長に抜擢され、ベッソーノフの上官になることになった。前の隊長は件のスナイパーに狙撃されて命を落としていたのだ。
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これを見て狙撃手のイメージが随分変わったんだったよな。
よくある映画やらマンガやらでは花形職業みたいに描かれて、自分の中ではゴルゴ13みたいなイメージだった。
でもこれだと、かなり地道で忍耐のいる仕事なんだな―と。しかも、ドイツのエースの助手(?)の新人スナイパーみたいに、ほんのちょっとした見通しの甘さで眉間に穴が空くとか怖ろしすぎる。これ、神経やられるよな。
オリガは撃たれた人たちの状況を地道に取材、地形や方向を調べてメモメモ。
ドイツのエースはコーヒー入れたサーモスというか魔法瓶とマイカップを持って歩いてて、幾つかある狙撃ポイントを行き来しつつひたすら待つ。そんななんで、狙撃ポイントは巣みたいな生活感があふれてる。彼の事はほとんど説明はされないのだけれど、いつの間にか感情移入していて、最期はかなりかわいそうになった。ロシアのドラマだけれども、ここに出てくるドイツ人はたいてい気の毒だよな……。
背景を知らずに戦争アクションを見たいだけって人には多少物足りないかもしれないが、ある程度ソ連の歴史を知っている人なら、「これがTVドラマか?」と唸る事間違いなしの良作でございました。
出演作:
ヴィクトリヤ・トルストガノヴァ→「奇襲戦線 ナチス弾道ミサイルを破壊せよ!」「ラフマニノフ ある愛の調べ」「ストーム・ゲート」「シティ・コネクション」「レッド・ガントレット」
アレクセイ・チャドフ→「ナイト・ウォッチ」「デイ・ウォッチ」「ストリート・レーサー」「ソルジャー」「アフガン」「チェチェン・ウォーズ」
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